白イ手ノ中デ、イク

Kyrie

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夜になり昼寝もしたけど、昨日の雷騒動でくたびれたオレがベッドでうつらうつらしていると気配を感じたので目を開けた。
見ると、白い手が所在なさそうに宙に浮いている。

「あ、オレのこと心配で来てくれたの?」

オレはぼんやりしながらベッドの上に起き上がった。
もちろんベアちゃんは抱っこしたままだ。
闇に浮かぶ手は「うんうん」とうなずくように揺れた。

「ありがと。今日は大丈夫だよ。雷苦手だったから助かった。ありがとー!」

オレはベアちゃんにするように近づいてきた右手をひっつかまえて、その甲にちゅっとキスをした。
オレのファーストキスの相手はベアちゃんだ。
喜びも悲しみもベアちゃんと一緒に過ごしてきた。
それと同じノリで、ちゅっとしたんだが。
なんと、右手は脱力してへなへなとベッドの上に落下した。

「おい、あんた大丈夫っ?!」

オレが慌てて見つめると、手はベッドの上で真っ赤になっていた。
血管が浮いていて、どくどくしている。

「もしかして照れてるの?」

オレがからかうように言うと、両手はオレの肩に乗っかりそのままぐいっとオレをベッドの上に押し倒した。
ひぇっ!と声を出す間もなくこんなことになって、ドキリとした。
右手は恥ずかしまぎれにオレの頭をぽんぽんと軽く叩き、そして昨日みたいにまた髪をなでてくれた。
そして、左手はオレの右のほっぺたを包み込むようにふれ、親指の付け根のふくふくしたところでほっぺをふにふにとなでた。
くすぐったかったけど、なんだか気持ちよかった。オレは左手に頬ずりをしてしまった。
そしてそのまま両目を閉じた。
腕の中のベアちゃんは相変わらず暑苦しかったけど、これで怖いものはない、と感じた。
手首から先だけの白い手が浮遊しているのは随分なホラーだと思うけど、だけど、なんだか嬉しくなったんだ。
ふっと左手が俺の右手にふれた。ベアちゃんから右手を離し左手で抱きなおすと、白い左手はオレの右手をぎゅっと握った。
あ、それ、恋人つなぎなんですけど。ま、いっかー。
オレはそのまま心穏やかに眠っていった。






ごろり、と寝返りを打った。
むん?
まだ薄暗い明け方、股間の違和感でなんとなく目が覚めた。まぁ、朝だし。最近、ホラー騒ぎや雷騒ぎでヌいていなかったし。ではどれどれ久しぶりに……
あれ?
そうか。
オレは動かない右手のことを思い出した。白い左手がまだ恋人つなぎをしていた。
しかし、ですよ。オレは右利きなので右でいたしたいんですがね。
手を外そうとしたが、左手は離れてくれなかった。
やん、困る。オレ、ちょっと…
できないとわかると余計に意識してしまい、むず痒くなるというかなんというか。なにこの焦らしプレイ。
なんとなく微妙に腰が動いてしまって、シーツに股間を押し付けるようなことをしてしまいたいのを我慢しているつもりなのに、我慢できずにちょっとこすこすなんてしてしまったり。

なぁ、離してよ。
でも、手の目の前で(?)いたすんですか、オレ?
いや、それはちょっと抵抗があるというかなんというか、けれどもしかし、もどかしい。もっとしっかりとした刺激がほし……

「んっ!」

左腕のベアちゃんをぎゅっと抱きしめて声を抑える。

なんと!なんとですよ。昨日まで優しくオレの髪をなでなでしてくれていた白い右手さんがですね、短パンをずらしオレのお気にの紺のボクサーパンツの上からつつつーなんて、少しふっくらしているであろう股間を人差し指でなぞってですね。
ぎゅんと血が集まって硬くなったのがわかる。

「ちょっ……あんっ」

右手さんは器用に片手でオレのボクサーパンツを下ろし、半勃ちになっているアレを取り出しソレしてナニして、あんっ。
初めて他人に触られる感触にどぎまぎしつつも、いつもの刺激と違うので、戸惑っているアレさん。オレも戸惑っていますよ、アレさん!困りますよね、アレさん!

右手さんはゆるりと竿をなでると、手を筒にして上下に扱く。
やばっ、この人ウマい。なんていうんでしょう、緩急のつけ方が抜群というかなんというか、もっと激しくしてほしいところをソフトにされイラっとしそうなときに程よい力加減でぎゅんとつかんできて。そして、やん、先っぽ、やだ。

オレは上がりそうな声を抑えるのに必死なのに、右手さん、攻めます。先っぽばっかり。ちょちょちょちょっ。あ、それは今までにない攻め方。ほんと、先っぽばっか。そしてぬるぬるしてきた指で巧みにまた竿を掴むかと思えば、裏筋を指一本で下から上へなで上げる。

「くぅっ」

思わず漏れ出る声。ベアちゃん、こんなの聞いちゃダメっ!ダメなオトナになっちゃ…ううんっ。

ぎゅっぎゅっぎゅっとリズミカルに、また竿を扱きだす。
あっ、やだっ、このまんまじゃイかされちゃうっ!
怖いっ!と思ったとき、間髪入れず左手さんがオレの右手をぎゅうううっと握りしめてくれた。
なんなの?なに、このプレ…ィ…あううんっ。

イく寸前に右手さんは竿から手を離し、こともあろうにオレの大事なたまたまをやんわりと揉みだした。

「ちょっとっ!イかせてくれるんじゃないのかよ!」

叫んだ自分の言葉に呆気に取られた。ナニ言ってるんでしょうね、オレ?
右手さんはまた先っぽをいじりだした。
こうして先っぽだったり竿だったりたまたまだったり、あるいは足のつけ根の内側だったりをさわったり、オレはもう何度も寸止めを食らい、散々焦らした挙句、どうしようもなくもやもやして、恥も外聞もなく喘ぎ、左手さんの力強い応援を得ながら耐えに耐え、

「お願いだからイかせてぇっ!」

と叫んだとき、右手さんが本気になって、ぐいいいいぃぃっと竿を絶妙な力加減で扱いた。
そう、これ、この刺激が欲しかったんだってばっ!
下腹の奥のほうに溜まっていた、むず痒いような熱い衝動はやっと解放され、

「ふっ、あっあっ、あぁぁぁぁぁぁぁっ」

とオレは叫びながら射精した。どぴゅどぴゅと吐き出す。下着や短パン、そしてタンクトップを汚しながらイっている。
左手さんは力強くオレの右手をずっと握りしめていた。

いっぱい出た。長い射精だった。
治まってきたころ、右手さんはまた竿をいじり、最後の一滴まで搾り取るように扱いた。
全てが終わった頃、オレはなぜか泣いていた。どうして泣いているのかわからない。全身の力が抜けた。そしてそのまますーっと眠ってしまった。



スマホにセットしていた目覚ましでいつもの時間に目を覚ますと、オレは上半身裸で、黒いボクサーパンツをはいていた。びっくりしてがばっと起き上がる。嫌な気がしてベランダに出てみると、ご丁寧に汚れた3点セットが洗って干されていた。オレは力が抜けてその場にヘナヘナと座り込んでしまった。


お盆の間中、手は毎晩やってきて、ご丁寧にオレをイカせまくった。かーちゃんがいなくてホントによかった。






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