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夜も、いっしょ。
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頭の中を、空っぽにして好きなキャラで
思い切り書いています。
元は、私の創作から出ているキャラ2人です。
ここでザックリと説明をしていきます。
基本的には、コンビとしてとらえて書いています。
CPでもあり、相棒。
【登場人物】
伊吹(三十路)
身長:181cm 体重:71kg
元は、忍者であったものの時代の代わりと共に
転職をした、今は製薬会社勤め。
志摩とは、色々ありすぎて
一蓮托生と思って、同棲している。
周りから、オッサン扱いされたりもするが
ただの、面倒見のいい絆され人。
体に消えない雷紋が走っている。
志摩(20代前半)
身長:169cm体重:59kg
忍者ショーに出たりしている、本物の忍者。
線の細い体で、ショーでは一躍人気者。
本人は、今一つ、伝えたいものを伝えられずにいる
現状に時々思い悩んでいる。
見た目は、派手そうに思われがちで
心は落ち着いており、言葉も少なめ(伊吹には遠慮なし)
伊吹には精神的にも、支えられていると
自覚もある。
なんだかんだ、付き合いが長くなって
一緒に居られることに満足している。
と、いった感じです。
愛おしいなんて、大袈裟に言い表すのは
どうにも苦手だから。
ただ、ただ一緒に居てくれる存在がとても
嬉しくて、贅沢な事なんだと
移り変わる景色と共に、歩いてくれる
隣の存在を見上げるだけ。
ありがとう、とか
感謝してる、とかは
きっと自分からすれば、何ていうのか
違う気がして。
この、選んだ道に後悔があるとかないとか
互いに、死ぬ事のない体になって
消えそうにもない足跡を、残しながら
この先も生きていくんだろう。
思い返す日々は、あまりにも多すぎるから
過去の話も、昔よりしなくなった。
何にも、残せない代わりに
何にも、伝えられない不器用さが
自分でも歯がゆい。
「有限を生きていた頃は、たくさん…あげたくて。満たしてあげる事が
綺麗なんだと思ってた。」
骨と皮と、肉の生き物が
何を偉そうにと思うだろうけど。
「今は、違って…。」
眠れない夜に、抱き合うのはもう
数えきれない。
重ねる肌と、吐息が生を感じさせてくれて、
あたたかくて、冷たくて気持ちいいのだから。
真っ暗の部屋の中、肌の下には
乾いた感触の敷布。
背中にまわされた、あつい腕。
『綺麗だろう、志摩は…昔から』
「…そういう、意味じゃなくて、さ。」
鎖骨に触れる、伊吹の唇がくすぐったくて
「阿保みたいに、一緒に生きてるのに…もう、化け物みたいなのにさ?
そのくせ、綺麗事にすがって欲に溺れてるの…もう、しょうもなくない?」
刹那的な考えの志摩の言葉に、伊吹は苦笑いをし。
『また、何を考えてる…?』
「俺でも、伊吹の何かに…なれればいいなって、…ん、ゃ…だ」
腰へと手を這わされて、志摩がくすぐったそうに身をよじる。
真面目な話をしても、終わりがない事は
よく分かっていた。伊吹は、こうなるといつも
志摩の気を逸らすかのように、手を出してくる。
永久を生きるには、あまりに長い。
長すぎて、どうしようもない気持ちから不安を
口に出してしまう志摩に、伊吹は言葉ではなく
行動で答えを示そうとする。
『一番に、願った事を志摩は…忘れてしまったのか?』
「ぇ?」
胸を撫でる手のひら、暗闇の中でも分かる
光を帯びた瞳。
