【武蔵と清瀬】愛の雁字搦め

あきすと

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お部屋で、待ってるね

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『お待たせ~、武蔵。』
「…待ってない!清瀬しつこいし、無理無理。」
『何言ってんの、あんな中途半端になったんだから
やっぱり、期待させた分は…ねぇ?』

「何の話?」
『前回のカットされてた部分をほら、御開帳しとこうかと。』
「僕のそんな姿、曝すことに清瀬は抵抗ないんだ?もっと、
異常なくらい独占欲あると思ってたのに。」

『…やっぱり、武蔵には敵わないなぁ。』
「清瀬が引くくらい、酷かったからお蔵入りになったんだと
思ったけど。」






今日は、休み前日の夜という事で、もうそろそろ
武蔵が帰って来る。
また、風呂場に直行して好きなだけ浴槽で
ふやけそうになりながら、寝てしまうつもりだろうけど。

絶対に、面倒だから阻止する。

今まで何度、介抱した事か。
今日は、夕食を作ってから連絡がまだ来ていない。
武蔵の仕事は、残業があまりないとは言え
それにしても今日はもう22時を回っている。

何かあったのかと、心配にはなるものの
連絡はこちらからは控えていた。

急を要する事もほとんどない。
だから、ただ待つだけ。

とりあえず、先に風呂に入ることにして
胸の中のモヤモヤを感じながら
意識をしないように努める。

浴室から出て、物音もまだ聞こえてこない
事を確認した。

珍しく、飲みにでも誘われたか?
いや、珍しくはないのだが
客人から、武蔵への誘いはむしろ多い。
同僚とは、少ないというだけだ。

着替えを済ませて、髪を乾かして居間に戻る。
やっぱり、連絡はまだなかった。
「こんな事、初めてだ…。」
電話を掛けようかと思ってスマホを手にすると

玄関の方から、引き戸の音がした。

帰って来たか?もうそろそろ、日付が変わりかけている。
何かを、言うべきかと迷っている内に
武蔵は、廊下をつっきって
またすぐに風呂に行ってしまった。

「…何で、」
一瞬目があったかと思えば、何の言葉もなく。
あんまりじゃないか?

とりあえず、風呂場の武蔵に、念のためドアをノックして
『なに…』
「武蔵、なにかあった?」
『なぁんもないよ、ほっといて。』

水の音と、鼻をすする音が微かに聞こえた。
あぁ、多分泣いている。
「何された?」
『…言わなきゃダメ?』
「武蔵が、心配なんだ。」

『体、触られた。…もう、何でなのかな、僕甘く見られてる?』
自尊心が傷つけられたのだろう。
優しそうな雰囲気の武蔵を、簡単に落とせると勘違いしてしまう
輩が、時々現れるようで。
かなり、見込みのない話だと清瀬は感じる。

こう見えて、武蔵はかなり面食いで
我がままにもついていける人物でないと
無理なのである。

「馬鹿なやつもいたもんだな。…とにかく寝るなよ?ご飯あっためて
待ってるからな。」

『うん…清くん。ありがとう。』

よし、これで少しは応急処置?になればいいのだけど。
時間が時間なだけに、武蔵はそんなには食べないだろうな。
台所に戻って、食事の準備と並行で、片付けもしていく。

にしても、傷ついているんだとすれば
一刻も早く抱きしめたい。
相手は、兄ではあるのだが。清瀬には完全に心を
許しているようで、自然と甘えてくる関係でもある。

双子、だと言いつつも本当は違う事も
ずいぶん前に知っている。
それでも、清瀬は武蔵の事を自分の半身の様に
愛する事に、何の疑問も抱かなかった。

しばらくして、タオルを肩に掛けて着替えた
武蔵が、居間にやってきた。

「確認だけど、その…乱暴されたりは、しなかったんだよね?」
『ぁ、…それは大丈夫。心配かけてごめんね。』

ぱっ、と武蔵が顔を上げて
ふにゃりと微笑む。

眼が、まだ赤かった。

「良かった。俺は武蔵が無事ならそれでいい。…食事、軽く
食べておくか?」
『うん、泣いたらお腹減った。軽くなら…食べたいなぁ。』
「俺も、そうする…。」

食卓について、やっと正面から武蔵の顔を見て
心が落ち着いてきた。
『大変だけど、今の仕事辞める事は考えてないんだ。』
「スキンシップ、求められるのは分かってはいたんだろうけどな。」
『ただ、今日のは…ちょっと僕もびっくりしちゃってさ。』

「まさか、尻でも触られた?」
『…!!』
「あー、やっぱり。まぁ、気持ちは分からんでもないけど。アウトだね。」
『そんな事するの、清くんくらいだと思ってたから…』
「ぇー、俺は、まぁ…恋人と言う特権あるからね?」
『ふふっ、でもホントに怖かったんだよ。』

少しずつ、武蔵は話すことで気が安定して来ていた。

「少し休め…」
食事が済んで、清瀬が食器を片してると
武蔵が清瀬の背中に抱き付いた。

「むー、それは…ずるいぞ。俺、動けないじゃん。」
『僕に、触れていいのは…ね、清瀬だけなのにさ。』

これで、無意識だってんだから
本当に、我が兄の魔性が凄すぎる。

「光栄な言葉だな…本当に。」
『僕、汚されかけたのに。清瀬は怒ってくれないの?』

まさか。怒ってないと言うよりも
ただ、武蔵の無事に安堵しているだけだ。

「むー、もう少しそこのソファで待ってて。もうすぐで終わるから。」

ふわふわの甘い香りは、武蔵のボディソープから。
白くて、なまめかしい脚にすんなりとした二の腕は
無防備におしみなく晒されている。

『はぁい。』
すっかり元気を取り戻したのか、武蔵はソファに座って
読みそびれた新聞を見だしている。


「連休、今回は取れたんだって?」
『そう、でもどこも行かないでしょ?』
「畑仕事があるから、いつも通りに過ごして終わるだろうな。」
『僕も、手伝う』
「ありがと…。さて、一通り終わったし。俺は部屋に戻るけど。」
『…ぁ、そうなの?ここで少しゆっくりするのかと思った。』

一瞬だけ、武蔵の表情が、かげる。
「武蔵…、」
『清くん…お願い、ぎゅってして。僕もう…』

言わせてしまうのは、思いやりが足りなかっただろうか。

武蔵の表情の裏を読めればいいのに。
清瀬は、武蔵を正面からしっかりと抱き締めて
ゆっくりと唇を奪う。

ぴくっ、と武蔵の脚が跳ねたのが伝わる。
こんなにも、愛おしい存在を他には知らなくて。
お世辞にもうまくは無い、たどたどしいキスが
いつまでたっても、不慣れなイメージを与え続けていた。

「…どこも汚れてなんかない。」
『清くんが、上書きするんだよ?』
「めっちゃ、煽って来るね?それと…少しお酒飲んでるよね、むー」
『うん、会場で少し付き合いで飲まされて。僕、てんで飲めないのにさ』

「眠いんじゃないか?さっきから目が赤いし、とろんとろんだし。
そりゃ、襲われる訳だ。」
『えへへ…僕、よく口説かれるんだよね。でも…清瀬がいるから。』

あー、めっちゃ小悪魔。
こんだけ可愛けりゃ、襲いたくもなるだろうし
フィギュアも作りたくなるのは、致し方ないよな。

清瀬は、自分の中にある武蔵への欲望を正当化しながら
髪を撫でて愛でる。

「あー、可愛い。無理。視覚がついていけてない。」
『ね、清瀬もソファに上がって?』
「ぇ?あぁ…いいけど。」

言われるままに、座ると
『そうじゃなくて、長座するの。』
「あ…こう?」
『そうそう…失礼するね』

武蔵は、清瀬に後ろ向きに跨り
「ちょ、っと…むー?」
『ん?』
「…男2人が、さすがにソファの上ではキツイって。」
『そっかぁ、じゃ…僕の部屋。寝る準備してからね。』



妙に、最近の武蔵が積極的で

願ったり叶ったりなのは

間違いないが。

武蔵の体は、開発ができないので

少し準備に時間がかかる事は確かだ。

常に再生され続ける、不死という存在ゆえ、お互いに暗黙の了解だった。

この事を、武蔵はわずかながら気にかけている事も清瀬は知っていた。



「一生ヴァージンな訳だ、」

と言ったら、昔武蔵が真っ赤な顔をして怒ったのを思い出す。

洗面所に行って、寝る為の身支度を済ませてから、

武蔵の部屋を訪ねた。

相変わらず、ふわんといい匂いがするのはアロマキャンドルが

いくつか灯っているからだろう。

ベッドの上で、武蔵は横たわり

今にも寝入ってしまいそうにしていた。



「ほら、やっぱり無理するなって…寝よう?疲れてんだよ、むー。」

『違うよ…、バカ。』

んん?なんだかヤケに

声が艶っぽくないか?

