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銀狐の章
第048話「食後のデザート ②」
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「お主様大丈夫か?」
シェンが駆け寄ってくる。
「まったく、油断も隙もないわね」
あーちゃん先輩も心配そうな顔だ。
そうだろう。下手すりゃオレは妹にとんでもないことをしてしまっていたかもしれないのだ。
「光、ゴメン」
怖い思いをさせてしまった。
兄として失格だ。
「ううん。お兄ちゃんは悪くないよ」
光が慰めてくれる。
くそうなんていい妹なんだ。オレにはもったいないくらいによくできた妹だ。
「ほら、私がちゃんを見ていてあげるから、今日はゆっくり休んで」
妹の膝枕。
安心したせいか、急激に眠気が襲ってきた。
ダメだ。やっぱりフラフラする。
「本当に……すまない……」
オレは眠気に負けて目をつむった。
◆ ◆ ◆ ◆
「チッ!もう少しだったのに!」
光ちゃんが舌打ちする。
「妹君……抜け駆けはいかんのじゃ!」
シェンちゃんがやれやれとため息をつく。
それにしても危ないところだった。
光ちゃんがお兄ちゃんラブなのは知っていたが、ここまで実力行使で来るとは予想していなかった。
下着姿の猟犬――光ちゃん――はいつでも獲物のウサギ――モー君――の貞操を奪うことができる。
生殺与奪の権を光ちゃんに握られている状態だった。
――どうする……
犯人はその気になれば籠城することができる。
このまま引き下がってくれれば良し、さもなくば……
「妹君の目はまだ輝きを失っておらぬ!」
シェンちゃんがそれっぽいことを言った。
えっ、光ちゃん……この状況でまだ……ヤル気なの!
光ちゃん……おとなしそうに見えて……恐ろしい子!
「シェンちゃん、モー君を守るわよ」
私とシェンちゃんが左右に分かれる。
しかし、モー君は敵の膝の上。
いざとなったら人質の貞操確保を最優先。実力行使に踏み切るしかない。
両者にらみ合いが続く。
仕方ない。ご近所のネゴシエーターと言われた私の交渉術でこの場を乗り切るしかない。
「はい!はい!はい!」
私は手を上げる。
「じゃあ、ここは仲良く三人でってのはどう?」
妥協案(?)を提示。
「い、いきなり……さ●ぴー……!」
このケダモノ!みたいな目で光ちゃんに睨まれた。
いや、アルコールで酔わせて襲っている時点で同族だと言いたい。
「さん●ーとは何じゃ?」
シェンちゃん今は黙ってて。
「それはね。三人でお相撲をとることよ」
光ちゃんのナイスフォロー……なのか。
「そうか……了解したのじゃ」
シェンちゃんは了解しちゃった。
「――ふう」
光ちゃんは小さくため息をつく。
「二人のせいでお兄ちゃん寝ちゃったし、襲ってくれなかったし……」
誠に残念そうに光ちゃんはのたまった。
暗殺者が暗殺を失敗しちゃった。みたいな感じか。
「あーちゃん……身体が火照ってしょうがないんだけど!」
怒りの矛先が私に向いた。
ほほう。そう来るか。
「仕方ないなぁ……シェンちゃん!」
「なんじゃ!」
「光ちゃんと一緒におもちゃで遊びましょう♡」
「ぬわんと!」
考える時間はなかった。ここは無理矢理にでも行動してもらわないといけない。その流れを察し、サッとシェンちゃんが動いた。
「シ、シェンちゃん?」
シェンちゃんに両腕を掴まれ光ちゃんが動きを止める。
犯人確保。人質は無事だ。
見事な救出劇だった。
人質は意識不明。せっかくのなのでこのまま襲……ってはいけないので、このまま放置!