いつまでも、消える事のない伊吹の電紋。
志摩は、戸惑う様に瞳を見開きながら
手を伸ばして、伊吹の胸や腕にかけて走る
電紋を、指先でそっとなぞる。
『あの日に、何を願った?』
あの日、は忘れもしない。
今この目の前に居る、伊吹という存在が消えてしまいかけた日。
「…伊吹と、…ただ、一緒にいたかった。」
思い出すだけで、気恥ずかしさで頬が熱くなりかける所だが
『それが、この先も続く。俺は、ただ…いつでも志摩の為に在りたいと願った。』
お互いが、似た願いを胸に抱いていた事を再確認すると
志摩の心の中は、ほんのりと温かくなった。
「今日は、神気はいらないから…」
『そうか?この体になると、相手の事が自分の事の様に分かると聞いていたが、
やっぱり志摩は薄い、と言うのか。希薄なんだな、日頃から物静かで
消耗が少ないみたいだ。』
「昔の、俺なら結構…お天気やだったんだけど。今は、時代も変わって
落ち着いたのかも。」
志摩は、体を横向きにして伊吹を抱き締める。
『志摩は、体が冷たいな…。』
伊吹の腕に抱き返されながら、ゆっくりと口づけを交わす。
伏せていた目を、ゆっくりと開くと
「ゎ…、っ」
深いものへと変えられて、思わず志摩は膝を寄せて
擦り合わせる。
いまだ慣れない、この夜の戯れにも似た
やりとりが、少しだけ愚かしくて愛おしい。
飽きないのだろうか?と思いながら、まさか
そんな事を聞けるわけでもない。
再生を繰り返す、この身に何度罪を刻み付けて来たのか。
この間に、感情があるからいけない。
好きだと、愛してると言えば
むなしく響くだけ。
分からない。
どれだけの年月を過ごしても、納得がいく答えが
志摩には見つけられない。
いい、暇つぶしなのかもしれない。
湿った水音が、背中を粟立たせる。
耳には、淫靡に響く交わり。
一度だって、一つになれないままで
それでも、心や体は繋がれると思うのだから
目も当てられない。
肉欲を満たす伊吹のギラギラした、視線が
志摩の喉の奥を熱くさせた。
嘘がないから、伊吹は安心する。
好きに求めてくるから、志摩も好きに自らを開いた。
体が、ゆら、ゆらと揺すられて
見上げていた天井。
大事に、内側からゆっくりと侵食されていく
得も言われぬ残酷な快楽。
こんな事を平然としながら、眠りに落ちる時は
互いに手を握っているのだから
笑える。
柔らかな熱の蹂躙は、口内に絡まって
銀糸を垂らし、切れた。
「…しつこい」
『泣きそうな眼、してる。志摩は、結構変態だろ?』
「ちが、…う。でも、伊吹が優しいと、もどかしくって、」
『…酷くされたいと?』
「なんで、キスしてる時…変なトコ触るんさ?」
タンクトップの脇から忍ばされていた伊吹の悪戯な指先は、
志摩の胸の突起に触れていた。
『あ…、無意識。流れ的な?』
「そういう、ガチっぽいのに弱いの…」
照れくさそうに、ぽそぽそと訴えてくる志摩を見て
伊吹は
『…志摩の、そういう所だな。』
妙に一人で納得しながら返す。
「え…?」
きょとんと、しつつも眉根を寄せながら志摩は
鼻にかかる声で小さく声を上ずらせる。
(余談の部分です。)
志摩の好きなもの。
『志摩って、お金好きだよなぁ。』
「え?なに…藪から棒に。お金嫌いな人って、どこにいるの?」
はぁー、意味分かんない。と
志摩が布団に寝転びながら
つまらなさそうにため息をつく。
『ここに居る、と言うよりかは…志摩が極端に金銭的な管理が上手いから、任せきりにしていた。』
「あぁ、伊吹は昔から算盤苦手だもんね?」
