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第四章「カルネアデス編」

 第94.5話  025メザイヤ編「襲撃 ②」

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「魔法の上書き……そんなことが……」

「説明は後だ! あと四人!」

 目の前には三人の覆面男。
 もう一人は姿を現していない。位置は捕捉できているのだが距離が遠くオレの魔法は届かない。
 恐らくは監視兼報告用の者だろう。
 できるだけ手の内はさらしたくないが今はそんなことを考えている余裕はなかった。
 三人はナイフを構えたまま油断なく接近してくる。

「ノゾミ殿……周囲が気づき始めました」

 ミネルバ補佐官の言葉通り、喧騒が聞こえつつあった。魔法使いが倒れたことで遮音の魔法の効果が消えてしまったのだ。爆音も響いている――人が駆け付けてくるのも時間の問題だ。
 戦闘が長引けば住民に被害が及ぶ可能性があった。
  
 ――仕方ない。オレの必殺の魔法を使うしかない。

 できれば使いたくない。これはまさしく禁呪に匹敵する禁断の力。
 嗚呼、神よ。あなたはオレに破道の道を歩めというのか。
 しかし、これは仕方ない。仕方ないので早速使おう。

「魅了!」

 オレは魅了を発動した。

「「「うっ!!」」」

 三人の覆面男たちが一斉に呻く。呆けた状態になりナイフを取り落とす。

 ――今だ!

 オレは三人に接近しそれぞれの鳩尾に一撃ずつ拳を入れる。音もなく崩れ落ちる覆面男。

「ミネルバ補佐官」

 見ればミネルバ補佐官は呆けたようにオレを見ていた。
 頬は赤らみオレの視線を受け恥じらうようにもじもじとしている。
 これは――魅了が効いている証拠だ。
 だが、今はミネルバ補佐官よりも覆面男たちの方が先だった。

「何事ですか?」

 ちょうど騎士団の兵たちが駆け付けてくれた。

「おお、これはノゾミ殿!」

 よかった。顔見知りの聖騎士だ。
 オレは事情を説明し覆面男たちの身柄を彼らに引き渡す。
 男たちと一緒に騎士団詰所に向かおうと思ったがやめておいた。ここからは彼らの仕事だからだ。
 それに――
 オレの後ろでもじもじとしているミネルバ補佐官を【適切に処理】してあげなければならない。
 別にこれは狙ってやったわけではない。NTRなんてオレには興味ない。まあ、年上で強気のお姉様には興味津々だが。
 では早速。宿に戻るとしましょうか!
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