90 / 94
番外編 Love Addict
35-10
しおりを挟む
正直竜司は上手くやってる、と思う。実は結構話すのが好きなのに、あえて寡黙な男を演じ、余計なことは言わない。その方が良い。
デビューしてからもう10年くらいは経っているが、それなりに揺ぎないポジションを確立している。
歌うのが好き。
竜司の出す音が好き。
だからこそ余計な情報を与えて色目で見られるのは嫌だった。純粋に自分達の作り出す音を聴いて欲しい。さっきも新曲を二人で弄っていた。
(アレンジ……途中なのに)
それでも抱かれると、性欲が優先されてしまう。
バックでされるのは結構好きだ。前からだと、脚を開いている自分がとてもみっともなく感じられて羞恥心を刺激される。
背中に感じる竜司の体温が好き。拘束されるみたいにぎゅうっと抱き締められるのが安心する。
顔なんか見えなくても、息遣いで相手が今どんなだか、わかる。
竜司のは大きくて、いつも苦しい。体の奥底まで貫かれる感触は、何度抱かれても頭の中が熱く痺れてしまって、つい甘えた声を出してしまう。
尤も、声を殺そうとして我慢すると、竜司が余計にはりきるのを経験上知っている。そうすると、もう無茶苦茶抱かれる羽目になる。
(たまにならいいけど)
いつもだと壱流が大変なので、学習してからはあまり声を我慢しないことが多い。まひるたちのいる部屋まで聞こえるわけでもない。一緒に暮らしていたら、こういうわけにもいかない。
竜司にいいようにされてよがってしまう自分を、かなり前にビデオで見たことがある。あれは竜司が忘れた時の保険だったが、それでも顔から火が出るような恥ずかしさで、渋る竜司を無視して消してしまった。
「壱流……今、何考えてんだ?」
中を執拗に攻められながら突然問われたので、壱流はちょっと首を動かして竜司を見た。
「なに……って、別に」
「そっか? やけに締めてくるからさあ」
「そ、んなこ……っ、や、りゅ、竜、っ……」
「――無理に喋んなくていいぜ?」
楽しそうな声に、少し悔しくなる。喋らせないのは竜司だ。こんなに激しくされたら、ちゃんとした言葉にならない。繋がったまま脚を抱えられて、ごろんと体勢を変えられてしまい、一瞬貧血にも似た眩暈に襲われる。
「そ……ゆの、やめ……」
抗議の声も、途切れる。
デビューしてからもう10年くらいは経っているが、それなりに揺ぎないポジションを確立している。
歌うのが好き。
竜司の出す音が好き。
だからこそ余計な情報を与えて色目で見られるのは嫌だった。純粋に自分達の作り出す音を聴いて欲しい。さっきも新曲を二人で弄っていた。
(アレンジ……途中なのに)
それでも抱かれると、性欲が優先されてしまう。
バックでされるのは結構好きだ。前からだと、脚を開いている自分がとてもみっともなく感じられて羞恥心を刺激される。
背中に感じる竜司の体温が好き。拘束されるみたいにぎゅうっと抱き締められるのが安心する。
顔なんか見えなくても、息遣いで相手が今どんなだか、わかる。
竜司のは大きくて、いつも苦しい。体の奥底まで貫かれる感触は、何度抱かれても頭の中が熱く痺れてしまって、つい甘えた声を出してしまう。
尤も、声を殺そうとして我慢すると、竜司が余計にはりきるのを経験上知っている。そうすると、もう無茶苦茶抱かれる羽目になる。
(たまにならいいけど)
いつもだと壱流が大変なので、学習してからはあまり声を我慢しないことが多い。まひるたちのいる部屋まで聞こえるわけでもない。一緒に暮らしていたら、こういうわけにもいかない。
竜司にいいようにされてよがってしまう自分を、かなり前にビデオで見たことがある。あれは竜司が忘れた時の保険だったが、それでも顔から火が出るような恥ずかしさで、渋る竜司を無視して消してしまった。
「壱流……今、何考えてんだ?」
中を執拗に攻められながら突然問われたので、壱流はちょっと首を動かして竜司を見た。
「なに……って、別に」
「そっか? やけに締めてくるからさあ」
「そ、んなこ……っ、や、りゅ、竜、っ……」
「――無理に喋んなくていいぜ?」
楽しそうな声に、少し悔しくなる。喋らせないのは竜司だ。こんなに激しくされたら、ちゃんとした言葉にならない。繋がったまま脚を抱えられて、ごろんと体勢を変えられてしまい、一瞬貧血にも似た眩暈に襲われる。
「そ……ゆの、やめ……」
抗議の声も、途切れる。
1
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる