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愛欲にまみれたキミが好き

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泣きながら、目を覚ましたのはこれで何度目だろう?

ただ、ただ…夢であってほしくて
体は震えている。

隣に寝ていた、清瀬が僕に気が付いて体を抱き締めて
何度も、キスの雨を降らせてくれる。

「…清くん、僕…、ゴメンね」

無力でしかなかった。
許されない想いと、行為に溺れていく日々に
自分でも罪悪感が、ぬぐえなくなっている。

しまいには、夢の中で僕は清瀬に
別れを告げられるという、切なくて
行き場がない悪夢を見ていた。

胸に、重く重く秘めるこの想いが
弟である清瀬にも、伝わっているのであれば。

『泣かないで、武蔵。…俺は、ここに居るから、ね…。』

情けないくらいに、声を殺して泣いて
困っている清瀬の事など、考えもせずに
僕は、清瀬に抱き付いて
嗚咽を漏らす。

清瀬の向かい合った体勢が、崩れて
ベットに体を倒して
慰めるように、清瀬が目蓋にもキスをした。
「…僕から、離れていかないで…。」
『俺が、武蔵を置いてどこに行くっての?』
「だって…、夢、いつもおんなじ内容でさ」

子供の様に、不安がっている僕を見て清瀬は
背中を撫でて目を細める。
『武蔵…、せっかく二人で泊りがけで外に出てるのに。
夢見が悪いなんて、可哀想に。』

清瀬は、ベットから出て和室の卓に置いてある
飲み物を持って来て、武蔵に勧めた。
『汗、かいちゃってるね。少しお水飲んで…。』

はぁ、と小さなため息をついて体を起こして
ボトルの水を飲み、少しだけ落ち着く。

寝乱れた浴衣が、帯もぐちゃぐちゃになっていた。
「眼、覚めちゃったよね、ごめんね。清くん。」
『むー、謝るなよ。お前が気を乱すと…俺にも同じように
結局は伝わるんだから。双子ってのは、そこらへんも過敏だから
仕方ないよ。』

暑い、と思っていたけど気持ちが落ち着くと
清瀬を見て、ちょっとだけ安心できる。

『武蔵の気分転換になればって、思ったけど…そう簡単じゃ
ないよな。』
「そんなこと、無いから…。清瀬に誘って貰えてすごく嬉しくて
胸がドキドキして楽しみだったんだよ?」
『俺ね、今の武蔵が…これ以上どうにかなりそうなら、本気で
仕事も辞めさせて、養うから。』

清瀬は、ベッドに戻って武蔵の頬を撫でて
『本気だよ…』
く、と顎を上向かせて口付けた。

おずおずと、舌を絡ませて柔らかな口内の粘膜を
撫ぜられて、背中が粟立つ。

どうしても、清瀬じゃなきゃ…駄目だって
心が一番知っていて。
誰にも見つからないようにと、秘密の恋を二人で
温めながら。

この手を離されてしまう事を、一番に恐れて暮らしている。
いつも、深く愛されている事を感じて
ひしひしと受け止めて。

「…っ、ふ…」
ずっと生まれた時から、一番側にいてくれて
どんな時も、寂しくないようにと支えてくれた。
『むーは、子供の頃と変わらない。泣き虫で、俺をいつも
探してて…。』
「だって、側にいないと…自分が自分じゃないみたいで落ち着かないよ。」

