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妖精王の指輪2 かけら(2)
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石が棚にずらりと並ぶ。
手にしたろうそくの炎が揺れる。
研磨されたものもあれば、原石のままのものもある。
ろうそくの炎に照らされて、きらりと光る。
ファーシェはエトコリアの魔法宮の奥にある石の保管庫にいた。
この膨大な量の石の中から、自分が必要な一粒を見つけなくてはならない。
そして、たとえ見つけても、次の段階で割ってしまうかもしれない。
これからしようとすることの気の遠くなるような道のりに、ファーシェは思わず深呼吸をした。
「どうですかな、ファーシェ王子」
「王子、はやめてください、モンテイロ様」
ファーシェと一緒にいたのは大魔術師モンテイロだった。
低く響く声は洞窟のようなこの部屋ではより一層響いた。
「セイシロの波動と同調する石を選んでください。
うまく同調しなかったら、セイシロの身体にも負担がかかります」
「…はい」
「この部屋には他の者も出入りしますが、ファーシェ様が妖精であることは知らせておりますので、妖精のお姿になられても構いませんよ。
むしろそのほうが、魔力を十二分に発揮できるでしょう。
ここでのことは、あなたの修行にもなります」
「ありがとうございます、モンテイロ様。
それで、いつになったらそのことば遣いを止めていただけますか?
私は今、貴方に教えを乞う者の1人です」
「なに、気にしないでください。
私はもうすぐ見回りの旅に出ますから。
あとはダイロスが見てくれるでしょう。
指示はしてありますから、ご心配はいりません」
モンテイロの弟子のダイロスは妖精国に長らく滞在していたが、モンテイロが不在となるため、エトコリアの街に戻ってきた。
ダイロスはモンテイロの一番弟子とも言われているが、本人は気にも留めず、黙々と修行をしたり、モンテイロの手伝いをしたりしていた。
モンテイロが石の保管庫から出ると、ファーシェは妖精の姿になった。
元々全体が金に光っていたが、その輝きが増している。
菫の瞳には金の炎が灯っていた。
ファーシェは呼吸を整え、手のひらに魔力を集中させた。
この膨大な石の中から一粒を見つけるために。
160830
手にしたろうそくの炎が揺れる。
研磨されたものもあれば、原石のままのものもある。
ろうそくの炎に照らされて、きらりと光る。
ファーシェはエトコリアの魔法宮の奥にある石の保管庫にいた。
この膨大な量の石の中から、自分が必要な一粒を見つけなくてはならない。
そして、たとえ見つけても、次の段階で割ってしまうかもしれない。
これからしようとすることの気の遠くなるような道のりに、ファーシェは思わず深呼吸をした。
「どうですかな、ファーシェ王子」
「王子、はやめてください、モンテイロ様」
ファーシェと一緒にいたのは大魔術師モンテイロだった。
低く響く声は洞窟のようなこの部屋ではより一層響いた。
「セイシロの波動と同調する石を選んでください。
うまく同調しなかったら、セイシロの身体にも負担がかかります」
「…はい」
「この部屋には他の者も出入りしますが、ファーシェ様が妖精であることは知らせておりますので、妖精のお姿になられても構いませんよ。
むしろそのほうが、魔力を十二分に発揮できるでしょう。
ここでのことは、あなたの修行にもなります」
「ありがとうございます、モンテイロ様。
それで、いつになったらそのことば遣いを止めていただけますか?
私は今、貴方に教えを乞う者の1人です」
「なに、気にしないでください。
私はもうすぐ見回りの旅に出ますから。
あとはダイロスが見てくれるでしょう。
指示はしてありますから、ご心配はいりません」
モンテイロの弟子のダイロスは妖精国に長らく滞在していたが、モンテイロが不在となるため、エトコリアの街に戻ってきた。
ダイロスはモンテイロの一番弟子とも言われているが、本人は気にも留めず、黙々と修行をしたり、モンテイロの手伝いをしたりしていた。
モンテイロが石の保管庫から出ると、ファーシェは妖精の姿になった。
元々全体が金に光っていたが、その輝きが増している。
菫の瞳には金の炎が灯っていた。
ファーシェは呼吸を整え、手のひらに魔力を集中させた。
この膨大な石の中から一粒を見つけるために。
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