『そうだ、志摩は頭の回転が速いからな。』
うん、うん、と志摩が頷きながら
「どれだけ、貯めれるか…やってみてるんさ。だって、俺も伊吹も、無駄に長生きしちゃってるからさ。」
ふふっ、と笑って
志摩は伊吹の方を見つめる。
『冗談で、前に志摩が言ってた』
「一回、三万ね…。なに?やる?」
直接的な志摩の言葉に
伊吹は、怯んだのか
首を横に振る。
「あのさ、俺…、伊吹も多分分かってると思うけど、毎日再生されてるでしょ?だからね、もうずっと繰り返し…初めてみたいなもんだよ。」
志摩がうつ伏せになりながら
伊吹に手を伸ばし
指を絡め取る。
『…っ、志摩…』
「だから、する度にさ…結構本気で痛くて。たまに、俺泣くの。」
『……すまない』
「謝らないで大丈夫。俺は、初めてなのに、伊吹のは馴れてるの…おかしい話やね。」
カリ、と爪の先で志摩は軽く
伊吹の顎を掻く。
『辛い時は、言ってくれ。』
「ヤダよ、我慢して…やっと出来たとしても、次の日にはまた戻っちゃうんだもん。ホント、苦労の甲斐がないけどさ。俺は、この繰り返しが嫌じゃないんだ。」
『志摩は、やっぱりどこか変わってる。何かの罰でも、乞うているみたいで、見ていて放っておけないのは、そのせいか。』
華奢な姿に、すぐに剥けそうな衣服。そういえば、こんな志摩には昔
付きまといの様な事が
起きていたのを思い出した。
何に心が動くのかも、
志摩の場合よく分からない。
が、ただ一つだけ
確かなのは、志摩は
間違いなくお金が好きなのだ。
「本当さ、今度からお金貰おうかな?俺毎回初めてなんだから、それくらい貰っても、いい気がするんだけど。」
(動画の話になったのは、もう一つの小説【毎日いっしょ。】に書いてあるのでご参考まで)
『で、お前本当に動画配信し始めたのか?』
「うん。登録者数もうすぐ、四桁いきそうなんだけど…
質問のコーナーとかも考えててさ。」
伊吹は、志摩の行動力に時々驚かされる。
『ぇ、多くない…?早くないか、そして』
「身バレしそうかもしれなくてさぁ、ヤバくなったら直ぐにやめるつもり。」
良いのだろうか?どちらかといえば、身を隠して
生きていかなければいけない立場なのに、と
『そんな、無責任な…』
「オッサンのお説教は、いらないから。」
寝る前の、ふやふやした雰囲気は
相変わらず子供っぽいな、と伊吹は肩をすくめて
寝入りばなの志摩の髪を、撫でる。
横向きで、手を緩く握って眠る姿は、胎児の眠り方に似ていた。
『お休み、…志摩。』
鼻先に口付けた。
朝になれば、何事も無かった顔で
志摩は「おはよ。」と、挨拶をかわす。
「…伊吹が、止めてくれれば俺は、しないけど。」
朝食の支度をしながら、ちら、ちらと
志摩からの視線を感じる。
『上に、見つかったら面倒だぞ。俺は止めた方がいい。としか言えない。』
「俺にも、伊吹にもさ…個ってものがないよね。時間に飼殺されるだけの日々なんだもん。」
『俺は、そうも思わない。志摩、元々動画をしたい訳じゃないの、解ってるぞ?』
志摩が、スクランブルエッグを作り始める。
台所に立つ志摩は、昨日と変わらない穏やかな表情で
口元は、緩く結ばれていて
目元は綻んでいる。
知っている、志摩は伊吹に感情を暴かれる事が
面映ゆいのだ。
素直に、素直さを出せない。
志摩の魅力は、ここにある。
「俺は、嘘つきだから…」
細い体の線、エプロンはしない志摩。
緩めの肩口から、首筋がのぞく。
朝から、惑わせるのが上手い志摩には、伊吹も
いまだに慣れないでいる。
誰に教わったのか、それとも天性のものなのか?
志摩は、ここに居るのに
近いはずなのに、陽炎の様に揺ら揺らとして
不定で、どこか遠い。
背後から抱き締めて、長い髪に指を差し入れて
首筋を露わにさせる。
うなじに、唇を寄せると
一瞬、志摩の体が震えた。
抱き締める腕に、力が入る。
振り向く志摩の目の奥には、冷たさを感じる。
『拗ねてるのか?』
「まさか、…なんでそう思ったの?」
『電話の件だろ?仕事上、仕方ない事もある…。』
「俺がいるのに、俺の前で女の人と話してたこと。」
ここ最近、妙につっかると思えば。
伊吹の所に掛かってきた電話を、志摩は面白くなさそうに
部屋の隅で、膝を抱えながら終話を待っていたのを
思い出した。
クッションをお腹に抱えて、三角座りをしつつ
目線はずっと、伊吹を捕らえたままだったのだ。
特に、謝る事でもないから、と
放置していたのがいけなかったのか?
すっかり、こじらせてしまった。
『やっぱり、あれから…よく絡んでくると思ったら。』
「他の人は、どうでもいいけど…伊吹の事に関しては、ちょっと
どうでも良くないし。」
ん百年前から、実は主従関係が出来上がってしまっていたせいで
今思えば、志摩の独占欲はかなり強いのだった。
本来は幼馴染でもある為、ひっつきべったりのは
致し方ないと、伊吹も感じていた。
『お前は、本当に…いちいち、』
「鬱陶しい?」
殊勝な言葉に、まさか。と伊吹が返すと
『一途だな、そうは、見えないのが不思議だけど。』
「…だって、俺は伊吹しか知らないし。」
いつの間にか出来ていた朝食を盛り付ける志摩。
「この体勢、腰が痛い…ちょっと、退いてくれん?」
やんわりとした口調で、身をよじる。
『今日が休みだったらなぁ…、』
「…フフッ、俺はお休みだけど。」
『うらやましい。』
「家の中でする事、たくさんあるんだけどね。オッサンのパンツ洗うのも
仕事の一つだよね。」
『…イツモ、アリガトウゴザイマス。』
食器を運びながら、伊吹が言うと
志摩が、いいえ~、と軽く返す。
「俺が、伊吹に洗われるよりも、逆の方がいいなってだけの話だから。」
『志摩、』
「ん…?」
『たまには、どこか行きたくならないか?考えといてくれ。その内、休みを取るから』
ぺたん、と今の食卓の前に座って
トーストをはむ、志摩。
「…珍しい。」
『国内なら、何とかなるだろうし』
「綺麗な宿と、お風呂があればどこでも…。」
唇に付いたラズベリージャムを、指先でぬぐい取って
舐める。
『もっともらしいな、じゃあ一緒に決めようか。』
「解った。」
伊吹を見送った後、志摩は伊吹の部屋に入り
クロゼットを開ける。
「…匂いする。」
先程の、抱きしめられた時のものとは
多少違うものの。
昔よりかは、薄らいだ気もしたが
記憶が覚えている。
「アイロン、掛けに来たんだった。」
バーに掛かるワイシャツを、いくつか手に掛けて
居間へと持って行く。
スチームが、白く立ち昇る。
伊吹は、転職をしてからもうずいぶんと経つ。
忍者を止めると言われた時には、
この先どうしていくのだろうかと
志摩も心配したものだった。
山の中で、伊吹の仕掛けていた獲物用の罠に掛かってしまい
ケガをした志摩を救護したあの頃が懐かしい。
志摩の親には、伊吹への想いをどうやら見抜かれていた事。
引き裂かれた関係も、今となれば
懐かしいくらいだった。
何も、残るものがない関係だと言われて
確かにその通りでしかなく
でも、時間が無限にとあるのならば
ずっと自分より大切な存在と、生きていこうと思えるように
なったのは、いつの事だったか。
抱かれる事に、抵抗が無かったと言えばウソになる。
伊吹が、望むのならと
身をゆだねてみて、色々とハッキリした事が多くあった。
七めんどくさい、行為までの事や
最中の事も、事後まで。
想いが無ければ、いや、あったとしても
今でも伊吹は手を抜かない。
この志摩の体は、再生をし続ける事を
もちろん、承知している。
大切にされ過ぎて、もどかしいくらい。
本当に、贅沢な話だと。
『何だ、どうした…?』
帰宅した伊吹は、居間の隅で
うなだれている志摩に気がつくと
慌てて歩み寄った。
いや、志摩が物憂げなのは
いつも通りだとしても
まるで今の状態だと
マタタビに、腰を抜かした
猫の様だと。
志摩の周りには、何故か散乱した
伊吹のワイシャツが
撒かれていた。
訳がわからない、
志摩の肩を軽く揺する。
『何してこうなった?』
「…分かんない。ただ、体が
さっきから熱くて。なんかこう、
くっつきたくなって。身を預けたいって言うの?」
伊吹が、両手で志摩の顔に手を添えて、自分の方を向かせた。
目が薄っすらと赤い。
頬も、ほんのりと上気している
らしく、吐息も同じくらい
熱い。
『熱でも出たのか?』
額に手を当てて、確かに
わずかながら熱さは伝わるものの
あれこれ考えていると
志摩に口づけられた。
既に口内はトロトロになっていて
くちゅ、と水音を立てる
いつもの志摩なら、恥ずかしがる
行為でさえも、今の志摩は
うっとりとした表情で
出来てしまっていた。
ゆっくりと絡ませる舌先、
吐息が抜けて
小さく志摩の声が漏れる。
「…っン…、」
落ち着かない腰を伊吹が
支えながら深く抱き締め合う。
ワイシャツのボタンに志摩は
手を掛けて、伊吹の衣服を
脱がしていく。
かくん、と膝を折って
伊吹がへたり込むと脚の間に
志摩が這って来た。
『志摩、』
「面倒でしょ?このままでも出来るから…ね。」
いつもであれば、用意して
準備してと忙しい。
が、お互いの為だった。
『そういう訳には、いかない。俺は志摩を傷付ける存在にはなりたくない。』
「ばかみたい。どうせ、そんなの次の朝には…なかった事みたいに再生するのにさ。」
『それと、大事にしない事は同じじゃない。』
なだめる様に、志摩の頬を撫でながら伊吹が諭す。
「伊吹が衝動的に、俺を壊しても…平気なんさ。」
『好まない、俺は、志摩が大切だからな。』
「…時々さ、俺でもそんな気持ちになる時があるから、どうしたらいいのか分からなくて…困る。」
じわじわと、志摩の顔から
熱っぽさが消えていくのが分かる。
『志摩、別に恥ずかしい事じゃない。』
「さっき…伊吹のワイシャツにアイロン掛けてたら、ダメだった。心の奥が疼いちゃって。」
あぁ、それでこんな事になったのか。と、伊吹は改めて
志摩の周りの自分のシャツを
見て笑った。
『こんなオッサンのワイシャツに、こんなになる志摩は、可愛いよなぁ。』
きゅっ、と目をつむって
志摩は猫がする様な
体を押し付けてくる真似をしている。
「分かってる、めんどくさい奴だから俺…でも、我慢しなきゃって思うんだけど。」
