【MellowBitter】絡めて、結わえて、ほどかないで。

③最推しとの生活て

お互いが、お互いに憧れの対象でもあり
切磋琢磨する仲間でもあり、恋人だなんて。
相変わらず、手料理も美味いし。

咀嚼する度に、結んだリボンが少し揺れている。
「可愛すぎるーーーーー」
『ん……？』
だから、そこできょとんとか。無意識なんだよなぁ…
で、小首も傾げるし。
可愛いの大渋滞ですわ、いすかさん。

ちょっと、冷静になろう。
これじゃ食事もままならない。

いすかは、男。可愛いけど野郎！
ついてるもの、ついてんだし。
喉ぼとけも少し出てるし、

でも…抱いてても声は上擦ってて、可愛いんだよなぁ。

「何でもない。黙って食べようぜ。」
心を無にしたいのに、目の前のいすかが
破壊力やばすぎ。

行儀良くて、綺麗な食べ方。
タイプでしかない。
どこに出しても、恥ずかしくない俺の最推しの
竹本いすかに、心を射止められ過ぎてしんどい。


よくよく聞いてみると、どうやら
シャンプーのCMに出る時、モデルさんの
髪にリボンを編み込むシーンが
あるらしくて、その練習を
メイクさんの見習いで、ヘアアレンジの
上手い人に今日は教わったのだと言う。
（そしたらノリで、女装させられたらしい）

『びっくりしたぁ？』
ふふふっ、と笑いながら
いすかはお風呂に入る為
ウィッグをそーっと脱ぐ。

「これをお前が出来るようにならないと、いけないのか？」
『まぁ、そうだね…ちょっとだけしか映らないとは思うけど。念の為出来た方が都合いいし。』

うーん、やっぱり生真面目と言うか。
この先役にたつとも限らない事では
あるけれど、やってみたいんだろうな。

「なにげに、人毛ウィッグだから良いの使ってるよな。」
『そうそう、練習終わったら返しに行かなきゃだし。』

ウィッグスタンドを使って、いすかは丁寧に
ウィッグを片付ける。
「で、その服は？」
『あ…これは量販店のコスプレ用だから。無事俺の私服になっちゃいました。』

俗に言う、甘ロリっぽい衣装だ。

「あんまり俺を驚かすな？部屋間違えたかとマジで凍ったから。」
『俺しか、いないでしょ～？どう考えても』

いや、まぁ…そうなんだけどさ。
焦ると言うか。