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第四章「カルネアデス編」
第200話「アンナとミーシャ ③」
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視界の先、見慣れた街並みが流れていく。
アクセルを踏み込むとグッとした加速と共に何とも言えない高揚感がオレを包み込んだ。
――オレは今、風になる――
ズガガガガガ!
わけがなかった。
いやあ、風を感じながら外の景色を眺めようかと思って銃座から上体を乗り出してみたんだが……振動は道路だから少ないとして、音がうるさくて最悪の状況だった。平地でこれなら悪路になればその揺れはかなりのものだろう。
「ノゾミ様、お茶をご用意いたしました」
湯飲みに注いだお茶をアンナがすすめてくれる。いったいどんなバランス感覚なのか、湯飲みのお茶は波一つ立てていない。
「いや、今は大丈夫だよ」
アンナには悪いが手にした途端にびちゃびちゃにこぼす自信があった。そしたら、アンナもお茶でびっちゃびちゃになってしまうではないか。
熱い●●をアンナにぶっかけ。
アンナは●●でびちゃびちゃになってしまった。
※●●は【お茶】である。
伏字にするだけでなんかエロい。
「あんまり外に顔を出さないでね」
見つかるとヤバいから。とタニア。
見つかるも何も、どっかのステルスミッションではないのだ。こんな轟音を立てて爆走しているだけで十分に目立つ。
「静かですね」
ミーシャが呟く。
アンナとミーシャは車窓から外の様子をうかがっていた。
このまま何もなく目的地に着けるのであれば何も問題ないのだが。
「このまま何もなければいいんですけど」
アンナさん。そんなフラグを立てないでください。
「――来たよ!」
タニアの鋭い声。
目の前に――道路を塞ぐ黒い影。
「あれは……まさかミッ……」
「しゃらっぷ!」
思わず呟きかけたタニアをオレは黙らせる。
それ以上名前を口にしてはいけない。それ以降は禁忌に触れる恐れがある。あのネズミ―なランドに所属するふぁんたじーなキャラクターは口にするだけでもかなりの危険(著作権)を伴うのだ。それは戦術核兵器にも匹敵する威力をもって周辺地域を焼野原に変えてしまう。
なんてことだ。マザーはなんて恐ろしいものを世に解き放ったのだ。
特に危険なのは中央にいる赤いズボンをはいた巨大な黒いネズミ――奴だけは倒せない。万が一奴にかすり傷でもつけようものなら――いろいろな意味で――死ぬ。
「タニア……奴らとの戦闘は避けろ!」
「えーっ! このままひいちゃえばいいのに」
「やめろおぉぉぉぉぉ! お前はこの世界を滅ぼすきかぁぁぁ!」
なんちゅう恐ろしいことを言うんだこの娘は!
あんなモノにちょっかいでも出して何かあったらこの世界(作品)が滅ぶわ!
「り、了解」
しぶしぶながらタニアはハンドルを切る。
奴らはこちらに気づき走り出したが、さすがに装甲車には追いつけないようだった。
「ノゾミン! 今度はお地蔵さんだよ!」
タニアが叫ぶ。
目の前には巨大な像がいた。
どう見ても菩薩様なそいつは錫杖を振り上げるとこちらに向かって振り下ろしてくる。
「あんな巨大な奴がいるなんて……ここは逃げ……」
「ファイアボルト!」
炎をまとった稲妻が菩薩様を貫く。
「ふはははは! たかが石像ごときが! 恐るるに足らず!」
オレ高笑いが響く。
「さっきのネズミからは逃げたくせに……」
「うるさい!」
奴だけは駄目だ。それは世界の絶対のルールなのだから。
アクセルを踏み込むとグッとした加速と共に何とも言えない高揚感がオレを包み込んだ。
――オレは今、風になる――
ズガガガガガ!
わけがなかった。
いやあ、風を感じながら外の景色を眺めようかと思って銃座から上体を乗り出してみたんだが……振動は道路だから少ないとして、音がうるさくて最悪の状況だった。平地でこれなら悪路になればその揺れはかなりのものだろう。
「ノゾミ様、お茶をご用意いたしました」
湯飲みに注いだお茶をアンナがすすめてくれる。いったいどんなバランス感覚なのか、湯飲みのお茶は波一つ立てていない。
「いや、今は大丈夫だよ」
アンナには悪いが手にした途端にびちゃびちゃにこぼす自信があった。そしたら、アンナもお茶でびっちゃびちゃになってしまうではないか。
熱い●●をアンナにぶっかけ。
アンナは●●でびちゃびちゃになってしまった。
※●●は【お茶】である。
伏字にするだけでなんかエロい。
「あんまり外に顔を出さないでね」
見つかるとヤバいから。とタニア。
見つかるも何も、どっかのステルスミッションではないのだ。こんな轟音を立てて爆走しているだけで十分に目立つ。
「静かですね」
ミーシャが呟く。
アンナとミーシャは車窓から外の様子をうかがっていた。
このまま何もなく目的地に着けるのであれば何も問題ないのだが。
「このまま何もなければいいんですけど」
アンナさん。そんなフラグを立てないでください。
「――来たよ!」
タニアの鋭い声。
目の前に――道路を塞ぐ黒い影。
「あれは……まさかミッ……」
「しゃらっぷ!」
思わず呟きかけたタニアをオレは黙らせる。
それ以上名前を口にしてはいけない。それ以降は禁忌に触れる恐れがある。あのネズミ―なランドに所属するふぁんたじーなキャラクターは口にするだけでもかなりの危険(著作権)を伴うのだ。それは戦術核兵器にも匹敵する威力をもって周辺地域を焼野原に変えてしまう。
なんてことだ。マザーはなんて恐ろしいものを世に解き放ったのだ。
特に危険なのは中央にいる赤いズボンをはいた巨大な黒いネズミ――奴だけは倒せない。万が一奴にかすり傷でもつけようものなら――いろいろな意味で――死ぬ。
「タニア……奴らとの戦闘は避けろ!」
「えーっ! このままひいちゃえばいいのに」
「やめろおぉぉぉぉぉ! お前はこの世界を滅ぼすきかぁぁぁ!」
なんちゅう恐ろしいことを言うんだこの娘は!
あんなモノにちょっかいでも出して何かあったらこの世界(作品)が滅ぶわ!
「り、了解」
しぶしぶながらタニアはハンドルを切る。
奴らはこちらに気づき走り出したが、さすがに装甲車には追いつけないようだった。
「ノゾミン! 今度はお地蔵さんだよ!」
タニアが叫ぶ。
目の前には巨大な像がいた。
どう見ても菩薩様なそいつは錫杖を振り上げるとこちらに向かって振り下ろしてくる。
「あんな巨大な奴がいるなんて……ここは逃げ……」
「ファイアボルト!」
炎をまとった稲妻が菩薩様を貫く。
「ふはははは! たかが石像ごときが! 恐るるに足らず!」
オレ高笑いが響く。
「さっきのネズミからは逃げたくせに……」
「うるさい!」
奴だけは駄目だ。それは世界の絶対のルールなのだから。
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