『ん…?もしかして志摩、』
何か心当たりがあるのか
伊吹は志摩の肩に手を掛けて
ゆっくりと押し倒した。
『神気、落ちてるな?さては』
不死の者が備えている
神気が、著しく低下してしまうと
他者からの譲り受けが可能となる。
「ぇ、分かんない…そうなのかな?そういえば近頃自分でも作り出してなかったから、あんまり無いかも。」
神気を失う前の段階として
他者からの譲り受けがスムーズに
行える様に、と
受け入れの態勢を整えていくらしく
志摩がこんな状態にまで
なるのは、初めてで
伊吹もようやく、気が付いた。
『もっと早く、気づけば良かった。苦しかったろうに…志摩。』
「平気、…でも理由があったなんて。」
床に美しく広がる志摩の長い髪、
少しだけ冷静を取り戻した
瞳はわずかに濡れている。
『本能が、求めるんだな。』
思い切り書いています。
元は、私の創作から出ているキャラ2人です。
ここでザックリと説明をしていきます。
基本的には、コンビとしてとらえて書いています。
CPでもあり、相棒。
【登場人物】
伊吹(三十路)
身長:181cm 体重:71kg
元は、忍者であったものの時代の代わりと共に
転職をした、今は製薬会社勤め。
志摩とは、色々ありすぎて
一蓮托生と思って、同棲している。
周りから、オッサン扱いされたりもするが
ただの、面倒見のいい絆され人。
体に消えない雷紋が走っている。
志摩(20代前半)
身長:169cm体重:59kg
忍者ショーに出たりしている、本物の忍者。
線の細い体で、ショーでは一躍人気者。
本人は、今一つ、伝えたいものを伝えられずにいる
現状に時々思い悩んでいる。
見た目は、派手そうに思われがちで
心は落ち着いており、言葉も少なめ(伊吹には遠慮なし)
伊吹には精神的にも、支えられていると
自覚もある。
なんだかんだ、付き合いが長くなって
一緒に居られることに満足している。
と、いった感じです。
愛おしいなんて、大袈裟に言い表すのは
どうにも苦手だから。
ただ、ただ一緒に居てくれる存在がとても
嬉しくて、贅沢な事なんだと
移り変わる景色と共に、歩いてくれる
隣の存在を見上げるだけ。
ありがとう、とか
感謝してる、とかは
きっと自分からすれば、何ていうのか
違う気がして。
この、選んだ道に後悔があるとかないとか
互いに、死ぬ事のない体になって
消えそうにもない足跡を、残しながら
この先も生きていくんだろう。
思い返す日々は、あまりにも多すぎるから
過去の話も、昔よりしなくなった。
何にも、残せない代わりに
何にも、伝えられない不器用さが
自分でも歯がゆい。
「有限を生きていた頃は、たくさん…あげたくて。満たしてあげる事が
綺麗なんだと思ってた。」
骨と皮と、肉の生き物が
何を偉そうにと思うだろうけど。
「今は、違って…。」
眠れない夜に、抱き合うのはもう
数えきれない。
重ねる肌と、吐息が生を感じさせてくれて、
あたたかくて、冷たくて気持ちいいのだから。
真っ暗の部屋の中、肌の下には
乾いた感触の敷布。
背中にまわされた、あつい腕。
『綺麗だろう、志摩は…昔から』
「…そういう、意味じゃなくて、さ。」
鎖骨に触れる、伊吹の唇がくすぐったくて
「阿保みたいに、一緒に生きてるのに…もう、化け物みたいなのにさ?
そのくせ、綺麗事にすがって欲に溺れてるの…もう、しょうもなくない?」
刹那的な考えの志摩の言葉に、伊吹は苦笑いをし。
『また、何を考えてる…?』
「俺でも、伊吹の何かに…なれればいいなって、…ん、ゃ…だ」
腰へと手を這わされて、志摩がくすぐったそうに身をよじる。
真面目な話をしても、終わりがない事は
よく分かっていた。伊吹は、こうなるといつも
志摩の気を逸らすかのように、手を出してくる。
永久を生きるには、あまりに長い。
長すぎて、どうしようもない気持ちから不安を
口に出してしまう志摩に、伊吹は言葉ではなく
行動で答えを示そうとする。
『一番に、願った事を志摩は…忘れてしまったのか?』
「ぇ?」
胸を撫でる手のひら、暗闇の中でも分かる
光を帯びた瞳。
いつまでも、消える事のない伊吹の電紋。
志摩は、戸惑う様に瞳を見開きながら
手を伸ばして、伊吹の胸や腕にかけて走る
電紋を、指先でそっとなぞる。
『あの日に、何を願った?』
あの日、は忘れもしない。
今この目の前に居る、伊吹という存在が消えてしまいかけた日。
「…伊吹と、…ただ、一緒にいたかった。」
思い出すだけで、気恥ずかしさで頬が熱くなりかける所だが
『それが、この先も続く。俺は、ただ…いつでも志摩の為に在りたいと願った。』
お互いが、似た願いを胸に抱いていた事を再確認すると
志摩の心の中は、ほんのりと温かくなった。
「今日は、神気はいらないから…」
『そうか?この体になると、相手の事が自分の事の様に分かると聞いていたが、
やっぱり志摩は薄い、と言うのか。希薄なんだな、日頃から物静かで
消耗が少ないみたいだ。』
「昔の、俺なら結構…お天気やだったんだけど。今は、時代も変わって
落ち着いたのかも。」
志摩は、体を横向きにして伊吹を抱き締める。
『志摩は、体が冷たいな…。』
伊吹の腕に抱き返されながら、ゆっくりと口づけを交わす。
伏せていた目を、ゆっくりと開くと
「ゎ…、っ」
深いものへと変えられて、思わず志摩は膝を寄せて
擦り合わせる。
いまだ慣れない、この夜の戯れにも似た
やりとりが、少しだけ愚かしくて愛おしい。
飽きないのだろうか?と思いながら、まさか
そんな事を聞けるわけでもない。
再生を繰り返す、この身に何度罪を刻み付けて来たのか。
この間に、感情があるからいけない。
好きだと、愛してると言えば
むなしく響くだけ。
分からない。
どれだけの年月を過ごしても、納得がいく答えが
志摩には見つけられない。
いい、暇つぶしなのかもしれない。
湿った水音が、背中を粟立たせる。
耳には、淫靡に響く交わり。
一度だって、一つになれないままで
それでも、心や体は繋がれると思うのだから
目も当てられない。
肉欲を満たす伊吹のギラギラした、視線が
志摩の喉の奥を熱くさせた。
嘘がないから、伊吹は安心する。
好きに求めてくるから、志摩も好きに自らを開いた。
体が、ゆら、ゆらと揺すられて
見上げていた天井。
大事に、内側からゆっくりと侵食されていく
得も言われぬ残酷な快楽。
こんな事を平然としながら、眠りに落ちる時は
互いに手を握っているのだから
笑える。
柔らかな熱の蹂躙は、口内に絡まって
銀糸を垂らし、切れた。
「…しつこい」
『泣きそうな眼、してる。志摩は、結構変態だろ?』
「ちが、…う。でも、伊吹が優しいと、もどかしくって、」
『…酷くされたいと?』
「なんで、キスしてる時…変なトコ触るんさ?」
タンクトップの脇から忍ばされていた伊吹の悪戯な指先は、
志摩の胸の突起に触れていた。
『あ…、無意識。流れ的な?』
「そういう、ガチっぽいのに弱いの…」
照れくさそうに、ぽそぽそと訴えてくる志摩を見て
伊吹は
『…志摩の、そういう所だな。』
妙に一人で納得しながら返す。
「え…?」
きょとんと、しつつも眉根を寄せながら志摩は
