上 下
24 / 26

その声に溶かされるから。

しおりを挟む
(真幸目線です)




「…千紘、飲み過ぎだ」
人はストレスにさらされると、
快楽に逃げ込んでしまう事もある。
俺も人の事は言えないし、
充分に理解してるつもりだった。

つまり、だったからか…。

リビングに転がるアルコール飲料の缶や瓶。
珍しく2人で家飲みをしていた。
楽しくて、愉しくてすっかり
タガが外れてしまっていたのだ。

『まさき~』
にっこにこの笑顔が心を揺るがす。
控えめに言って本当に天使みたいな
笑顔が眩しい。
天然記念物と言っても過言ではない
千紘の笑顔で、心を溶かされる。

「千紘、もうお開き…今日はこれまでな。」
千紘は顔を赤く染めながら、一応
頷いてはいる。が、理解はしてないだろう。
『おしゃけ…おしまい?』
こてん、と首を傾げてソファの上で
横座りしている動作に釘付けになる。

「そ、おしまい。さ、寝る準備しようか?」

『はぁい。ね~、まさき?お手洗い来てくれる?』
?!どうしたんだろう、気分が悪いのか?
「大丈夫か?千紘…もしかして気持ち悪い?」

『違うよ~』
「とりあえず、連れてくから…」
千紘からの視線をうけながら、これはリビングからトイレへと千紘の肩を支えながら歩く。
これは泥酔と言ってもいいだろう。

ドアを開けて
「吐きそうだったら、タオルと水持ってくる」
『平気だよ、平気…そじゃなくて…』
ドアを閉めた千紘の事を心配しながら
数分が経過して、一応ドアをノックした。
が、反応は無い。
そーっとドアを開けると、今にも
寝てしまいそうな千紘が、船を漕いでいた。

「寝るにしても、済ませてからにしないと」
『分かってる、分かってるよぉ…もぉ、あっち行っててよぉ…えっちぃ♡』

千紘に押されて、廊下に出ると
すぐにドアから出て来た千紘に
『まさき~さっきからさ、えっちな目で見過ぎじゃなぁい?』
と、絡まれて寝室に連れて行き
着替えをさせれば千紘に抱きつかれた。

『おしゃけ…こわい。俺が俺じゃなくなる。』
などと言い、俺は千紘を抱き締める。
「千紘は千紘だから大丈夫。でも今日はチョット飲み過ぎたかな?」
『そ、だね…うん。ちょっとね、だから反省してるの。』

千紘のしおらしい言葉が、愛おしくて
頬に何度も口付ける。
無防備な千紘は、薄らと唇を開いて
キスを仕掛けてくる。
アルコールくささの中にも
恥じらいや羞恥心を窺わせる
表情が見え隠れしている。

のけぞらせた喉のラインが艶かしくて
心臓の鼓動がうるさい。
抱き締めずにはいられない。
熱い口内を優しく蹂躙しながら
腰で、千紘が落ちない様に支える。

熱く溶けてしまいそうな柔らかい
千紘の口内に気持ちばかりが昂ぶっていく。


『ぁ…っは…』
透明な糸が2人を繋ぎ、静かに切れる。
「お口、くちゅくちゅになってる」
『ふふ…っ』
千紘が俺の足元に膝立ちして
ズボンの上から下腹部に頬を寄せる。

頭がクラクラしてしまいそうな
願っても無い光景だ。

「千紘…、こら、こんなとこではダメだよ。」
制されると、面白く無かったのか
千紘は、ズボンの上から俺の性器に
軽く噛み付いた。

痛くも何ともなく、ただぎこちない
愛撫の様でじれったかった。

『くぅ…ん…』
こんな可愛いくて、もどかしいだけの
拷問なんて聞いたことが無い。
「こら、千紘…離しなさい?」
出来るだけ優しく接しても、すっかり
甘えたなスイッチが入った千紘には
何を言っても通じない。

『んん…っ、』
急に、動きが止まった千紘に
不安を覚えて、俺は様子をうかがう。

性器への甘噛みは、また再開されてしまい
ただ焦れていくだけ。
耳が赤くなっている千紘に
「こんな仔猫の甘噛みで、終わらせられると思ったのかな?星明くん。」

千紘は、呼ばれた名前に眼を彷徨わせて
一旦口を離した。
『星明じゃ、ないもん…』
動揺してる、少なくとも。

「星明くんは、まだ知らないだけでね…俺にももう一つの名前があるんだよ。」
これは、嘘でも何でも無いホントの話。
天乃屋 星明のキャラに合わせた
お話とキャラを制作してもらったのだ。

『知ってるよ…?俺の兄様になってくれるんでしょ、名前は…月夜(つくよ)』
「そうだよ。星明、もう一度…名前を呼んで?」
ふにゃふにゃな笑顔が溶けていたのが、
ピクッと態度に変化が現れる。
『…月夜…は、俺の兄様なのにいいの?』
どう言う意味だろうかと、一瞬
言葉を探したけど
「お前の兄だから…、良いと思っている。」
『なにそれ?…すっごいえっちな感じする…』

まぁこれも、いつかの為の経験になるのかもしれない。
「星明が、私を…そうさせる。」
徐々に意識をさせる様に、少しずつ
声を作りながら千紘に触れる。

『その声…が、兄様の声?』
「あぁ、星明が好きだと言ってくれた、ね。」
『月夜兄様…、』
「どうしたんだい?星明」
『ん、やっぱり何でも無い…っ、ん…』


このまま離すなんて出来なくて
千紘をベッドへと上げると
「平気?」
と、一応の確認をする。
『準備はしてある…よ』
控えめな言葉に思えて、実は結構
大胆な発言だと気づいたらしい。
千紘の衣服を流しながら、相変わらず
綺麗な肌の質感が手に吸い付く様だ。