武蔵に近寄って、その肢体を見下ろすと、先程まで履いていたはずのパンツが見当たらなかった。

「ぁ、むー…もしかしてお先に一人で遊んでる?」

パジャマの長い裾をめくると

「そっかぁ、むーはホントに…えちえち大好きだもんな」

細いピンク色のコードが見えた。

『だって、少し慣らしておいた方が良いかなって』

「これじゃ、全然モノ足んないでしょう?」

ギシッ、とベッドの上に上がると

軋む音が響き。

『シたいんでしょ?ね…、清くん。』

武蔵の熱い吐息に、けしかけられて仰向けになった体勢で

パジャマのボタンを一つ一つ

外していく。

相手は多少酔っている。

「快楽に溺れてるね、むー」

『清瀬と気持ちいいと、一つになれる。神力も満ちるし、僕らはよく出来た関係だよ。』

「関係ない、俺が武蔵を愛する事が大事…」

外気にさらされた武蔵の

胸の突起を舐め上げ、良い反応が返ってくるだけで、

もう夢中になってしまう。

『ぅあ…っん、』

体をヒクつかせながら、耐えて耐えて。馬鹿みたいに快楽に忠実に貪る。

頭をもたげ始めた

武蔵の自身には触れずに。

愛撫を重ねる。

キスこそ大事で、何度もついばみながら体のあちこちに

紅い痕を残していく。

内股を擦り寄せて、腰を

もどかしそうによじる武蔵は

どうされたいのかなんて、

分かっている。

膝を立てさせて、脚の奥からのぞくコードを、引っ張って取り出す。

『っ…ふっ、』

「タオル、ある?むー」

ローションに溶けた淫液が

武蔵の蕾から溢れてシーツに

染みを作った。

ぽい、と枕元にあったタオルを放られて武蔵の体の下に敷く。

「…気持ちよかった?アレ」

『んん、あんまり。だって、小さいもん。』

「貪欲だね、むーは。可愛いのに、こんなに淫らでさ。」

クチ、と湿った音を立てて

武蔵の蕾に指を挿入していく。

『ぁあ、っ…気持ちいい』

「奥まで…やんなきゃ、むーは満足しないから。」

確かに中はみっちりとしていて

余地がない。その密度や圧を感じながら、指を増やして潜らせる。

『ごちゅごちゅ…清くんのゆび、えっち』

「えー?えっちなのは、武蔵だって。中、すごいむちむちしてる。ほら、分かる?」

くるくると中で指を回してみせる。

『やらあぁぁぁ…っ!』

「毎回、ほぐすのにすーぐまた、再生されちゃうからね。もう面倒だからディルド入れて生活してみる?」

加虐心が少しずつ、現れそうになるのはやっぱり、武蔵が目の前で可愛く乱れるから。

『むりぃぃぃい…っ、っは…ぁ、こねこね気持ちよすぎ』

「んー?こねこね?あぁ、これね。ホントは、俺ので押し潰してやりたいんだけど、まだ無理だからね。」

充分過ぎるほど乱れている武蔵は、薄っすらと汗を額に浮かべて、刺激に身を震わせる。

『もぅ入れてよぉ…っ、せつないの…清瀬、』

俺はまだ、武蔵で遊びたい。

なんて言えるはずもなく、

返事はせずに無防備なままの

武蔵の自身を手に携えた。

中途半端に起きてて、可愛そう。

ゆるゆると、手で揶揄をするだけで芯を持ち始める。

感度が良すぎて、武蔵はいつも

気持ちいいのに苦しそうだった。

弄ぶ、手のひら。

漏れ出る精液。

栗の花の匂いが、部屋に満ちていく。

たまらなくなる。

指を抜き去って、猛っていた清瀬の自身を武蔵の蕾に

あてがう。

ゆっくりと蕾に、媚肉を下から穿つ快楽。

衝動が自然と理性を襲う。

『っにゃぁぁぁぁぁ…っ!』

嗚呼、解るよ武蔵。

こそがれる快楽と痛みと

歓喜が、脊髄を走るんだろう。

現実は美しさだけでは、収まらない。

きゅぅん、と締まる武蔵の蕾に

前では吐精が起こり

忙しない。

何度、この体を抱いただろう?

いつも違う感覚で違いが上り詰めて果てるまで、終われなかった。

肌と肌のぶつかる音が

卑猥で、何度も武蔵の弱い部分を探っては押し潰す様に

腰を打ち付けた。

『が…っ、っは、ぁぁぁあ、ひよたぁ、んぁ』

「…武蔵、たくさん撫でてあげるからね。」

膝を抱え混んで、深い交わりをかわすと今にも泣きそうな声が上がる。

武蔵も、楽になりたがっている。

『また、でる…っ、ん!』

2回目の武蔵の吐精が終わると

体を下から抱え上げて、

突き上げる。

『ーーーーーー!!』

崩折れそうな武蔵の体を、抱きとめながら清瀬は中へと

吐精した。



『ばかばかばか!あんなの、犯されてるのと同じだよ!キチク!』

「…俺も今回迷ったんだよ?ただひたすらに快楽責めの、ローションガーゼをするか、どちらがいいかってね。」

『…僕が目覚めちゃったら困るから、しないでいてくれたの?』

「まぁそれもあるかな?だって、ローションガーゼはソロのイメージが強くてさ。」

『…じゃあ僕が清瀬のをして。清瀬が僕のをしてあげればよくない?』

「あ、天才か。」
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