18 / 19
⑱(月夜視点)
しおりを挟む
午後からは荷解きをして、星明も手伝ってくれたからすぐに片付いた。
たくさんの石のお土産を、星明は嬉しそうに
喜んでくれた。
夕食が終わって、星明が洗い物をしてる最中に珍しく食器を割った。
手が滑ったと言って、本人も慌てた様子だったから心配が頭をよぎった。
怪我が無いか、すぐに確認して幸い
何事もなかったから俺の過保護もなかなかの
ものだと思う。
先に部屋で寝る準備をしていると、部屋のドアを叩く音がした。
少しだけ懐かしい。
考えなくても、星明しか居ない。
俺は出迎えたい気持ちもあったけれど
体の疲労のせいか、腰が重くなっていた。
『兄貴、入っても…イイ?』
なんつー声で、人の部屋の前来てるんだよ。
「星明、どした?」
いや、鬼畜な質問だよな。
あれだけ離れてた期間をお互い初めて
体験しておきながら。
分かった上で聞いてやるんだからさ。
『ン…、ちょっとだけ一緒に寝たくて』
ちょっとだけ~?
おおよそ本当とは思えない。
ドアを開けて、星明の姿が薄ぼんやりと
廊下の闇と俺の部屋の明かりで
浮かび上がる様に見えた。
「…今日は、マジで寝そう。すぐに」
『うん。良いの、ただ隣に居て…眠らせてほしくて。』
はぁ~?何だこの可愛いの暴力は。
俺がどれだけの覚悟で、この可愛い星明の
かなりストレートに近いお誘いを
やんわりと遠ざけてるのか…。
「~分かった。」
甘えん坊で、無意識で…愛されたいって俺に向けられる星明からの想いは、たまらない気持ちになる。
そのな、白いパジャマの下がどういう事に
なって様とも俺は今夜は睡眠を選ぶ。
筋肉痛も、アホみたいにあちこち起きてるし。
そろそろと星明がベッドに上がって来て、
ゆっくりと体を横たえる。
「星明、それ何持って来たんだ?」
『コレ、は…ただのタオルだよ。』
「…そっか。」
深く追求するな、俺。どうせ用意されてるのはどれもドツボばっかりだ。
俺もベッドに入って、横になり
ランプシェードの明かりを消した。
外では鈴虫が鳴いている、視界は真っ暗で
明日視界と聴覚ばかりが冴えてる。
『おやすみ、兄貴。』
ぽそりとつぶやいた星明の声が、1日の終わりの言葉なのかと思うと、妙に寂しさを感じた。
いや、寝るんだから…おやすみで正解なのに。
フリの様な気さえし始めて、俺は星明側を向いて寝る事にした。
星明もちょうど、俺の方を向いて横向きで
寝ようとしている。
「~……」
星明の手のひらが、キュッと握ってるところを見ると子供の頃を思い出す。
まだ、母親にちゃんと育てられていた頃の
記憶だ。
恋しかった、役2週間もの間
星明とはメッセージのやり取りは出来ていたけど、後半のあたりは電池切れで
連絡は取れずじまいのまま帰国したから。
寝息が聞こえる。可愛い…口が少し小さくて
やや困った様な雰囲気の眉が
星明の人柄を示してる様で、好きでしかない。
駄目だ、顔見てたら夜目が効いて来た。
微かに、タオルケット越しに星明の体温を感じる。
触りたい…。
「起きてるんだろ?…星明」
『……ン…っ』
「抱っこさせて…」
『えぇ~?寝るんじゃなかったの?兄貴。それに暑いよ、ちょっと』
確かに声は眠そうだ。
まさか本当に寝る為だけに、俺の部屋に
来たんだろうか?
