16 / 324
第1巻第2章 マッシュの家族救出作戦
次なる目標。オリガの心。
しおりを挟む
「チェックメイト、ってやつかな? チェスってほとんどわからないんだけど」
左右から魔物に押さえつけられ、身動きができないジョン王子に、マヤはおどけてそう言った。
「ふっ……。ふざけた娘だ。殺したいなら殺すがいい」
「ううん、それはいいや。殺したら後が面倒さそうだし。それより、秘薬にやられたマッシュの家族を治す方法を教えて」
マヤの言葉に、ジョン王子は一瞬苦虫を噛み潰したような表情になる。
おそらく、王族として名誉ある死を望んでいたのだろう。
しかし、それはマヤにとっては不都合しかない。
ここでジョン王子を殺せば、王子の父であるこの国の国王からマヤたちは命を狙われるだろう。
逆に、ここでジョン王子を生かしておけば、今回の騒動はジョン王子自身によって隠蔽されるはずだ。
そこらへんの小娘一人に自分の城に乗り込まれた挙げ句、兵を壊滅させられ、秘密裏に進めてい魔物たちの軍団も奪われた、などどは口が裂けても言えないだろうから。
「なるほど、可愛いだけののんきな村娘かと思ったが、案外したたかなやつだ」
マヤの「後が面倒さそう」という言葉だけですべてを察したジョン王子が自嘲気味に笑う。
「さすが、汚いことをいっぱいやってそうな王子様は頭の回転が速いね」
「なんとでも言え……。いいだろう、秘薬を使われた者の治し方を教えてやる」
拘束されたジョン王子が言うには、秘薬にやられたものが心を取り戻すには、ハーフエルフだけが使える治癒魔法が必要とのことだ。
「しかし、エルフは人と交わることを嫌う者がほとんどだ。ハーフエルフはそうそう見つからないだろう」
「そうなんだ、でも私は見つけるよ。見つけてマッシュの家族を取り戻す」
マヤはそう言い残すと、ジョン王子に背を向けた。
「そうそう、これからあなたが何をするかは知らないし興味もないけど―――」
そこまで言って、マヤはジョン王子に振り返る。
「今後また私の仲間に迷惑かけたら、その時は、わかってるよね?」
目を細めてそう言ったマヤに、ジョン王子は体が重くなったように錯覚した。
(こいつは魔物を使役できる以外ほぼ無力なはず……だというのに、何だこの迫力は……)
「じゃ、そういうことだから」
言葉を発しなくなってしまったジョン王子をおいて、今度こそマヤはジョン王子のところ後にした。
***
「マッシュ、家族の様子は?」
「妻はわかっていたが、子どもたちも同じ薬を使われている様だ……」
マッシュは家族と再開できたは嬉しさと、会話ができない状態になっていた悲しさで複雑な表情をしていた。
「そうなんだ……」
「でも、どうにかなるのだろう?」
「うん、ハーフエルフを見つけられればね」
「では、それを探すまでだ」
「そうだね。次の目標はそれだね。そういえば、マッシュの奥さんって何ていう名前なの?」
「私の妻に名前はない。そもそも私の「マッシュ」という名前にしたって、お前がつけたものだろう」
「そういえばそうだったね」
1ヶ月前マヤがこちらの世界に来てマッシュに名前をつけたのだ。
「名付けというのは本来大きな意味を持つのだが、まあマヤにはわからなくても仕方あるまい」
「えーなにそれ? まあわからないけどさー。じゃあさ、マッシュの家族も私が名前つけていい?」
「構わんぞ。ただし、あんまり適当な名前だと怒るからな?」
「わかってるって。じゃあ奥さんはブランちゃん、そっちのマッシュと同じ栗色の毛の子は、えーっと―――」
ほどなくして、マヤはマッシュの家族4人(4羽?)に名前をつけ終えた。
「じゃ、もうちょっとしたら撤収するからね」
マヤはマッシュにそう言い残すと、マッシュとその家族のところを後にする。
「全く、ほいほい名前を付けおって……後でどうなっても知らんぞ」
マッシュが後ろでなにか言っていた気がしたが、マヤの意識はすでにオリガに移っており、全く聞こえていないようだった。
***
マヤは落ち着かせる意味もあっていったん一人にしていたオリガのところに戻ってきた。
「落ち着いた?」
「っっっ……!」
マヤが声をかけると、オリガはビクッと肩を震わせる。
「ねえ、オリガ。オリガは悪くないんだよ? 悪いのは全部あの腹黒王子様なんだから」
マヤは親指で後ろで拘束されているジョン王子を指す。
しばらく待っていると、オリガはぽつりぽつりと話し始めた。
「私、知ってました……」
「うん」
マヤは急かすことなくオリガが話すのを待つ。
「私の、ダークエルフの髪が、秘薬の材料になるって……」
「うん」
「でも、なんでもいいやって、こんな世界どうでもいいやって、そう、思って……っ!」
「うん」
「だからっ、だか、ら……っ!」
「うん」
「私は、マヤさんたちと一緒にいる資格なんて……」
「うん」
「私にはマヤさんと一緒にいる資格がないんです!」
「うん、そうかもね」
「……え?」
心のどこかでマヤなら否定してくれると思っていたのか、オリガは呆然としてマヤを見つめる。
そんな自分を自覚したとき、オリガはまた自己嫌悪に陥った。
「でも、そんな資格、私にだってないよ」
「どういうこと……ですか?」
「簡単なことだよ。一緒にいるのに資格なんていらないってこと。一緒にいたければ一緒にいればいいし、一緒にいたくないならどっか行っちゃえばいい」
「そんな簡単なこと、ですか?」
「うん、そんな簡単なことだよ。案外みんなしたいようにしてると思うけど?」
そもそもオリガはマヤに巻き込まれる形で前の居場所からマヤのところの来ている。
もちろん前の居場所は無法者のところなので、マヤが助けた形かもしれないが、マヤに巻き込まれてマヤのところにいるのも事実だ。
そういう意味では、マヤ方がオリガと一緒にいる資格などないのだろう。
「だからさ、資格どうこうよりも、オリガがどうしたいのか、聞きたいな」
マヤは座ったままのオリガに視線を合わせるようにしゃがみ、うつむいて髪に隠れてしまっているオリガの顔を覗き込む。
オリガの視線とマヤの視線がぶつかった。
「っっ!」
オリガは頭を振ると視線をそらしてしまう。
「ちゃんと私の目を見て」
マヤはオリガの柔らかいほっぺたを両側から挟むと、オリガの顔を自分の方に向けた。
「やめてください」
「じゃあ振りほどいていいいよ? ほら強化」
マヤの強化の光がオリガに流れ込む。
同時に、オリガはマヤの心が流れ込んでくる気がした。
「オリガはここにいていいんだよ」「私がオリガと一緒にいたいんだよ」そんなマヤの心が、オリガの中に流れ込んでくる。
(温かい……)
それはオリガが手放してしまったもの。
オリガを受け入れてくれていたオリガの家族がオリガに向けてくれていた思いと同じだった。
「わた、わたし、は……」
「うん」
マヤがゆっくりとうなずくと、オリガの目元から涙が溢れる。
「やっぱり、マヤさんと、マヤさん達と、一緒にいたい、です……っっ!!」
「うん、よく言えました」
マヤは頬に添えていた右手をマヤの頭に動かすと、オリガの黒髪をゆっくりと撫でる。
マヤはオリガが落ち着くまで、オリガの頭をなで続けてあげたのだった。
左右から魔物に押さえつけられ、身動きができないジョン王子に、マヤはおどけてそう言った。
「ふっ……。ふざけた娘だ。殺したいなら殺すがいい」
「ううん、それはいいや。殺したら後が面倒さそうだし。それより、秘薬にやられたマッシュの家族を治す方法を教えて」
マヤの言葉に、ジョン王子は一瞬苦虫を噛み潰したような表情になる。
おそらく、王族として名誉ある死を望んでいたのだろう。
しかし、それはマヤにとっては不都合しかない。
ここでジョン王子を殺せば、王子の父であるこの国の国王からマヤたちは命を狙われるだろう。
逆に、ここでジョン王子を生かしておけば、今回の騒動はジョン王子自身によって隠蔽されるはずだ。
そこらへんの小娘一人に自分の城に乗り込まれた挙げ句、兵を壊滅させられ、秘密裏に進めてい魔物たちの軍団も奪われた、などどは口が裂けても言えないだろうから。
「なるほど、可愛いだけののんきな村娘かと思ったが、案外したたかなやつだ」
マヤの「後が面倒さそう」という言葉だけですべてを察したジョン王子が自嘲気味に笑う。
「さすが、汚いことをいっぱいやってそうな王子様は頭の回転が速いね」
「なんとでも言え……。いいだろう、秘薬を使われた者の治し方を教えてやる」
拘束されたジョン王子が言うには、秘薬にやられたものが心を取り戻すには、ハーフエルフだけが使える治癒魔法が必要とのことだ。
「しかし、エルフは人と交わることを嫌う者がほとんどだ。ハーフエルフはそうそう見つからないだろう」
「そうなんだ、でも私は見つけるよ。見つけてマッシュの家族を取り戻す」
マヤはそう言い残すと、ジョン王子に背を向けた。
「そうそう、これからあなたが何をするかは知らないし興味もないけど―――」
そこまで言って、マヤはジョン王子に振り返る。
「今後また私の仲間に迷惑かけたら、その時は、わかってるよね?」
目を細めてそう言ったマヤに、ジョン王子は体が重くなったように錯覚した。
(こいつは魔物を使役できる以外ほぼ無力なはず……だというのに、何だこの迫力は……)
「じゃ、そういうことだから」
言葉を発しなくなってしまったジョン王子をおいて、今度こそマヤはジョン王子のところ後にした。
***
「マッシュ、家族の様子は?」
「妻はわかっていたが、子どもたちも同じ薬を使われている様だ……」
マッシュは家族と再開できたは嬉しさと、会話ができない状態になっていた悲しさで複雑な表情をしていた。
