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愛の雁字搦め

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ただ、何も考えずに書きたいお話を書くだけです。

登場人物

清瀬
究極のブラコン。
腐男子。
兄である武蔵がとにかく
大好きすぎて、どうにかなりそう。
部屋にこもりがち。
あまりに盲目的な愛し方に
武蔵を戸惑わせてしまう。

武蔵
弟である、清瀬が心配。
いろんな意味で心配過ぎている。
仕事真面目で、努力家。
恋愛ごとには、かなり鈍い
ものの、興味がないわけでは
なさそう?


「むー君、お帰り。」
今日も、当たり前みたいに
清瀬の帰宅は遅くて。
日付けが変わる少し前。

清瀬は、既にベッドに入っていた。
『清瀬…。ん、ただいま。』
疲れきって、今にも倒れそうな
武蔵の力ない笑顔に
清瀬の心がよどむ。

「ご飯どうした?」

『食べてきた。大丈夫…、後はシャワー浴びて寝るだけ。』

武蔵は、短めの黒髪を
手のひら全体でなでつけて
清瀬を見つめてから
部屋を出て行った。

「武蔵、また痩せた?」

もともと、線の細い兄ではあるが。
ここの所の生活を振り返れば
休む暇もなく、働きづめで
家にいる時間も短い。

沢山、美味しいものを食べさせてあげて。
ゆっくりと、眠りについて欲しいと
純粋に思う。

「あれじゃあ、近い内に倒れるな。」

武蔵は、シャワーを浴びながら
盛大にため息をついた。

忙しさを言い訳にして
近頃家にいる時間も少なく、
外食が続いている。

気が休まらない。

頭の中もめちゃくちゃで、
考え事が、とっ散らかってばかりだった。

とにかく、生活を立て直さなければ。
モヤモヤした思いを、洗い流し
脱衣所に出る。
鏡に映る自分の裸を見て
『…頼りない体。』

心からの声だった。

着替えを済ませて、
キッチンに行き
冷蔵庫から、飲み物を取り出す。

清瀬が作ってくれている
お茶を飲みながら
なぜか無性に情けない気持ちが
込み上げてきて、
武蔵は、静かに涙した。

人知れず、このままずっと
身を粉にして暮らす毎日しか
想像が出来なかった。

嫌だ、と素直に思う。
なのに、どうしたものかと
先が見えない。

自分という物が、失われる気がした。
「むー、泣いてるの?」

足音も聞こえなかったが、
すぐそばには
清瀬が来ていた。

抱きすくめる腕が、ただただ
愛おしくて安心する。

清瀬が武蔵を愛しているのは
誰が見ても歴然としていた。

「泣かないで…武蔵。」
いつの間にか、肩幅は武蔵よりも
大きく。身長もいくらか清瀬に
追い越されてしまった。

『清くん、僕ダメだね。こんな事で泣くなんて…疲れてるのかな?』

「笑えないよ、…武蔵。このままじゃいつか倒れてしまう。もう少し休みは取れないの?」

清瀬に抱き締められ、
流れの一つのように
唇を重ねる。
心をゆっくりと溶かすような
優しい口付けに、武蔵は
清瀬にしがみつく。

軽々と抱き上げられて
寝室へと連れて行かれると
武蔵は、清瀬のベッドの上に
降ろされた。

『明日も明後日も休み。だから今夜、特に頑張ってきたんだよ。』

へらっ、と笑いながら
武蔵が嬉しそうに笑う。

「良かった…それじゃあ今夜はもう休もう。むーくんの体が心配。」
『…えー?』

横たえた体を清瀬の方に
コロンと反転させて
武蔵が、問い返す。

分かってて、これだ。

「待って、駄目だよ。そんな、可愛いの…」
『あははっ、清くん。…ね、もう一度だけ、しようよ?』

悪戯な武蔵の指先が、清瀬の
頬をそっとくすぐる。
「ホント、今夜は…むー君寝ないと。体、壊れちゃうって」

翻弄する指先を、清瀬が絡め取って
静かに指先を食む。

軽い弾力が、伝わって
きゅ、と口内に指が
押し込まれた。
『ふふっ、くすぐったいよ。清くん…』
機嫌の良さそうな武蔵の声が
上がる。
指の腹を、舌先でなぞり
武蔵を抱き寄せる。

不意に、鼓動が聞こえて
清瀬は、ゆっくりと
武蔵の指を口から離す。

「武蔵の鼓動…、少し早くなった。」
『清くんが、舐めちゃうから』
「これでも、我慢してるつもり。」
『我慢、出来る?それ、僕にしたい事なんでしょ?』

フワフワとした、脈絡の無い会話。
恋を歌うものでもなく
ただ、愛おしくてたまらない。
思いの丈をぶつけるだけの
戯れ。

「むーくんの、裸が見たい。」
『ヤだよ。僕、の体…貧相なんだもん。』

「ぁ、やっぱりまた、痩せた?」
『分かんないでも、頼りないなぁって…』

清瀬は、不安そうにする
武蔵の額に口付ける。

「俺は、武蔵を絵に描くのが好きだから言ってるよ。」
『…うん。』
「俺は、いくらでも待つから。武蔵がまた、描いてもいいって言える時まで。」
『ありがとう。』
「むー君の細い体を見てると、俺の心の奥底が、じわじわ痛む。俺のせいなんじゃ無いかって、」

『清くんは、ちゃんと僕を支えてくれてる。だから、不安にならないで?』
よしよし、と武蔵が清瀬の頭を
撫でた。
また、口付けを交わし
熱のやり場に困った互いを
見つめ合う。

「…っ、」
『ぁ…、擦れるょぉ…っ、や…』
「っふ、むー君の腰逃げちゃいそう。」
『だって、こんなの…気持ち良すぎて』
「…どうにか、なっちゃう?」

向かい合って、互いに
自身を擦り合わせながら
息が上がり始める。

視覚の情報が、余りにも
淫らで、卑猥な
信じがたい光景で。

武蔵は、顔を真っ赤にさせながら
手の甲で表情を隠している。

『熱い…っ、』
「俺、むー君の事は愛してるから。忘れないで。」

『…ぇ?』

昂ぶる心と身体を、どうしようもなく持て余し、その先に見えた
白い飛沫をチカチカと
武蔵は見つめていた。


「おつかれ、むー君。今夜も狂いそうな程エロくて、可愛かった。」

気を手放した武蔵の
頬に清瀬は、
指に滴る二人分の白濁を
すっ、と
軽く塗りつけた。

「最高。」
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