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俺のツレが、ネカマをしていた事は薄々感づいては居たけど。 家に帰ったら、本当にオナゴになってて麦茶吹いた。

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「ただいまー」
あー、麦茶うま。水も美味いけど、今の時期の麦茶好きすぎる。
仕事から帰ると、相変わらずどうせ部屋で寝てるであろう
うちのニート気質なツレの部屋に行った。

襖を開けると、アホみたいにあっつい部屋。
ったく、エアコンくらいつけろよ。息絶えるぞ。
机の上のリモコンで、エアコンを運転させた。

にしても、なかなか起きねー…
おい、暑くないのか?
畳の上で寝てる、ツレの横にしゃがんでみた。

「は?」
なんか、あれ?痩せた、というか…胸?無いかコレ。
ペットボトルを側において、両手で胸らしき所に触れてみた。

「…っ!!!」
間違いない。なんか久しぶりに触ったけど、間違いなく胸だコレ、この感触は。
「おい、きゅん…、起きて、きゅん。」

きゅん。と言うのは、ツレの呼び名。バンドの時もこの可愛い名前で活動してる。
男だけど、腰までのロングヘア―で、ツインテールをして
とんでも無い歌詞の歌を唄いまくっている姿に、俺が惚れて近づいたのだ。
きゅん。は、決してファンを食ってる訳でも何でもなくて。

元の顔が分からないようなメイクを落とせば、ただの美青年でしかない。
俺は、見抜いていたはずもないし。
ただ、元気でちょっとお茶目で、でっかい声のきゅん。に人生を救われた気がして…
それから、純粋に好きになったのだ。

「きゅん。?キス待ってるの?…ふふっ、本当に可愛いお姫様だなぁ…」
俺が、きゅん、の頬に触れてキスをしようとした瞬間、
『テメェ…、今いかがわしい事してただろう?』
額に頭突きが決まった。

きゅん。の頭突きは、いつだって目が覚めそうだった。
『部屋、あっちーわ!…あれ?エアコン直ってたの?』
俺は、額の痛さに言葉も出なくて頷いていた。

あ、やっぱりだ。きゅん。の奴、声まで可愛くなってる。
「はぁ、…はぁ…。」
『お帰り、ろっくん。』
「ねぇ、きゅん。あのさ、何できゅん。、女の子になってるの?」
我ながら、オツムがすっからかんな質問だった。
きゅん。は、意味が分からないのか、首を傾げる。

めっちゃただの美女!!

『ろっくん、きゅん。は、残念だけど…女の子ではないよ?まぁ、ちょっとスカート履くこともあったけど。
こんな侍みたいなきゅん。が、女の子には程遠いでしょ?』

くすくす笑って、きゅん。は、おれに抱き付く。
「じゃ、この柔らかいのは、何なのか…説明してよ、きゅん。」
俺は、タンクトップの姿のきゅん。に、欲情している。
腕に押しつけられる胸を、脇から触れて
きゅん。の反応をうかがった。

『…ひぁ…、ろっくん。くすぐったい、ヤだよ…』
いつもとしてる事は、あんまり変わらない。
でも、今日は違うから。俺も戸惑ってるし、きゅん。は、まだ自分に何が
起きているのかさえも分かっていないんだ。

「きゅん。ね、どうして女の子になっちゃったの?俺は、そのままのきゅん。がいいのにさ…」
『知らないってば、もう…ろっくんのえっち…、触り方がいやらしいぃ。』
なんで今日に限って、ホットパンツなんか履いてるのか。
きゅん。は、元からのセンスがかなり露出が激しいものを好んで着用するから。
今だって、ちょっとでも視線を下げれば、あられもない太ももや
細い脚が簡単に拝めてしまう。

仕事明けに、あまりにもこれは刺激が強すぎる。
細い腰が。そしてチラッとのぞく臍ピアス。

家に帰れば、ここは何?いかがわしい店かと勘違いしそうだ。
『…ろっくん、暑かったんでしょ?シャワー浴びてきなよ』
「ぁ、ごめん。…汗くさかった?」
『うぅん、そうじゃなくて…きゅん。も、準備したいからだよ。言わせないでよ…ばか。』

ぁーーーーーーー、きゅん。、可愛すぎる。
何の準備かは、さすがに聞けずに。俺は言われるままに、すぐにシャワーを浴びに
浴室に向かった。

この頃の俺は、完全に頭が沸いていたので
きゅん。が、どんな思いであの女体になったかなんて
知る由もなかった。

何にも知らずに、期待してうかれていた。
もしかしたら、俺は、随分と前からきゅん。を傷付けていたかもしれない。

一番近くに居ながら、俺は何を見て来たのだろう。
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