美しい胸板に、控え目な飾りが目立つ。
「星明…」
指先で小さな突起を撫ぜる。
爪の先に突起が程良く、引っかかった。
『んっ…』
千紘は、酔ってるからかいつもより
感度が良さそう。
腰をもどかしげに、揺する瞬間を
見逃さなかった。

「可愛いね、ほら…ぷっくり膨らんで来た。気持ちよさそう」
『引っ張っちゃヤだぁ…っ、ぁ…っ』
千紘の乳首を指で挟み込んで、
軽くクン、と引っ張ってみた。
「星明は、私にどこを触れて欲しい?」
『月夜、兄様ぁ…あっ、』
千紘は、気持ちよさそうに体を反らせながら
乳首だけで、存分に追い詰められてしまう。

「駄目だよ、まだまだこれからなのに…勝手に私を置いてイったら、許さない。」
『ひ…っん…』
千紘の乳首を指で軽く弾いた。

「…あれ?星明、ココどうしたの?」
千紘の下着を脱がしながら問えば
真っ赤な顔をして
『月夜兄様ぁ…、触って…兄様で無いと届かないトコも。』
聞いた事のない、淫らな言葉をつむぐ。
千紘は、自らの奥まった箇所に
潤滑剤を仕込んできてたらしく
臀部から蕾に指を忍ばせると、濡れていた。
『一人で、やってみたの…だって、すぐ欲しかったから』

それであんな無茶な飲み方をして
早々に潰れたのか。

あったかくて、湿ってて、綻んだ蕾を指を増やして解す。淫靡な水音に千紘は、耳まで赤く染めながら脚を開く。千紘の性器は頭をもたげていて、私からの愛撫に小さく脈打っている。
「星明…本当に、私が…良いのですか?」
もう演技なのか本当の事なのかも
よく分からなくなっていた。
『良いって、言ってる…っから、あぁぁぁぁ』
綻んだ蕾に、自らの性器をぐぅっ、と
ゆっくり突き立てる。
「っ…く…、」
『ゃぁぁぁぁあ~っ、でりゅ…っ、出ちゃうの…っ』
えらく騒がしくなったのを心配して
千紘の下腹部を見ると、透明な液体を放ち
一気に脱力した。
千紘は、目を瞑ったままわずかに
トんでいた。
根本まで深く挿入して、千紘の回復を待っていた。
『はぁ…、はぁ…、ね、アレ…お漏らしじゃないよね?』
耐え耐えで聞いてきた千紘が、何だか
可愛く思えて
「どうだろう?」
と、曖昧な返事を返したら
面白くなさそうに拗ねられた。

「動くよ、星明…少し苦しいかもしれないけど、ゆっくり…ね」
絡み付く千紘の媚肉が、気持ち良過ぎて
持って行かれそうになりながら 
腰を使う。
千紘の顔もちゃんと見られていない
程に余裕が無い。

両手をしっかりと握りあって、
全ての感覚で互いを感じ合う事に
夢中だ。

汗でうっすらと濡れる千紘の素肌と
紅潮した頬が、より現実味を増す。
『お腹くるひ…ぃ、んんっ…』
ゆっくりと抽挿をしつつ、思い出した事が
あった。
資料に、と渡された文庫本を
空き時間に読んだ。

月夜と星明の濡れ場を思い出した。
実の兄と結ばれた事で、星明は
泣きながら抱かれていた事を。

あまりに健気な想いが、小説の中には
溢れていて、まさかこの役を
千紘が演じてくれるとは…。
そう思うと、余計に力が入ってしまう。

千紘の均整の取れた長い脚を
両肩に掛ける。
深く、奥を探る様に千紘の良い箇所を
穿てばすぐに甘い声が聞こえる。

今日は結構、手加減出来ないのは
自分も印象してしまったからか。
乱れる千紘を前にして、理性が全く
仕事をしない。

『っあ…』
千紘の腹部は、自らの先走りで
びしょびしょになってる。
『ぃく…っ…ぅ…』
思い切り眉根を寄せながら、千紘は
体を戦慄かせつつ、大きくのけ反り
まつ毛も震えていた。

少し遅れて、千紘の後孔で果てると
ぎゅぅ、と抱き締められて
『全部ちょうだい…』
と、小さな声で俺に囁いた。

襲ってくる虚脱感が酷い。
少し疲れてしまったせいで、あれは
そのまま千紘と眠ってしまった。

真夜中に、どうやら千紘は目を覚ましたらしく
何かバタバタしていた気がした。

翌朝、千紘に何があったのか
聞いてみたところ恥ずかしがって
教えてくれなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

ガチムチ島のエロヤバい宴

ミクリ21 (新)
BL
エロヤバい宴に大学生が紛れ込んでしまう話。

フリー台詞・台本集

小夜時雨
ライト文芸
 フリーの台詞や台本を置いています。ご自由にお使いください。 人称を変えたり、語尾を変えるなどOKです。 題名の横に、構成人数や男女といった表示がありますが、一人二役でも、男二人、女二人、など好きなように組み合わせてもらっても構いません。  また、許可を取らなくても構いませんが、動画にしたり、配信した場合は聴きに行ってみたいので、教えてもらえるとすごく嬉しいです!また、使用する際はリンクを貼ってください。 ※二次配布や自作発言は禁止ですのでお願いします。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...