『で、気づいたんだろう?』
「ぇ?」
『俺と、こういう事したり…いけない事するのが、より
心地好いって事に。』

うぅ…、と口ごもっていると
清瀬が武蔵の太ももを撫で始めた。

「…そう、だよ。だって、清くんは僕の半分なんだから。
やっと、見つけたって…思っちゃ、イケなかったのかな?」

くすぐったさに、身を捩る武蔵を見つめて
清瀬は薄い笑みを浮かべる。

『俺も、気が付いたよ。多分、武蔵よりも早くね。
で、触れてみて確信に変わった。それに…』
「それに?」

『むーが、すごく気持ちよさそうなのを見て…背徳感もぶっ飛んだ。』
「…ばか。」
恥ずかしさで、清瀬の胸へと武蔵が、なすりついた。

『むーが淫らなオニイチャンで、俺は毎日…試されてる気分だよ。』
「毎日…って、」
『ね、こうやってさ…太もも撫でてるだけなのに。ほら、』
清瀬の指し示す先を見て、武蔵が
「…ゃ…、だって、」
かぶりを振る。

『あーあ、さっき内風呂に入った時は、我慢したけど。今度はもう、』
はだけた浴衣の袷を割って、武蔵のお腹へと口付けた
清瀬がその痴態をじっくりと見ている。

「清くんの視線が…、」
『じっ、て見るの止められなくてさ。俺、ずっとむーを
写真に撮ったり、絵に描くの好きだったから。つい、クセでさ。』
「もう、清くん…意地悪っ」
『触ってほしい?武蔵…』

「我慢する…っ、」
このまま、何もなく寝てしまうのは何だかもったいない気がするなんて
言えないけど。
『へぇ?いいよ、じゃ寝ようか。』

布団が汚れてしまうのは、しのびない。
「……じゃ、手ぇ放してよ、清瀬」
内股の皮膚を、柔らかにつままれたりしながら
清瀬は、すっかり寝る体勢のようだけど。
『触り心地いいから、だーめ。』
「なんでー…、こんなの気になって、寝れない。」

『し~。夜中ですから。寝てくださいね?お兄様。』

つつつ、と段々指が下着のラインを沿う様に下りていく。
「ぇ、やだ…っ、ドコ触って…」
『俺は、素直じゃないむーには、萌えない腐男子なもので。』

背中を向けていた状態を、武蔵は体を清瀬の方にやって
「…清くん、ね…、こっち見て?」
『……』
目をつむっていた、清瀬が瞳を開く。
視線が合う。
これだけでも、武蔵の胸が高鳴るのは事実だった。

「清くん、怒らないで聞いてくれる?」
『…うん、なに?』
清瀬は、武蔵の手をニギニギしながら
絆された表情で、耳を傾ける。

「僕、その…家以外でこんな事するの、初めてだからちょっと
恥ずかしくて。」

『今どき、どこの処女でも…そんな事言わないと思うんですけど!?
え、ウチのお兄様…どうなってんの?やっば、頭追いつかないんですけど。』
清瀬の言葉にビックリして、目を瞬かせている武蔵。