「そうなんだ……」
「でも、どうにかなるのだろう?」
「うん、ハーフエルフを見つけられればね」
「では、それを探すまでだ」
「そうだね。次の目標はそれだね。そういえば、マッシュの奥さんって何ていう名前なの?」
「私の妻に名前はない。そもそも私の「マッシュ」という名前にしたって、お前がつけたものだろう」
「そういえばそうだったね」
1ヶ月前マヤがこちらの世界に来てマッシュに名前をつけたのだ。
「名付けというのは本来大きな意味を持つのだが、まあマヤにはわからなくても仕方あるまい」
「えーなにそれ? まあわからないけどさー。じゃあさ、マッシュの家族も私が名前つけていい?」
「構わんぞ。ただし、あんまり適当な名前だと怒るからな?」
「わかってるって。じゃあ奥さんはブランちゃん、そっちのマッシュと同じ栗色の毛の子は、えーっと―――」
ほどなくして、マヤはマッシュの家族4人(4羽?)に名前をつけ終えた。
「じゃ、もうちょっとしたら撤収するからね」
マヤはマッシュにそう言い残すと、マッシュとその家族のところを後にする。
「全く、ほいほい名前を付けおって……後でどうなっても知らんぞ」
マッシュが後ろでなにか言っていた気がしたが、マヤの意識はすでにオリガに移っており、全く聞こえていないようだった。
***
マヤは落ち着かせる意味もあっていったん一人にしていたオリガのところに戻ってきた。
「落ち着いた?」
「っっっ……!」
マヤが声をかけると、オリガはビクッと肩を震わせる。
「ねえ、オリガ。オリガは悪くないんだよ? 悪いのは全部あの腹黒王子様なんだから」
マヤは親指で後ろで拘束されているジョン王子を指す。
しばらく待っていると、オリガはぽつりぽつりと話し始めた。
「私、知ってました……」
「うん」
マヤは急かすことなくオリガが話すのを待つ。
「私の、ダークエルフの髪が、秘薬の材料になるって……」
「うん」
「でも、なんでもいいやって、こんな世界どうでもいいやって、そう、思って……っ!」
「うん」
「だからっ、だか、ら……っ!」
「うん」
「私は、マヤさんたちと一緒にいる資格なんて……」
「うん」
「私にはマヤさんと一緒にいる資格がないんです!」
「うん、そうかもね」
「……え?」
心のどこかでマヤなら否定してくれると思っていたのか、オリガは呆然としてマヤを見つめる。
そんな自分を自覚したとき、オリガはまた自己嫌悪に陥った。
「でも、そんな資格、私にだってないよ」
「どういうこと……ですか?」
「簡単なことだよ。一緒にいるのに資格なんていらないってこと。一緒にいたければ一緒にいればいいし、一緒にいたくないならどっか行っちゃえばいい」
「そんな簡単なこと、ですか?」
「うん、そんな簡単なことだよ。案外みんなしたいようにしてると思うけど?」
そもそもオリガはマヤに巻き込まれる形で前の居場所からマヤのところの来ている。
もちろん前の居場所は無法者のところなので、マヤが助けた形かもしれないが、マヤに巻き込まれてマヤのところにいるのも事実だ。
そういう意味では、マヤ方がオリガと一緒にいる資格などないのだろう。
「だからさ、資格どうこうよりも、オリガがどうしたいのか、聞きたいな」
マヤは座ったままのオリガに視線を合わせるようにしゃがみ、うつむいて髪に隠れてしまっているオリガの顔を覗き込む。
オリガの視線とマヤの視線がぶつかった。
「っっ!」
オリガは頭を振ると視線をそらしてしまう。
「ちゃんと私の目を見て」
マヤはオリガの柔らかいほっぺたを両側から挟むと、オリガの顔を自分の方に向けた。
「やめてください」
「じゃあ振りほどいていいいよ? ほら強化」
マヤの強化の光がオリガに流れ込む。
同時に、オリガはマヤの心が流れ込んでくる気がした。
「オリガはここにいていいんだよ」「私がオリガと一緒にいたいんだよ」そんなマヤの心が、オリガの中に流れ込んでくる。
(温かい……)
それはオリガが手放してしまったもの。
オリガを受け入れてくれていたオリガの家族がオリガに向けてくれていた思いと同じだった。
「わた、わたし、は……」
「うん」
マヤがゆっくりとうなずくと、オリガの目元から涙が溢れる。
「やっぱり、マヤさんと、マヤさん達と、一緒にいたい、です……っっ!!」
「うん、よく言えました」
マヤは頬に添えていた右手をマヤの頭に動かすと、オリガの黒髪をゆっくりと撫でる。
マヤはオリガが落ち着くまで、オリガの頭をなで続けてあげたのだった。
0
お気に入りに追加
561
あなたにおすすめの小説
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)


元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる