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〇二一話~〇三〇話
〇ニ六話「勇者の試練」
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無尽蔵に迫り来る魔族たちをなぎ倒し、勇者はついに大魔王の宮殿とやってきた。
勇者の顔には疲れの色があったが、それでも回復アイテムを口にし、そのほのかな甘みを味わうだけで、疲れが癒えていくのを感じる。
「ついに、ここまで辿り着いたか」
宮殿の最深部、玉座の間に大魔王はいた。
手には禍々しい大剣を携え、人の髑髏を形作った盾を構えている。
「…勇者よ」
剣を構えようとした大魔王が、一瞬躊躇したように構えを解いた。
「お前はその装備でここまで辿り着いたというのか」
大魔王の顔には驚愕の色が見える。
そこには、金属バットを構え、耐熱ガラスの鍋の蓋を持ち、レインコートを着た勇者の姿。
「私はお前を倒すため、異世界へとおもむき、伝説の武器と武具を手に入れた」
勇者は、回復アイテムを再度口にする。それは、店の店主からもらった飴だった。
「これは野球のバットと言って、リップ部分が左手にかかりやすくなっている。つまりは攻撃力アップの力が備わっている。そして、耐熱ガラスの盾は耐火の力がありドラゴンの炎をもしのぐのだ」
嬉々として語る勇者。
「勇者の衣は水属性に対して防御力が高いスーパーレインコートだ」
止めの一言に大魔王はがっくりと肩を落とす。
「…そうか、大変だったんだな」
大魔王の顔には、どこか見てはいけない物を見てしまったかのようなそんな表情が見て取れた。
「おい、大魔王よ」
「なんだ」
「一つだけ聞きたいことがある」
勇者は油断なく、金属バットを構える。
「お前、世界を征服して一体何をしたいんだ?」
問われた、大魔王はきょとんとした顔になった。
「お前たち魔族は、この魔界で暮らせるではないか、私もここに来るまでに色々見てきたが、地上とそれほど変わらないではないか」
「フッ、知れたこと」
大魔王は大剣を高々と掲げる。
「世界を手に入れれば。なんだか楽しそうじゃないか!」
勇者はがっくりと肩を落とした。
「…意外とくだらない理由だったんだな」
「お前にだけは言われたくない!」
勇者は剣を…否、金属バットを収めた。
「やる気が失せた。今日のところは引き下がるが、次にはその首、貰い受ける」
「その言葉、お前にそのまま返してやる」
大魔王も剣を収めた。
二人の間には友情らしきものが目覚めた…らしい。
「ロンよりショウコ」
ロン「どうしたんだい。居眠りしていたみたいだけど」
ショウコ「………………………………すっごく変な夢をみました」
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手には禍々しい大剣を携え、人の髑髏を形作った盾を構えている。
「…勇者よ」
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嬉々として語る勇者。
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止めの一言に大魔王はがっくりと肩を落とす。
「…そうか、大変だったんだな」
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「おい、大魔王よ」
「なんだ」
「一つだけ聞きたいことがある」
勇者は油断なく、金属バットを構える。
「お前、世界を征服して一体何をしたいんだ?」
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「やる気が失せた。今日のところは引き下がるが、次にはその首、貰い受ける」
「その言葉、お前にそのまま返してやる」
大魔王も剣を収めた。
二人の間には友情らしきものが目覚めた…らしい。
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