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どうした?
しおりを挟む『ごめ…ねぇ…』
耳に届く声の弱弱しさに、珍しく焦ってた。
昼の休憩に外出てる最中。
央未からのメッセージに、俺はその画面の文面を見て
すぐに電話した。
「生きてるなら良かった、お前…びっくりさせんなって。」
『なんかさ~朝からポカポカしてるとは思ったけど。』
はぁ、全くもってのん気な返事に少し呆れていた。
「一人で帰って来れるんだな?」
『うん、大丈夫大丈夫。だからさ、今日は俺の部屋には…帰って来ないでね。』
は?なんで…?
いやいや、こんな時こそ世話する奴がいるんだから
俺の事を頼れよ。
「それは、でも…買い物とかして帰るから。ちゃんと寝てろよ。何か食べたいものあったら
送ってくれ。買って帰るから。」
『わるいよ、そんな…。』
「早く治せ。俺も協力するから、な?」
こんな時に、央未は今まで一体どうやって体調不良とかを
乗り越えて来たのかと思う。
クソ忙しい両親に、1人っ子だ。
『ありがとう、じゃ…ちょっとだけお願いするね。ぁ、タクシー来たからゴメンね朔…。』
やべー、早く家帰りたい。
めちゃくちゃ心配だし。でも、珍しいよな。
普段からあんまり体調崩すトコを見た事が無いから
余計に落ち着かない。
あいつ、哀しいコト言うんだよなぁ。時々。
寂しがり屋の癖に…1人なのがどこか当たり前みたいに。
俺じゃ、頼りにならないってんだろうけど…。
きっと心のどこかにまだ壁があるんだろう。
10年以上の付き合いになるけど、やっぱり央未の心の
奥底は深くて底知れない。
今朝は、確かにボーッとしてる気はしたけど。
春は気圧の変化だとかで、央未は時々そうなる事を
聞いていただけに、まさか熱を出すとは思ってもみなかった。
もしかして、昨日…体を冷やしてしまったのか?とも考えたけど。
とりあえずは、さっさと仕事を片付けて今日は早めに
帰宅する事に尽力しよう。
「央未、ただいま…っと…」
ついいつもの調子で、央未の部屋に帰って来てしまった。
寝てるかもしれないってのに。
静かに廊下を歩いて行き、すぐに冷蔵庫に食べるものを入れていく。
『さく~?』
か細い声がすぐ後ろから聞こえた。
やべ、起こしてしまったか…
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