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第二章「魔法学園の劣等生 入学編」

第82話「タニアとカルネアデス」

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「ノゾミ君……♡」

 オレの背にアメリアの幼い胸が当たる。
 口に頬に、そして耳にアメリアがキスしてくる。

「すごく良かったよ♡」

「さすがはボクが見込んだだけのことはあるね。凄いよノゾミン」

 タニアも身を起こしてオレにキスしてくる。
 彼女の柔らかい果実とさくらんぼさんがオレの胸に押しつけられた。
 前と後ろから素晴らしいサンドです。

「あっ、私が先です!」

「ボクも負けてませんよ」

 二人の舌がオレの舌を求めてチロチロとうごめく。結局三人でのキスとなってしまった。
 ノゾミEXは消えてしまって今はいない。まだ、短時間でしか実体化できないようだ。

「ノゾミ君はじっとしてていいですよ♡」

「ボクが気持ち良くしてあげるからね♡」

「気持ちよくするのは、私です♡」

 いがみ合う二人。
 勢いでもう一回3Pをヤってしまいました。

 ◆ ◆ ◆ ◆

「タニア……お前はいったい何なんだ?」

 ひとしきり楽しんだ後。
 ようやく二人が落ち着いた頃にオレはタニアに問いかける。
 もちろん答えなど期待していない。だが、聞かずにはいられなかった。
 あまりにも多くの謎が、目の前で起こっている。

「ボク?」

 タニアは首を傾げる。

「ボクは君と同じだよ。と言っても、生まれも育ちもこの星だけどね」

 この星……と彼女は言った。
 ゆっくりと服を着ながら、近くの本に腰掛けた。
 彼女の言っている意味が、重みを増してくる。

「じゃあ、オレは何なんだ?」

「君かい?君は……カルネアデスという破壊の種子から生まれた破滅の申し子さ」

 破壊?破滅?なぜカルネアデスを知っている?
 オレはこの星の調査をしている。ただそれだけのはずだ。それなぜ、破壊の申し子などと言われなければいけないんだ。

(警告。個体名「タニア」の思想は危険です。この場からの即時撤退を推奨します)

 マザーさんもいつになくピリピリしている感じだ。

「少し……考える時間をくれ」

「そうだね。いきなりのことで混乱するよね」

 タニアはあっさりと引き下がった。それがかえって不気味だ。図書館内は明るい。光源見えないのだが、室内だというのに字が読めるほどには明るいのだった。
 タニアは立ち上がった。

「あーあ、せっかくノゾミンと仲良くなれたのにもうお別れかぁ……」

「お別れ?」

「まあね。君の事を調査する為にこの学園に入学したんだけど……せっかく入学しても正体がバレたんじゃ仕方ないよ」

 ということは、こちらが入学するという辺りから情報が漏れていたということか……もしかするとそれ以前からマークされていた。例えば、この星に到着したときから既に監視されていたのかもしれない。
 人類移民船のことを知っているくらいだ。オレとマヤの素性などとっくに知られていると思った方がいい。
 では、黒幕は一体誰だというのか。
 駄目だ。情報が少なすぎて推理できない。

「うーん。考えるのをやめよう。悩むだけ無駄だ」

「そうだよ。悩んだってしょうがない。それでこそノゾミンだよ」

 褒めているんだかけなしているんだか。

「それじゃぁ、ボクは行くね」

 タニアは明るく手を振った。

「また会おう。できれば今度は違う形で出会いたいね」

 タニアとの別れ。
 それ以降、タニアを魔法学園で見かけることはなかった。

 ◆ ◆ ◆ ◆

「行っちゃいましたね」

 タニアが立ち去り、アメリアも服を着るとぴったりとオレに寄り添った。
 腕にしがみつき離れない。

「私をこんなにしたんだから、責任とって下さいね♡」

「はいはい」

「ハイは一回です♡」

 キスして怒られました。

(報告。個体名「アメリア」を「白い稲妻」によって調査した結果が出ました)

 変な名前は継続中。

(解析結果。エルフ族の固有能力「長寿」「自然感知」「精霊魔法」「風魔法」を確認。身体能力最適化実行中・・・能力の獲得に成功しました)

(報告。個体名「アメリア」がパートナーになりました。個体名「アメリア」の特殊能力「風精霊召喚」を確認、身体の最適化を構築中……成功しました)

 風精霊召喚だと!

「先生……風精霊召喚って?」

 オレの言葉にアメリアは驚いたように振り向いた。

「どうして風精霊の事を!」

 どうやら秘密にしておくべき事柄だったようだ。

「うーん。でもノゾミ君なら知っていても不思議ではないみたいですしね」

 彼女の視線はオレの二の腕の封魔の腕輪に注がれている。どうやらオレの秘密に気付かれてしまったようだ。

「先生の事ならどんなことでも知っていますよ……まさかあんなところにホクロがあるだなんて……」

「ち、ちよっと!変な言い方しないで下さい♡」

「先生のお口で聖剣をしやぶってくださったあの感触……嗚呼、柔らかく小さな舌触り、唇の温かさ!オレはあの感覚を一生忘れないでせう!」

「ノゾミ君……それ以上言うと……怒りますよ!」

 アメリアが頬をふくらませて御立腹。
 ハイ、スミマセン。
 ちょっとおふざけが過ぎたようだ。
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