――ううっ、せっかくのチャンスなのに……
私は泣く泣くモー君を諦めターゲットを光ちゃんとシェンちゃんに切り替える。
「ふふ、二人共ちょっと付き合って!」
「「はい?」」
こうなったらとことん付き合ってもらうわよ。
シェンが駆け寄ってくる。
「まったく、油断も隙もないわね」
あーちゃん先輩も心配そうな顔だ。
そうだろう。下手すりゃオレは妹にとんでもないことをしてしまっていたかもしれないのだ。
「光、ゴメン」
怖い思いをさせてしまった。
兄として失格だ。
「ううん。お兄ちゃんは悪くないよ」
光が慰めてくれる。
くそうなんていい妹なんだ。オレにはもったいないくらいによくできた妹だ。
「ほら、私がちゃんを見ていてあげるから、今日はゆっくり休んで」
妹の膝枕。
安心したせいか、急激に眠気が襲ってきた。
ダメだ。やっぱりフラフラする。
「本当に……すまない……」
オレは眠気に負けて目をつむった。
◆ ◆ ◆ ◆
「チッ!もう少しだったのに!」
光ちゃんが舌打ちする。
「妹君……抜け駆けはいかんのじゃ!」
シェンちゃんがやれやれとため息をつく。
それにしても危ないところだった。
光ちゃんがお兄ちゃんラブなのは知っていたが、ここまで実力行使で来るとは予想していなかった。
下着姿の猟犬――光ちゃん――はいつでも獲物のウサギ――モー君――の貞操を奪うことができる。
生殺与奪の権を光ちゃんに握られている状態だった。
――どうする……
犯人はその気になれば籠城することができる。
このまま引き下がってくれれば良し、さもなくば……
「妹君の目はまだ輝きを失っておらぬ!」
シェンちゃんがそれっぽいことを言った。
えっ、光ちゃん……この状況でまだ……ヤル気なの!
光ちゃん……おとなしそうに見えて……恐ろしい子!
「シェンちゃん、モー君を守るわよ」
私とシェンちゃんが左右に分かれる。
しかし、モー君は敵の膝の上。
いざとなったら人質の貞操確保を最優先。実力行使に踏み切るしかない。
両者にらみ合いが続く。
仕方ない。ご近所のネゴシエーターと言われた私の交渉術でこの場を乗り切るしかない。
「はい!はい!はい!」
私は手を上げる。
「じゃあ、ここは仲良く三人でってのはどう?」
妥協案(?)を提示。
「い、いきなり……さ●ぴー……!」
このケダモノ!みたいな目で光ちゃんに睨まれた。
いや、アルコールで酔わせて襲っている時点で同族だと言いたい。
「さん●ーとは何じゃ?」
シェンちゃん今は黙ってて。
「それはね。三人でお相撲をとることよ」
光ちゃんのナイスフォロー……なのか。
「そうか……了解したのじゃ」
シェンちゃんは了解しちゃった。
「――ふう」
光ちゃんは小さくため息をつく。
「二人のせいでお兄ちゃん寝ちゃったし、襲ってくれなかったし……」
誠に残念そうに光ちゃんはのたまった。
暗殺者が暗殺を失敗しちゃった。みたいな感じか。
「あーちゃん……身体が火照ってしょうがないんだけど!」
怒りの矛先が私に向いた。
ほほう。そう来るか。
「仕方ないなぁ……シェンちゃん!」
「なんじゃ!」
「光ちゃんと一緒におもちゃで遊びましょう♡」
「ぬわんと!」
考える時間はなかった。ここは無理矢理にでも行動してもらわないといけない。その流れを察し、サッとシェンちゃんが動いた。
「シ、シェンちゃん?」
シェンちゃんに両腕を掴まれ光ちゃんが動きを止める。
犯人確保。人質は無事だ。
見事な救出劇だった。
人質は意識不明。せっかくのなのでこのまま襲……ってはいけないので、このまま放置!
――ううっ、せっかくのチャンスなのに……
私は泣く泣くモー君を諦めターゲットを光ちゃんとシェンちゃんに切り替える。
「ふふ、二人共ちょっと付き合って!」
「「はい?」」
こうなったらとことん付き合ってもらうわよ。
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