もう考えるのもしんどい。
「ぎゅ~…っ」
全身で星明を抱き締めるつもりで、
大人しくしてるところをしっかり抱き締める。
『我慢してるかと思ったのに』
「無理だった、だって絶対えっち目的だと思ってたし…」
俺の言葉に星明は、身じろぎながら
『それは、兄貴だって変わらないでしょ?』
クスッと笑った。
「…キスまでなら、良い?」
『俺は…、兄貴が疲れてるかと思って言ってるの。だから、決めるのは俺じゃないよ。』
優しい…俺にまで選ぶ余地を与えてくれる。
「絶対、結婚する…」
『…婚前交渉は、御法度なんじゃないの?』
星明の瞳がぱっちりと開いていて、
瞬く瞬間に心奪われる。
「でも、相性は大事だろ?こっちの方の」
『兄貴がさ、俺のせいで…なんて言うのかな?堕ちてくの…俺は嫌いじゃないんだよね見てるの。』
「俺も同じだよ。子どもの頃に、自分の歪さを感じた時から。」
たくさんの石のお土産を、星明は嬉しそうに
喜んでくれた。
夕食が終わって、星明が洗い物をしてる最中に珍しく食器を割った。
手が滑ったと言って、本人も慌てた様子だったから心配が頭をよぎった。
怪我が無いか、すぐに確認して幸い
何事もなかったから俺の過保護もなかなかの
ものだと思う。
先に部屋で寝る準備をしていると、部屋のドアを叩く音がした。
少しだけ懐かしい。
考えなくても、星明しか居ない。
俺は出迎えたい気持ちもあったけれど
体の疲労のせいか、腰が重くなっていた。
『兄貴、入っても…イイ?』
なんつー声で、人の部屋の前来てるんだよ。
「星明、どした?」
いや、鬼畜な質問だよな。
あれだけ離れてた期間をお互い初めて
体験しておきながら。
分かった上で聞いてやるんだからさ。
『ン…、ちょっとだけ一緒に寝たくて』
ちょっとだけ~?
おおよそ本当とは思えない。
ドアを開けて、星明の姿が薄ぼんやりと
廊下の闇と俺の部屋の明かりで
浮かび上がる様に見えた。
「…今日は、マジで寝そう。すぐに」
『うん。良いの、ただ隣に居て…眠らせてほしくて。』
はぁ~?何だこの可愛いの暴力は。
俺がどれだけの覚悟で、この可愛い星明の
かなりストレートに近いお誘いを
やんわりと遠ざけてるのか…。
「~分かった。」
甘えん坊で、無意識で…愛されたいって俺に向けられる星明からの想いは、たまらない気持ちになる。
そのな、白いパジャマの下がどういう事に
なって様とも俺は今夜は睡眠を選ぶ。
筋肉痛も、アホみたいにあちこち起きてるし。
そろそろと星明がベッドに上がって来て、
ゆっくりと体を横たえる。
「星明、それ何持って来たんだ?」
『コレ、は…ただのタオルだよ。』
「…そっか。」
深く追求するな、俺。どうせ用意されてるのはどれもドツボばっかりだ。
俺もベッドに入って、横になり
ランプシェードの明かりを消した。
外では鈴虫が鳴いている、視界は真っ暗で
明日視界と聴覚ばかりが冴えてる。
『おやすみ、兄貴。』
ぽそりとつぶやいた星明の声が、1日の終わりの言葉なのかと思うと、妙に寂しさを感じた。
いや、寝るんだから…おやすみで正解なのに。
フリの様な気さえし始めて、俺は星明側を向いて寝る事にした。
星明もちょうど、俺の方を向いて横向きで
寝ようとしている。
「~……」
星明の手のひらが、キュッと握ってるところを見ると子供の頃を思い出す。
まだ、母親にちゃんと育てられていた頃の
記憶だ。
恋しかった、役2週間もの間
星明とはメッセージのやり取りは出来ていたけど、後半のあたりは電池切れで
連絡は取れずじまいのまま帰国したから。
寝息が聞こえる。可愛い…口が少し小さくて
やや困った様な雰囲気の眉が
星明の人柄を示してる様で、好きでしかない。
駄目だ、顔見てたら夜目が効いて来た。
微かに、タオルケット越しに星明の体温を感じる。
触りたい…。
「起きてるんだろ?…星明」
『……ン…っ』
「抱っこさせて…」
『えぇ~?寝るんじゃなかったの?兄貴。それに暑いよ、ちょっと』
確かに声は眠そうだ。
まさか本当に寝る為だけに、俺の部屋に
来たんだろうか?
もう考えるのもしんどい。
「ぎゅ~…っ」
全身で星明を抱き締めるつもりで、
大人しくしてるところをしっかり抱き締める。
『我慢してるかと思ったのに』
「無理だった、だって絶対えっち目的だと思ってたし…」
俺の言葉に星明は、身じろぎながら
『それは、兄貴だって変わらないでしょ?』
クスッと笑った。
「…キスまでなら、良い?」
『俺は…、兄貴が疲れてるかと思って言ってるの。だから、決めるのは俺じゃないよ。』
優しい…俺にまで選ぶ余地を与えてくれる。
「絶対、結婚する…」
『…婚前交渉は、御法度なんじゃないの?』
星明の瞳がぱっちりと開いていて、
瞬く瞬間に心奪われる。
「でも、相性は大事だろ?こっちの方の」
『兄貴がさ、俺のせいで…なんて言うのかな?堕ちてくの…俺は嫌いじゃないんだよね見てるの。』
「俺も同じだよ。子どもの頃に、自分の歪さを感じた時から。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい
パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け
★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる