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第四章「カルネアデス編」
第158話「魔法 ①」
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「紹介しよう。妹の魔夜の友達のアブ……リンゴちゃんだ」
「わぁ、さっきちらっとだけ見ましたけど、ちっちゃなお友達ですね」
「しかし、何故に望が紹介を?」
ミーシャとアンナは不思議そうだ。しかも、ちょっと引いた感じでオレを見ている。
それもそのはず。アープルはオレの腕にしがみついたまま離れようとしないのだ。
今までの反動だろうか、知らない世界での孤独は彼女の心にかなりの負担をかけていたらしい。
「どうぞ……よろしくお願いします」
アブールはぺこりと頭を下げた。
どこかよそよそしい態度だがこれは致し方ない事だろう。
「なあ、ミーシャもアンナもこの子を見て感じることはないか」
「望が幼女好き……」
いやいや、ミーシャさんオレでなくて。
「そうですね……なんというか、先ほども見て感じたのですがデジャブというのですか……以前にも似たようなことがあったような気がするのです」
アンナの言葉にミーシャがうんうんと頷く。
うーん。二人には記憶の断片のようなものがあるらしいが、果たしてどこまで思い出しているのだろうか。
この世界についてもまだよく分かっていない。
ここはオレのいた世界だ。それは間違いない。
だが、オレの世界は……オレがいた世界は……マザーさんの話ではとっくに滅んでいるはずだ。
まさかのタイムスリップ?
それにしては違和感も多い。
以前の世界とは若干ではあるが異なる点もある。
それがミーシャやアンナ、アブールの存在だ。
何故彼女たちがこの世界にいる?
他のアメリアやシスティーナもこの世界にきているのだろうか……まさか、他のあの場にいた者たちが全てこの世界にきているとは考えいくい。
だめだ。情報が足りない。
「私を見て何か感じることはないですか?」
アブールは必死になって二人に問いかける。しかし、思ったほどの反応もなくうなだれるだけだった。
「では、これを見て下さい」
アブールは右手を差し出した。ぱっと開くと一輪の花が握られていた。
おお、手品か! 驚きで記憶を呼び起こそうというのか?
しかし、これではいささか刺激が足りないぞ。
そう思っていると、花が二輪に増えた。
「すごい! リンゴちゃん手品ができるんだ」
「これは……まるで魔法ですね」
アンナの言葉にオレははっとした。
大切なことを忘れていた。
ここでは魔法は使えるのだろうか?
体内を意識してみる。
光のようなものがあった。まだ陽炎のようにうっすらとしたものだが確かにある。
具現化するにはまだイメージというか、力不足を感じる。
「これは……本物の魔法です」
アブールの手から蔓が伸びる。
ぎょっとするミーシャとアンナの目の前で、蔓がアブールの腕を覆い尽くした。
「望――これは?」
アンナがオレを見る。未知なるものにたいして恐れと興味の入り混じった色が見えた。
これは――チャンスかもしれない。
「ああ、魔法だよ。彼女は魔法使いなんだ」
正直にオレはそう伝えた。
「わぁ、さっきちらっとだけ見ましたけど、ちっちゃなお友達ですね」
「しかし、何故に望が紹介を?」
ミーシャとアンナは不思議そうだ。しかも、ちょっと引いた感じでオレを見ている。
それもそのはず。アープルはオレの腕にしがみついたまま離れようとしないのだ。
今までの反動だろうか、知らない世界での孤独は彼女の心にかなりの負担をかけていたらしい。
「どうぞ……よろしくお願いします」
アブールはぺこりと頭を下げた。
どこかよそよそしい態度だがこれは致し方ない事だろう。
「なあ、ミーシャもアンナもこの子を見て感じることはないか」
「望が幼女好き……」
いやいや、ミーシャさんオレでなくて。
「そうですね……なんというか、先ほども見て感じたのですがデジャブというのですか……以前にも似たようなことがあったような気がするのです」
アンナの言葉にミーシャがうんうんと頷く。
うーん。二人には記憶の断片のようなものがあるらしいが、果たしてどこまで思い出しているのだろうか。
この世界についてもまだよく分かっていない。
ここはオレのいた世界だ。それは間違いない。
だが、オレの世界は……オレがいた世界は……マザーさんの話ではとっくに滅んでいるはずだ。
まさかのタイムスリップ?
それにしては違和感も多い。
以前の世界とは若干ではあるが異なる点もある。
それがミーシャやアンナ、アブールの存在だ。
何故彼女たちがこの世界にいる?
他のアメリアやシスティーナもこの世界にきているのだろうか……まさか、他のあの場にいた者たちが全てこの世界にきているとは考えいくい。
だめだ。情報が足りない。
「私を見て何か感じることはないですか?」
アブールは必死になって二人に問いかける。しかし、思ったほどの反応もなくうなだれるだけだった。
「では、これを見て下さい」
アブールは右手を差し出した。ぱっと開くと一輪の花が握られていた。
おお、手品か! 驚きで記憶を呼び起こそうというのか?
しかし、これではいささか刺激が足りないぞ。
そう思っていると、花が二輪に増えた。
「すごい! リンゴちゃん手品ができるんだ」
「これは……まるで魔法ですね」
アンナの言葉にオレははっとした。
大切なことを忘れていた。
ここでは魔法は使えるのだろうか?
体内を意識してみる。
光のようなものがあった。まだ陽炎のようにうっすらとしたものだが確かにある。
具現化するにはまだイメージというか、力不足を感じる。
「これは……本物の魔法です」
アブールの手から蔓が伸びる。
ぎょっとするミーシャとアンナの目の前で、蔓がアブールの腕を覆い尽くした。
「望――これは?」
アンナがオレを見る。未知なるものにたいして恐れと興味の入り混じった色が見えた。
これは――チャンスかもしれない。
「ああ、魔法だよ。彼女は魔法使いなんだ」
正直にオレはそう伝えた。
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