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銀狐の章
第050話「朝食」
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「「「いただきます!」」」
三人で手を合わせ、朝食をとる。
今日の朝食はハムエッグだ。
「お主様、今日の予定は何かあるのか?」
ハムを美味しそうにほおばりながらシェン。
「今日は講義があるから大学に行こうと思っているんだ」
オレの発言に光とあーちゃん先輩が固まった。
二人が同時にバッとオレの方を見る。
「お、お兄ちゃんが……大学に……」
カラン。
光がスプーンを落とした。
「モー君、気は確かなの!?」
驚愕の表情で先輩。
あーちゃん先輩もひどいなぁ。
オレが学校に行くのがそんなに珍しいのか?
そりゃ、入学してから早半年、行った回数は両手で足りる程度だけど……ちゃんとオンラインの授業だって【影武者・型式H弐型】に受けさせているし。何も問題ないはずだ。
「大学とは……学び舎?……寺子屋のようなところか?」
シェンの認識は……まあ、そうだろうと思った。
「お兄ちゃん……」
光がいつになく真剣な表情でオレを見つめる。
やんわりとオレの手を握ってきた。
「無理しなくていいのよ。学校を辞めたって大丈夫。最終学歴が自動車学校になっても、お兄ちゃんへの愛は変わらないから……ね?」
――なんだよ。最終学歴自動車学校って……
妹よ。何故涙ぐむ。何でそんな可哀想な人を見るような目でオレを見ているんだ。
「モー君。大学って……勉強するところなのよ」
えっ!?も、もちろんそんなことは知っているさ……な、何を当たり前のことを言っているのかな……先輩!
正直オレだって行きたくない。入学式、オリエンテーション……テスト以外でに大学に行った記憶などほとんどないのだ。まあ、出席は友人に代弁してもらっているし、内容はノートを見せてもらったりとそれなりに努力はしている。努力の方向性が少しだけ間違っているというのは――み、認めよう。
「連絡があったんだよ」
朝一番にRAINで連絡がl着ていた。大学のゼミ内のグループの連絡網を通じてだ。
「研究のために手伝いが欲しいって連絡が来たんだ」
オレの所属しているゼミは【超常現象研究部】、ご近所の噂話から地域に伝わる伝承、UMAにいたるまでその研究対象は幅広い。
はっきり言って、講義よりもゼミの方に興味があって大学を選んだくらいなのだ。
「手伝いって……超研の?」
「ああ」
何気ない風を装いながらあーちゃん先輩が訊いてきた。
「連絡って……誰から?」
「………………」
携帯を見ながら、視線は携帯に注がれたまま訊いてくる。
「……誰からなの?」
先輩が顔を上げた。
「教授からだけど」
「――!?」
やはり、とあーちゃん先輩が立ち上がった。
「教授って、アノ教授?」
「そうそう、あの教授」
「モリアーティ教授?」
オレは頷いた。いやーいつも思うけど凄い仇名だ。まあ、自分からそう名乗っているのだからオレがどうこう言うつもりはない――性格は……ちょっとアレだが。
「今度は何の実験なの?」
「さあ、細かい内容は知らされていないんだ」
「心配ね……」
「心配だわ」
「心配なのじゃ」
光と先輩だけならまだしも、シェンにまで心配されるとは。
「仕方ないわね。しょうがないからついていってあげるわ」
先輩、何故そうなる。
「お兄ちゃんの最期……見届ける!」
最期って、オレ死ぬの?なにそのフラグ。
「光まで……そういや学校は?」
「えへ、光ちょっと熱が出ちゃって……今日は学校お休みなの♡」
――そうか、熱が出てお休みか――それなら仕方ない。
何となく違和感を覚えたが気のせいだろう。
三人で手を合わせ、朝食をとる。
今日の朝食はハムエッグだ。
「お主様、今日の予定は何かあるのか?」
ハムを美味しそうにほおばりながらシェン。
「今日は講義があるから大学に行こうと思っているんだ」
オレの発言に光とあーちゃん先輩が固まった。
二人が同時にバッとオレの方を見る。
「お、お兄ちゃんが……大学に……」
カラン。
光がスプーンを落とした。
「モー君、気は確かなの!?」
驚愕の表情で先輩。
あーちゃん先輩もひどいなぁ。
オレが学校に行くのがそんなに珍しいのか?
そりゃ、入学してから早半年、行った回数は両手で足りる程度だけど……ちゃんとオンラインの授業だって【影武者・型式H弐型】に受けさせているし。何も問題ないはずだ。
「大学とは……学び舎?……寺子屋のようなところか?」
シェンの認識は……まあ、そうだろうと思った。
「お兄ちゃん……」
光がいつになく真剣な表情でオレを見つめる。
やんわりとオレの手を握ってきた。
「無理しなくていいのよ。学校を辞めたって大丈夫。最終学歴が自動車学校になっても、お兄ちゃんへの愛は変わらないから……ね?」
――なんだよ。最終学歴自動車学校って……
妹よ。何故涙ぐむ。何でそんな可哀想な人を見るような目でオレを見ているんだ。
「モー君。大学って……勉強するところなのよ」
えっ!?も、もちろんそんなことは知っているさ……な、何を当たり前のことを言っているのかな……先輩!
正直オレだって行きたくない。入学式、オリエンテーション……テスト以外でに大学に行った記憶などほとんどないのだ。まあ、出席は友人に代弁してもらっているし、内容はノートを見せてもらったりとそれなりに努力はしている。努力の方向性が少しだけ間違っているというのは――み、認めよう。
「連絡があったんだよ」
朝一番にRAINで連絡がl着ていた。大学のゼミ内のグループの連絡網を通じてだ。
「研究のために手伝いが欲しいって連絡が来たんだ」
オレの所属しているゼミは【超常現象研究部】、ご近所の噂話から地域に伝わる伝承、UMAにいたるまでその研究対象は幅広い。
はっきり言って、講義よりもゼミの方に興味があって大学を選んだくらいなのだ。
「手伝いって……超研の?」
「ああ」
何気ない風を装いながらあーちゃん先輩が訊いてきた。
「連絡って……誰から?」
「………………」
携帯を見ながら、視線は携帯に注がれたまま訊いてくる。
「……誰からなの?」
先輩が顔を上げた。
「教授からだけど」
「――!?」
やはり、とあーちゃん先輩が立ち上がった。
「教授って、アノ教授?」
「そうそう、あの教授」
「モリアーティ教授?」
オレは頷いた。いやーいつも思うけど凄い仇名だ。まあ、自分からそう名乗っているのだからオレがどうこう言うつもりはない――性格は……ちょっとアレだが。
「今度は何の実験なの?」
「さあ、細かい内容は知らされていないんだ」
「心配ね……」
「心配だわ」
「心配なのじゃ」
光と先輩だけならまだしも、シェンにまで心配されるとは。
「仕方ないわね。しょうがないからついていってあげるわ」
先輩、何故そうなる。
「お兄ちゃんの最期……見届ける!」
最期って、オレ死ぬの?なにそのフラグ。
「光まで……そういや学校は?」
「えへ、光ちょっと熱が出ちゃって……今日は学校お休みなの♡」
――そうか、熱が出てお休みか――それなら仕方ない。
何となく違和感を覚えたが気のせいだろう。
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