上 下
194 / 406
第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」

第148話「VS タニア ⑥」

しおりを挟む
「グオォォォ!」

 雄叫びを上げタニアに飛びかかる。一撃即死の一撃を彼女はあっさりと避けた。振り向きざまに尻尾での一撃。

「うりゃ!」

 尻尾は鉤爪に阻まれる。
 右腕に魔力を溜める。変な力が魔力の集中を妨害している。

 邪魔だ!

 パリン! ガラスの砕けるような音。これで力を扱いやすくなった。

「あちゃ~アンチマジックを解除されちゃったよ」

 どうやら魔法無効化されていたのをオレが無理やり解除したらしい。もう一度右腕に魔力を溜めると今度はうまくいった。

 雷撃!

 稲妻がタニアを襲う。
 しかし、ダメージには至っていない。
 ふむ。では腕を増やしてみるか。
 もう一本ずつ腕を増やしてみた。合計で四本の腕があることになる。

「げげっ! 何それ!」

 タニアが面白そうに叫ぶがかまうものか。

「ファイアボルト!」

「ライトニングボルト!」

 それぞれに合成魔法を放った。それぞれの腕に魔法陣を形成。魔法陣を変化させることで様々な合成魔法を使用することができる。魔法陣はマザーさんの力を借りている。
 無理なく無駄なく楽しい合成魔法!
 強力な合成魔法の嵐にタニアが翻弄される。
 弾かれた魔法が周囲の森や大地に着弾しばくはつをおこす。

 ドガガガ!

 大地がえぐれ火柱が上がった。
 被害がかなり出ている。
 だからどうした。

 オレは破壊を楽しみたいのだ。
 こんな世界なくなればいい。

 違う。そうじゃない!

「違う!」

 何をしようとしている。
 オレは闇に飲まれようとしていたのか?

「うがぁぁぁ!」

 魔法の直撃を受けながらタニアが突っ込んできた。

「今のは少し痛かった。痛かったぞぉ!」

 回転を加えた強力な尻尾の一撃をもろに食らってしまう。

 ズガガガガ!

 大地をえぐりながらオレの身体が止まった。
 バワーもえげつない。
 オレはなんとか立ち上がり態勢を整えた。
 あんな一撃をもう一発食らう余裕などない。

「じゃあ、お返しだ!」

 タニアが――紅のドラゴンがブレスを放つ。魔力を込めた強力な火線。
 石の壁を形成し防御するが、石の壁はあっさりと破壊されてしまった。
 爆発が起こる。周囲には炎が充満し、近くの森にまで炎が広がっていた。
 酷い状況だった。半分はオレのせいだ。
 森林火災が発生している。
 消化しなければ。
 くそう。こんな時に水魔法でもあれば……

「ノゾミン、もう抵抗は終わりかな?」

 タニアが目の前に立つ。
 肉弾戦も魔法戦もタニアには通じなかった。

(報告。個体名「セレス」および「マーリル」を「ほとばしる白い稲妻」によって調査した結果が出ました)

 この状況で。

(解析結果。魚人族の固有能力「水操作」「水魔法」「水呼吸」を確認。身体能力最適化実行中……能力の獲得に成功しました)

 おっ、これで水魔法まで使えるのか。
 視界が揺れる。

 あ、あれ?

 何かがおかしい。

(警告。身体に異常を感知。何者かがシステムに侵入してき……ザザザザ……)

 マザーさんの警告が不意に途切れた。

《地水火風、そして光と闇の魔法を検知しました》

 誰だ? 女性の声?
 優しい声音。
 温かなぬくもりに包まれる感覚。
 何が……どうした?

《これより【神化】を開始します》

 いや待て……神化って……

 意識が薄れていく。

 何が……起こっている……

 意識はそこで途切れた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜

福寿草真@植物使いコミカライズ連載中!
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】 何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。 魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!? これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。 スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...