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第一章「いきなり冒険者」
第48.5話 001「アンナと黒竜族」
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「あの……本当によろしいのでしょうか?」
アンナが恐る恐る聞いてくる。
「大丈夫さ」
オレは気楽に答える。
オレとアンナ、マヤの三人は馬車に揺られながら外の景色を楽しんでいた。
いや、アンナは少し落ち着かない様子だ。それもそうだろう。今からオレたちは白竜族の里に向かうのだ。
「白竜族の村は険しい山脈の中にあります」
アンナは幌車の中で説明してくれた。
もちろん馬車だけでは到達できない。途中で降りて徒歩で行くことになるだろう。
それでもオレは行く必要性を感じていた。
黒竜族との決着。
ヤムダとの決着はついたがそれで終わりではない。
竜人族は自らの部族を守るために他の竜人族を犠牲にしようとしていた。
それを止めるためにも、これ以上の犠牲を出さないためにもどうしても行く必要があると感じたのだ。
竜人族は亜人族の中でも最強の部類に属する種族だ。その身体能力・魔法力においてもトップクラス。人間などどうあがいても勝つことなどできない。
「その竜人族に勝つことのできる人間がこの世界に存在するなんて……」
アンナはうっとりとした顔でオレを見つめてくる。
竜人族にそれもその中でも特に強いといわれる黒竜族に単身で勝利したのだ。
まあ、正確には一人の力ではないのだが……
「ノゾミ様であればいかなる困難でも打ち勝っていただけると信じております」
その信頼はどこから来るのやら。
ヤムダの一件以降、アンナの信頼値は毎日最高値更新中だ。
「お兄ちゃんに任せておけば大丈夫です!」
マヤも変なあおり方はやめてください。
ミーシャとシスティーナはバージル領で農民たちの補佐をしている。
今年の干ばつはほぼ間違いない。
ならばとその対策を行うためにシスティーナには井戸の技術を広めてもらうよう各地の領主に掛け合ってもらっていた。一つはアイスクラ卿の領地なので問題ないが、残るもう一つの領地に関しては連絡待ちといったところだ。
実際に見てもらわなければ納得してもらえないだろう。
今回は急ピッチで作業を行ったが、本来であれば誰でもできる方法で行わなければならないのだ。
かつての日本で培われた技術「上総掘り」(※明治時代の初期に、上総地方(千葉県中西部)で考案された掘り抜き井戸の掘削技術)を行うことで人力で掘削を行うことができる。
オレはマザーさんの協力を得て、試作品とその設計図を作成、システィーナとミーシャに井戸掘りに関する様々な技術をそれこそ「手取り足取り」伝授したのだった。
そのおかげで毎日寝不足!
彼女たちならきっと立派にお務めを果たしてくれることだろう。
帰ってきてから二人の「相手」をしなければならないが……仕方のないことだ。
「見えてきました」
先導するアンナが指さす。
そこには岩をくりぬいた生活住居が見て取れた。
それこそが――竜人族・白竜族の村だった。
アンナが恐る恐る聞いてくる。
「大丈夫さ」
オレは気楽に答える。
オレとアンナ、マヤの三人は馬車に揺られながら外の景色を楽しんでいた。
いや、アンナは少し落ち着かない様子だ。それもそうだろう。今からオレたちは白竜族の里に向かうのだ。
「白竜族の村は険しい山脈の中にあります」
アンナは幌車の中で説明してくれた。
もちろん馬車だけでは到達できない。途中で降りて徒歩で行くことになるだろう。
それでもオレは行く必要性を感じていた。
黒竜族との決着。
ヤムダとの決着はついたがそれで終わりではない。
竜人族は自らの部族を守るために他の竜人族を犠牲にしようとしていた。
それを止めるためにも、これ以上の犠牲を出さないためにもどうしても行く必要があると感じたのだ。
竜人族は亜人族の中でも最強の部類に属する種族だ。その身体能力・魔法力においてもトップクラス。人間などどうあがいても勝つことなどできない。
「その竜人族に勝つことのできる人間がこの世界に存在するなんて……」
アンナはうっとりとした顔でオレを見つめてくる。
竜人族にそれもその中でも特に強いといわれる黒竜族に単身で勝利したのだ。
まあ、正確には一人の力ではないのだが……
「ノゾミ様であればいかなる困難でも打ち勝っていただけると信じております」
その信頼はどこから来るのやら。
ヤムダの一件以降、アンナの信頼値は毎日最高値更新中だ。
「お兄ちゃんに任せておけば大丈夫です!」
マヤも変なあおり方はやめてください。
ミーシャとシスティーナはバージル領で農民たちの補佐をしている。
今年の干ばつはほぼ間違いない。
ならばとその対策を行うためにシスティーナには井戸の技術を広めてもらうよう各地の領主に掛け合ってもらっていた。一つはアイスクラ卿の領地なので問題ないが、残るもう一つの領地に関しては連絡待ちといったところだ。
実際に見てもらわなければ納得してもらえないだろう。
今回は急ピッチで作業を行ったが、本来であれば誰でもできる方法で行わなければならないのだ。
かつての日本で培われた技術「上総掘り」(※明治時代の初期に、上総地方(千葉県中西部)で考案された掘り抜き井戸の掘削技術)を行うことで人力で掘削を行うことができる。
オレはマザーさんの協力を得て、試作品とその設計図を作成、システィーナとミーシャに井戸掘りに関する様々な技術をそれこそ「手取り足取り」伝授したのだった。
そのおかげで毎日寝不足!
彼女たちならきっと立派にお務めを果たしてくれることだろう。
帰ってきてから二人の「相手」をしなければならないが……仕方のないことだ。
「見えてきました」
先導するアンナが指さす。
そこには岩をくりぬいた生活住居が見て取れた。
それこそが――竜人族・白竜族の村だった。
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