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番外編 Love Addict
35-4
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家庭訪問した中には、父親が居合わせることも稀にあったが(普通は会社に行ったりしてるのでなかなか出くわさない)、こんなにレベルの高い父親はいなかった。
(か……かっこいいぃ)
「先生? どうかしました?」
思わず口元を押さえてうわずった瀬尾に、まひるが不思議そうな視線を向ける。はっとして姿勢を正し、「いえなんでも、なんでもないです」と取り繕う。まひるの隣の椅子に腰を下ろした壱流は、瀬尾を数秒見つめて、軽く会釈した。
(目が……目が潤んでる)
なんだろうかこの艶のある視線は。
別に瀬尾のことを色目で見ているわけではないのはわかる。そういう表情ではないし、そこまで自意識過剰ではない。
瀬尾は自分をごく一般的なレベルの男だと評価しているし、実際その通りだ。見た目はしっかりした体つきで長身なのに、雰囲気からちょっと頼りない感じ、と言われることがままある。
まふゆと共通する壱流の深い黒瞳は、しかし奥底が知れない。
「どうも」
「……ど、どうも」
デビューした時からずっと彼らを見てきた。当時から目を惹く瀬尾好みの良い男だったが、年を重ねるごとに壱流は更においしそうな良い男に成長してくれた。ギタリストは範疇ではない。出す音は好きだが、瀬尾は自分よりでかくていかつい男は好みではなかった。
「まひる、俺のコーヒーは?」
テーブルには二つのカップしかない。ちらりとそれを見て催促している壱流に、まひるはまだ飲んでいなかった自分のカップを横にスライドさせ、立ち上がる。
「少し冷めただろうから、それ飲んでて」
猫舌なのだろうか。言われて壱流は素直にそれに口をつけた。まひるは自分の分を淹れる為か、キッチンへと消えてしまった。
(うわあ、二人きり)
無駄にどきどきしてきた。何を話せば良いのだろうと、教師と保護者という立場をうっかり忘れ、瀬尾はうろたえる。
「……まふゆ、先生から見てどんなです? 変な子だったりするかな」
テンパっていたら、壱流が切り出した。
やっぱりいい声をしている。歌っている時が一番好きだが、話している時の声も心地良い。
近くで見ても、本当に良い男だ。TVで見るよりずっと感動がある。まだ20代だと言われても全然無理がない。そして正体不明の色気をまとっている。この濡れた瞳が罪深くていけない。
(か……かっこいいぃ)
「先生? どうかしました?」
思わず口元を押さえてうわずった瀬尾に、まひるが不思議そうな視線を向ける。はっとして姿勢を正し、「いえなんでも、なんでもないです」と取り繕う。まひるの隣の椅子に腰を下ろした壱流は、瀬尾を数秒見つめて、軽く会釈した。
(目が……目が潤んでる)
なんだろうかこの艶のある視線は。
別に瀬尾のことを色目で見ているわけではないのはわかる。そういう表情ではないし、そこまで自意識過剰ではない。
瀬尾は自分をごく一般的なレベルの男だと評価しているし、実際その通りだ。見た目はしっかりした体つきで長身なのに、雰囲気からちょっと頼りない感じ、と言われることがままある。
まふゆと共通する壱流の深い黒瞳は、しかし奥底が知れない。
「どうも」
「……ど、どうも」
デビューした時からずっと彼らを見てきた。当時から目を惹く瀬尾好みの良い男だったが、年を重ねるごとに壱流は更においしそうな良い男に成長してくれた。ギタリストは範疇ではない。出す音は好きだが、瀬尾は自分よりでかくていかつい男は好みではなかった。
「まひる、俺のコーヒーは?」
テーブルには二つのカップしかない。ちらりとそれを見て催促している壱流に、まひるはまだ飲んでいなかった自分のカップを横にスライドさせ、立ち上がる。
「少し冷めただろうから、それ飲んでて」
猫舌なのだろうか。言われて壱流は素直にそれに口をつけた。まひるは自分の分を淹れる為か、キッチンへと消えてしまった。
(うわあ、二人きり)
無駄にどきどきしてきた。何を話せば良いのだろうと、教師と保護者という立場をうっかり忘れ、瀬尾はうろたえる。
「……まふゆ、先生から見てどんなです? 変な子だったりするかな」
テンパっていたら、壱流が切り出した。
やっぱりいい声をしている。歌っている時が一番好きだが、話している時の声も心地良い。
近くで見ても、本当に良い男だ。TVで見るよりずっと感動がある。まだ20代だと言われても全然無理がない。そして正体不明の色気をまとっている。この濡れた瞳が罪深くていけない。
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