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第2話
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俺は腹を括った。
そのためにすごく考え、そして準備をした。
親にも祖父母にも気づかれないようにするには、骨が折れた。
短期間だったが全ての準備がやっと整った。
まだ危機的状況は来ていない。
今のうちに手を打たねば。
俺は学校で鈴木を呼び止めた。
「す、鈴木」
「なに、初瀬ー」
「あ、あの」
カッと体温が上がる。
まともに目が見られず、思わず下を向く。
「なになに?
どうしたの?」
下から覗き込まれて思わず顔を横に背ける。
「なーに?」
「鈴木のい、家に行ってもいいか?」
「えーーーーーー!!!!」
だめなのか?
「いいよいいよ、もちろんだよ。
どうしたの、急に。
初瀬から来たい、って言ったことないじゃん。
今日、来る?
今から行く?
あ、これから授業か?
サボる?」
こ、これから?
いや、それは、準備が、ちょっと。
「あ、明日はどうだ?」
俺が言うと、「わかったーーー!初瀬ー、俺、今日帰ったらいっぱい掃除しとくねー」と満面の笑みで言った。
どうしよう。
約束してしまった。
どうしよう。
いや、ここで引き下がるわけにはいかない。
翌日の放課後、俺は鈴木の部屋にいた。
言っていたとおり、部屋はしっかり掃除してあった。
「座っててー。
今、コーラ持ってくるから」
鈴木が部屋を出た。
い、今か。
俺は思い切って紐を出した。
鈴木がトレイにコーラのでかいペットボトルとグラス、カールうすあじの袋を載せて戻ってきた。
そして俺の前でコーラを注ぎ、差し出してくれた。
それだけだ。
俺は仕方なく受け取り、一口飲んだ。
鈴木は自分のグラスにもコーラを注ぎ、ごくごくと飲むと、カールの袋をばりっと開けて、「初瀬も食べなよー」と俺に言うと、むしゃむしゃと食べ始めた。
それだけだった。
なぜ気づかない。
どうすればいいのだ。
いいと言ってたじゃないか。
好きなんじゃないのか。
これから、俺はどうすればいいのだ。
相当喉が渇き、腹が減っているのか、鈴木はひたすら食べて飲んでいる。
むむ、これではどうしようもないではないか。
気づけ、馬鹿者ー!
いくらこちらが願っても、鈴木は食べて飲み続けている。
なぜだどうしてだ。
いつもだったら、部屋に来て少し飲み物と菓子をつまんだくらいで押し倒してあれこれしてくるじゃないか、馬鹿者ー!!
気づかれもしない。
手を出しても来ない。
仕方ない、プランBに移るしかないか。
本気でやるのか?
いや、やるのだ。
そのために準備をしてきたではないか。
腹も括ったし、い、今でさえ相当恥ずかしいのを我慢しているんだ。
これが成功すれば、きっと不幸なことにはならない。
いざ行動に移そうとするとどうしていいかわからなくなってきた。
うーむ、うーむ、どうやっていたかな。
昨日の予習を思い出せ、初瀬京一郎。
あの女はどうしていた?
あの女のように俺にできるのか?
やらねば。
しかし。
迷っている暇はないはずだ。
行け!
えっと、確か…
俺はばたーんと鈴木を床に押し倒した。
「うわっ?!
初瀬、一体どうしたの?」
「いいから、黙って見てろ」
それからそれから、どうだったかな。
鈴木は背中を浮かしながらこちらを見ている。
俺は昨日予習したのを思い出し、鈴木の太腿辺りをまたいで膝立ちになった。
シャツをまくり腰回りがしっかり見えるようにする。
そのまま裾を口にくわえる。
制服のズボンを下に少しずらし、腰の左右の白い蝶々結びをより露出させ、突き出し見せつける。
「え?
えええええ?
初瀬、これ紐パン?!」
やっと気がついたか、馬鹿者めー!
もう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないが、ここで引き下がるわけにはいかない。
涙目になりそうなのを我慢して、なんとかうなずく。
「なんで?
もしかして、俺のため?」
「そうだ、馬鹿者」
小声で言ってみる。
声が震えてる。
口で咥えていたシャツの裾が落ちる。
「あっ、だめだめ。
手で持ってて」
鈴木がシャツの裾を俺に握らせる。
「もっと見せてよ、初瀬」
よいしょっと上半身を起こすと鈴木は俺のズボンのジッパーに手をかけ下ろし、前を左右に開く。
「やーん、初瀬のえっちー!
かわいいー!かわいいー!!
これ女の子用?」
もううなずくしかできない。
「なになに?
俺、もしかして初瀬に誘惑されてんの?」
うん。
「嬉しー!
初瀬ー、かわいいー!
好き好き!
俺のために頑張ってくれてるのも、めちゃくちゃ嬉しいー!
ねーねー、もっと見ていい?」
今度は俺がうなずく前に鈴木は俺のズボンに手をかけ、ずり下ろす。
あっ。
「あっあっ!!
もしかしてTバック?」
そうだ、馬鹿者ー!!!
「もう、俺、今晩死んじゃうんじゃないの?!
幸せすぎるよー!
どうしたの、突然、こんなご褒美?」
「………」
「んん?」
「い、いつも鈴木から誘ってもらってばかりで、俺からなにもしないと、フられると言われたから…」
「俺が初瀬をフる?
そんなことしないよー!
じゃあさ、初瀬は俺にフられないためにこんなことしてくれたの?」
うん。
田中に言われて頭が真っ白になった。
面倒くさいと思っていたはずなのに、鈴木がそばにいなくなることを想像してみたらやたらと寂しくなってしまった。
中学までずっとひとりのはずだったのに、高校になって鈴木がそばにいて、それが当然になっていて、鈴木が俺じゃない誰かのそばにずっといるのを考えたら、とても嫌だったんだ。
「このかわいい下着、どうやって買ったの?」
「ネットで…」
「白を選んだのは?」
「鈴木が好きだって言ってたから」
息も絶え絶えに言葉を出す。
「俺を押し倒して誘惑したのは?」
「AV見て…」
鈴木はぱあああああっと顔を明るくさせた。
「ってことはー。
初瀬は俺のためにー、俺が大好きな女の子用の白の紐パンをネットで買ってくれてー」
下着に視線を遣る鈴木。
「それ履いてくれてー」
あ、朝から履いてきたぞ。
バレないかずっとヒヤヒヤしていた。
「AV見てー、俺の誘惑のしかたを予習してきてくれたんだー!!!」
「そんなに大声で言うな、馬鹿者ー!」
し、仕方ないじゃないか。
男を誘惑したことなんてないし、誰に聞いたらいいのかわからなかったんだ。
「やーん、俺、ほんとに死んじゃいそうだよ、初瀬ー。
かわいい初瀬が俺のためにこんなに頑張ってくれたんだもん。
あ、今日、学校でずっと紐パンだったの?
わー、初瀬のえっちー!
だめだよー、今度からそんなかわいいことしちゃ。
うちでお着換えしてね」
よかった、ひとまず引かれてはない。
ドン引きされる可能性も考えていたんだ。
「ねー、おしりも見せてよー」
鈴木は身軽に膝立ちになっている俺の後ろに回り、今度はシャツの後ろが上がるように俺に裾を持ち直させた。
「うーん、おしりフェチの俺の好みをよくわかってるなぁ。
いいよいいよ、かわいいー!」
そのためにすごく考え、そして準備をした。
親にも祖父母にも気づかれないようにするには、骨が折れた。
短期間だったが全ての準備がやっと整った。
まだ危機的状況は来ていない。
今のうちに手を打たねば。
俺は学校で鈴木を呼び止めた。
「す、鈴木」
「なに、初瀬ー」
「あ、あの」
カッと体温が上がる。
まともに目が見られず、思わず下を向く。
「なになに?
どうしたの?」
下から覗き込まれて思わず顔を横に背ける。
「なーに?」
「鈴木のい、家に行ってもいいか?」
「えーーーーーー!!!!」
だめなのか?
「いいよいいよ、もちろんだよ。
どうしたの、急に。
初瀬から来たい、って言ったことないじゃん。
今日、来る?
今から行く?
あ、これから授業か?
サボる?」
こ、これから?
いや、それは、準備が、ちょっと。
「あ、明日はどうだ?」
俺が言うと、「わかったーーー!初瀬ー、俺、今日帰ったらいっぱい掃除しとくねー」と満面の笑みで言った。
どうしよう。
約束してしまった。
どうしよう。
いや、ここで引き下がるわけにはいかない。
翌日の放課後、俺は鈴木の部屋にいた。
言っていたとおり、部屋はしっかり掃除してあった。
「座っててー。
今、コーラ持ってくるから」
鈴木が部屋を出た。
い、今か。
俺は思い切って紐を出した。
鈴木がトレイにコーラのでかいペットボトルとグラス、カールうすあじの袋を載せて戻ってきた。
そして俺の前でコーラを注ぎ、差し出してくれた。
それだけだ。
俺は仕方なく受け取り、一口飲んだ。
鈴木は自分のグラスにもコーラを注ぎ、ごくごくと飲むと、カールの袋をばりっと開けて、「初瀬も食べなよー」と俺に言うと、むしゃむしゃと食べ始めた。
それだけだった。
なぜ気づかない。
どうすればいいのだ。
いいと言ってたじゃないか。
好きなんじゃないのか。
これから、俺はどうすればいいのだ。
相当喉が渇き、腹が減っているのか、鈴木はひたすら食べて飲んでいる。
むむ、これではどうしようもないではないか。
気づけ、馬鹿者ー!
いくらこちらが願っても、鈴木は食べて飲み続けている。
なぜだどうしてだ。
いつもだったら、部屋に来て少し飲み物と菓子をつまんだくらいで押し倒してあれこれしてくるじゃないか、馬鹿者ー!!
気づかれもしない。
手を出しても来ない。
仕方ない、プランBに移るしかないか。
本気でやるのか?
いや、やるのだ。
そのために準備をしてきたではないか。
腹も括ったし、い、今でさえ相当恥ずかしいのを我慢しているんだ。
これが成功すれば、きっと不幸なことにはならない。
いざ行動に移そうとするとどうしていいかわからなくなってきた。
うーむ、うーむ、どうやっていたかな。
昨日の予習を思い出せ、初瀬京一郎。
あの女はどうしていた?
あの女のように俺にできるのか?
やらねば。
しかし。
迷っている暇はないはずだ。
行け!
えっと、確か…
俺はばたーんと鈴木を床に押し倒した。
「うわっ?!
初瀬、一体どうしたの?」
「いいから、黙って見てろ」
それからそれから、どうだったかな。
鈴木は背中を浮かしながらこちらを見ている。
俺は昨日予習したのを思い出し、鈴木の太腿辺りをまたいで膝立ちになった。
シャツをまくり腰回りがしっかり見えるようにする。
そのまま裾を口にくわえる。
制服のズボンを下に少しずらし、腰の左右の白い蝶々結びをより露出させ、突き出し見せつける。
「え?
えええええ?
初瀬、これ紐パン?!」
やっと気がついたか、馬鹿者めー!
もう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないが、ここで引き下がるわけにはいかない。
涙目になりそうなのを我慢して、なんとかうなずく。
「なんで?
もしかして、俺のため?」
「そうだ、馬鹿者」
小声で言ってみる。
声が震えてる。
口で咥えていたシャツの裾が落ちる。
「あっ、だめだめ。
手で持ってて」
鈴木がシャツの裾を俺に握らせる。
「もっと見せてよ、初瀬」
よいしょっと上半身を起こすと鈴木は俺のズボンのジッパーに手をかけ下ろし、前を左右に開く。
「やーん、初瀬のえっちー!
かわいいー!かわいいー!!
これ女の子用?」
もううなずくしかできない。
「なになに?
俺、もしかして初瀬に誘惑されてんの?」
うん。
「嬉しー!
初瀬ー、かわいいー!
好き好き!
俺のために頑張ってくれてるのも、めちゃくちゃ嬉しいー!
ねーねー、もっと見ていい?」
今度は俺がうなずく前に鈴木は俺のズボンに手をかけ、ずり下ろす。
あっ。
「あっあっ!!
もしかしてTバック?」
そうだ、馬鹿者ー!!!
「もう、俺、今晩死んじゃうんじゃないの?!
幸せすぎるよー!
どうしたの、突然、こんなご褒美?」
「………」
「んん?」
「い、いつも鈴木から誘ってもらってばかりで、俺からなにもしないと、フられると言われたから…」
「俺が初瀬をフる?
そんなことしないよー!
じゃあさ、初瀬は俺にフられないためにこんなことしてくれたの?」
うん。
田中に言われて頭が真っ白になった。
面倒くさいと思っていたはずなのに、鈴木がそばにいなくなることを想像してみたらやたらと寂しくなってしまった。
中学までずっとひとりのはずだったのに、高校になって鈴木がそばにいて、それが当然になっていて、鈴木が俺じゃない誰かのそばにずっといるのを考えたら、とても嫌だったんだ。
「このかわいい下着、どうやって買ったの?」
「ネットで…」
「白を選んだのは?」
「鈴木が好きだって言ってたから」
息も絶え絶えに言葉を出す。
「俺を押し倒して誘惑したのは?」
「AV見て…」
鈴木はぱあああああっと顔を明るくさせた。
「ってことはー。
初瀬は俺のためにー、俺が大好きな女の子用の白の紐パンをネットで買ってくれてー」
下着に視線を遣る鈴木。
「それ履いてくれてー」
あ、朝から履いてきたぞ。
バレないかずっとヒヤヒヤしていた。
「AV見てー、俺の誘惑のしかたを予習してきてくれたんだー!!!」
「そんなに大声で言うな、馬鹿者ー!」
し、仕方ないじゃないか。
男を誘惑したことなんてないし、誰に聞いたらいいのかわからなかったんだ。
「やーん、俺、ほんとに死んじゃいそうだよ、初瀬ー。
かわいい初瀬が俺のためにこんなに頑張ってくれたんだもん。
あ、今日、学校でずっと紐パンだったの?
わー、初瀬のえっちー!
だめだよー、今度からそんなかわいいことしちゃ。
うちでお着換えしてね」
よかった、ひとまず引かれてはない。
ドン引きされる可能性も考えていたんだ。
「ねー、おしりも見せてよー」
鈴木は身軽に膝立ちになっている俺の後ろに回り、今度はシャツの後ろが上がるように俺に裾を持ち直させた。
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