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第一章「いきなり冒険者」
第28.5話 010「真夜中の……」
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いかに快適な寝床があろうと野営での就寝には細心の注意を払わなければならない。
森の近くの野営ともなればなおさらだ。
夜は魔物の時間。この辺は魔物の目撃情報は少ないとはいえ油断はできない。
シャルカ、カルル、マヤを中心としてミーシャと二人で交代で見張りをすることにした。
基本的にオレは睡眠を必要としない。なのでずっと見張りをしていてもいいのだが、それはミーシャにきつく咎められてしまった。
ミーシャ曰く「休憩は大切」なのだそうだ。どんなに疲れを感じなくても疲労というのは必ずどこかに現れる。それは些細なことかもしれないが小さなミスが大きな損害を引き起こす可能性もあるのだ。ミーシャの意見にも一理あると思った。いかに疲れ知らずだとしても慣れや侮りなどが生じないとも限らない。
オレは素直にミーシャの意見を聞くことにした。
――ということで、まずはオレが見張りを行うことにした。
◆ ◆ ◆ ◆
暗視の能力。それはわずかな光を収束させ暗闇の中でも昼間のように見ることができるのだ。
周囲に不審な気配はなかった。
静けさが漂う。
その中で近づいてくる気配があった。
「なんだ、眠れないのか?」
ミーシャはオレの言葉に静かに頷く。
隣にちょこんと座ると肩に頭を当ててきた。
「ん? どうしたんだ?」
「今回の依頼……勝手に受けてしまってよかったのかなって」
うつむき加減で告白する。
「ああ、そんなことか」
オレは急におかしくなった。
冒険者でもやはり悩むことがあるんだ。
「ミーシャ、オレは冒険者ってのは【困っている人を助ける仕事】だと思っているんだ」
俺の言葉にミーシャは顔を上げた。
生きるためには働かなければならない。しかし、それだけでは駄目だ。
「確かに人助けだけでは生きていけない。でも、オレ達が依頼を受けることで必ず恩恵を受ける人が出てくれるなら……オレは依頼を受ける価値があると思っている」
今回の依頼も道中の護衛などでかなり経費を浮かせている。完全な黒字というわけではないがそれ以上に得るものは大きいと思っている。
「オレはミーシャがこの依頼を受けてくれて正直ほっとしていたんだ」
「えっ?」
「ミーシャは……困った人を放っておけない優しい人なんだなって」
ミーシャは赤くなると「そんなことないです」と言ってうつむいてしまった。
う~ん可愛い!
思わず抱きしめキスする。
「……ん♡」
軽く身をよじっていたがすぐに舌を絡ませてきた。
「もう……ダメですよ」
そっと顔を離すと小声で抗議してきた。
怒った顔もまたイイ!
「はいはい」
ミーシャがほほにキスしてきた。
「それじゃ、少し寝ますね。後で交代に来ます」
そういってミーシャは立ち去っていく。
「ノゾミ」
「ん?」
「ありがとう」
そう言って立ち去るミーシャの背中はとても嬉しそうに見えた。
森の近くの野営ともなればなおさらだ。
夜は魔物の時間。この辺は魔物の目撃情報は少ないとはいえ油断はできない。
シャルカ、カルル、マヤを中心としてミーシャと二人で交代で見張りをすることにした。
基本的にオレは睡眠を必要としない。なのでずっと見張りをしていてもいいのだが、それはミーシャにきつく咎められてしまった。
ミーシャ曰く「休憩は大切」なのだそうだ。どんなに疲れを感じなくても疲労というのは必ずどこかに現れる。それは些細なことかもしれないが小さなミスが大きな損害を引き起こす可能性もあるのだ。ミーシャの意見にも一理あると思った。いかに疲れ知らずだとしても慣れや侮りなどが生じないとも限らない。
オレは素直にミーシャの意見を聞くことにした。
――ということで、まずはオレが見張りを行うことにした。
◆ ◆ ◆ ◆
暗視の能力。それはわずかな光を収束させ暗闇の中でも昼間のように見ることができるのだ。
周囲に不審な気配はなかった。
静けさが漂う。
その中で近づいてくる気配があった。
「なんだ、眠れないのか?」
ミーシャはオレの言葉に静かに頷く。
隣にちょこんと座ると肩に頭を当ててきた。
「ん? どうしたんだ?」
「今回の依頼……勝手に受けてしまってよかったのかなって」
うつむき加減で告白する。
「ああ、そんなことか」
オレは急におかしくなった。
冒険者でもやはり悩むことがあるんだ。
「ミーシャ、オレは冒険者ってのは【困っている人を助ける仕事】だと思っているんだ」
俺の言葉にミーシャは顔を上げた。
生きるためには働かなければならない。しかし、それだけでは駄目だ。
「確かに人助けだけでは生きていけない。でも、オレ達が依頼を受けることで必ず恩恵を受ける人が出てくれるなら……オレは依頼を受ける価値があると思っている」
今回の依頼も道中の護衛などでかなり経費を浮かせている。完全な黒字というわけではないがそれ以上に得るものは大きいと思っている。
「オレはミーシャがこの依頼を受けてくれて正直ほっとしていたんだ」
「えっ?」
「ミーシャは……困った人を放っておけない優しい人なんだなって」
ミーシャは赤くなると「そんなことないです」と言ってうつむいてしまった。
う~ん可愛い!
思わず抱きしめキスする。
「……ん♡」
軽く身をよじっていたがすぐに舌を絡ませてきた。
「もう……ダメですよ」
そっと顔を離すと小声で抗議してきた。
怒った顔もまたイイ!
「はいはい」
ミーシャがほほにキスしてきた。
「それじゃ、少し寝ますね。後で交代に来ます」
そういってミーシャは立ち去っていく。
「ノゾミ」
「ん?」
「ありがとう」
そう言って立ち去るミーシャの背中はとても嬉しそうに見えた。
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