「だ、だって…、え?じゃあ清くんは気にならないの?」

『そこまで考えてもなかったってのが、一番かな。そっかぁ…うちのむー、確かに、うん。』

妙に納得している清瀬を見て余計に武蔵が、恥ずかしそうに目を伏せる。

「一緒に、お泊まりもして…その上、こんな事までされたら、幸せ過ぎて怖くなるかも。」

純粋培養しすぎてしまったのでは?と問いたくなる武蔵の言葉に、さすがの清瀬も

『大袈裟、大袈裟…俺はもっとやましい気持ちのが、多いかもよ?』

「清くんが?そんな訳ないよ…。ふふっ、だって僕には嘘なんてつけないんだから。」

武蔵が顔の横にかかる髪を、

耳に掛けて

「今日は、僕が…する。」

武蔵が清瀬の下腹部まで

体をずらして、浴衣の裾を上げて

下着の上の雄をたどたどしく

指先で、撫でたりしている。

視覚的にも珍しく、武蔵の瞳は

穏やかだった。

瞳の奥の小さな煌めきが

いつも以上に妖艶で、

実の兄である事を清瀬は

忘れてしまいそうになる。

不慣れそうな手付きが、返って、クる事を知ってか知らずか。

「不思議…やっぱり僕のとは全然違うけど、どうしたらいいのかはちゃんと知ってる。」

ぐっ、と武蔵が清瀬の下腹部に

顔を寄せて頬を摺り寄せる。

『…っ、』

清瀬は、武蔵の頭を髪を

くしゅくしゅと、手のひらで

撫でる。

くいっ、と下着を下げる指先に

好奇心に満ちた目が

煽情的で。

露わになった性器をそっと舐め上げる仕草に清瀬はあてられて頭がクラクラしそうだった。

さっきまでは、子供みたいに泣いていた人物とは思えない。

口淫は、まだまだ下手くそで口の喉奥まで入れようものなら、すぐにえづいて涙目になるような武蔵の割には、今日はかなり積極的に向き合っていてくれる。

清瀬は、単純にこの事が嬉しかった。

頭を押さえつけて、ガシガシとしてしまえば、繊細な武蔵がどうなるのかなんて、容易に想像がつく。

傷付けないように、優しく抱く事で愛情を示して来た今までが全て、無意味になる。

このまま、追い詰められて吐精して終わりだとも当人は思っていないだろうと踏んで。

武蔵の口を離させて、そのまま仰向けに転がらせると

「…清くん?」

『分かってるだろ、武蔵』

「ぁ…、うん。」

『素股でいいから』

「ん…っ、」

揃えた太腿の間からグッ、と挿入するのに近い感覚が伝わってくる。割り入るような、押し上げにも似た圧を感じる清瀬が、思わず眉根を寄せ。

「あぁ…っ、清くぅん…♡♡♡」

『入っても無いってのに、』

チッ、と舌打ちが出てしまい

「だからぁ…入れても、良かったのに…ぃ、」

武蔵は、自身を屹立させながら

腰を揺らし、背中を反らせる。

『マジで…?』

「ぅん…、僕だって…欲しいよ」

武蔵が、ハァハァと息を吐きながら願っても無い申し出をしてきた事に、清瀬も淫らに揺れる腰を掴み突き上げる。

「ゃ…っ…んぅ、」

突かれる度に、武蔵の精液が腹にいくつも白濁の筋が広がる。

『むーは、俺の精液と混ざるのホント好きだよな』

「…らっ、て…ドキドキするんだもん。えっちで」

『ほんっと、このお兄様は淫魔みたい…ほら、突かれて気持ち良い?』

武蔵が ぎゅぅっと、清瀬の手を握ってコクコクと頷く様子が可愛くて、悪い気はしなかった。

何度か抽挿をしていると、

「ぁ…っ、」

『間違った…。って、』

「入るかなぁ?」

『ぁーー、微妙…。』

腰をわずかにずらして、武蔵の蕾を探る。

武蔵は、恥ずかしそうに少し苦く笑って四つ這いになってみた。

突き出した腰の角度とかが、部屋の鏡に淫らに映っていて清瀬は1人、喉奥で笑い。

『時間かければ、だけど…』

そう言う間にも、腰を使って蕾をゆっくりと綻ばせてゆく。

武蔵は、枕に埋もれながら少しずつ押し寄せてくる快楽の波を掴みかけている様だった。

「…平気だよ、」

『みたいだな、生でさせて貰えるとは…』

「んぁ…っ、そこぉ……」

今まで何度、この武蔵の体をこじ開けて結ばせて来たのか。

すっかり兄である武蔵は、弟である清瀬からの肉欲や愛欲に支配されて、2人で吐精をし互いを抱きしめ合って眠りについたか。

罪深き行為と想いに武蔵が夢の中で涙する訳を、清瀬は何となく理解できる。

何度も互いの名前を呼びながら、武蔵の腹の奥に白い欲望の残滓を残す事しか出来なくて。

『愛してるよ、武蔵…。来世は無いけど。今生で、死ぬまで求めあおう。』

熱から解放された清瀬の頭は冴えていて、ズルッと武蔵の蕾から抜き去った自身も同じ様に欲にまみれている。

『また、堕ちたな…』
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