鼻にかかる声で小さく声を上ずらせる。
(余談の部分です。)
志摩の好きなもの。
『志摩って、お金好きだよなぁ。』
「え?なに…藪から棒に。お金嫌いな人って、どこにいるの?」
はぁー、意味分かんない。と
志摩が布団に寝転びながら
つまらなさそうにため息をつく。
『ここに居る、と言うよりかは…志摩が極端に金銭的な管理が上手いから、任せきりにしていた。』
「あぁ、伊吹は昔から算盤苦手だもんね?」
『そうだ、志摩は頭の回転が速いからな。』
うん、うん、と志摩が頷きながら
「どれだけ、貯めれるか…やってみてるんさ。だって、俺も伊吹も、無駄に長生きしちゃってるからさ。」
ふふっ、と笑って
志摩は伊吹の方を見つめる。
『冗談で、前に志摩が言ってた』
「一回、三万ね…。なに?やる?」
直接的な志摩の言葉に
伊吹は、怯んだのか
首を横に振る。
「あのさ、俺…、伊吹も多分分かってると思うけど、毎日再生されてるでしょ?だからね、もうずっと繰り返し…初めてみたいなもんだよ。」
志摩がうつ伏せになりながら
伊吹に手を伸ばし
指を絡め取る。
『…っ、志摩…』
「だから、する度にさ…結構本気で痛くて。たまに、俺泣くの。」
『……すまない』
「謝らないで大丈夫。俺は、初めてなのに、伊吹のは馴れてるの…おかしい話やね。」
カリ、と爪の先で志摩は軽く
伊吹の顎を掻く。
『辛い時は、言ってくれ。』
「ヤダよ、我慢して…やっと出来たとしても、次の日にはまた戻っちゃうんだもん。ホント、苦労の甲斐がないけどさ。俺は、この繰り返しが嫌じゃないんだ。」
『志摩は、やっぱりどこか変わってる。何かの罰でも、乞うているみたいで、見ていて放っておけないのは、そのせいか。』
華奢な姿に、すぐに剥けそうな衣服。そういえば、こんな志摩には昔
付きまといの様な事が
起きていたのを思い出した。
何に心が動くのかも、
志摩の場合よく分からない。
が、ただ一つだけ
確かなのは、志摩は
間違いなくお金が好きなのだ。
「本当さ、今度からお金貰おうかな?俺毎回初めてなんだから、それくらい貰っても、いい気がするんだけど。」
(動画の話になったのは、もう一つの小説【毎日いっしょ。】に書いてあるのでご参考まで)
『で、お前本当に動画配信し始めたのか?』
「うん。登録者数もうすぐ、四桁いきそうなんだけど…
質問のコーナーとかも考えててさ。」
伊吹は、志摩の行動力に時々驚かされる。
『ぇ、多くない…?早くないか、そして』
「身バレしそうかもしれなくてさぁ、ヤバくなったら直ぐにやめるつもり。」
良いのだろうか?どちらかといえば、身を隠して
生きていかなければいけない立場なのに、と
『そんな、無責任な…』
「オッサンのお説教は、いらないから。」
寝る前の、ふやふやした雰囲気は
相変わらず子供っぽいな、と伊吹は肩をすくめて
寝入りばなの志摩の髪を、撫でる。
横向きで、手を緩く握って眠る姿は、胎児の眠り方に似ていた。
『お休み、…志摩。』
鼻先に口付けた。
朝になれば、何事も無かった顔で
志摩は「おはよ。」と、挨拶をかわす。
「…伊吹が、止めてくれれば俺は、しないけど。」
朝食の支度をしながら、ちら、ちらと
志摩からの視線を感じる。
『上に、見つかったら面倒だぞ。俺は止めた方がいい。としか言えない。』
「俺にも、伊吹にもさ…個ってものがないよね。時間に飼殺されるだけの日々なんだもん。」
『俺は、そうも思わない。志摩、元々動画をしたい訳じゃないの、解ってるぞ?』
志摩が、スクランブルエッグを作り始める。
台所に立つ志摩は、昨日と変わらない穏やかな表情で
口元は、緩く結ばれていて
目元は綻んでいる。
知っている、志摩は伊吹に感情を暴かれる事が
面映ゆいのだ。
素直に、素直さを出せない。
志摩の魅力は、ここにある。
「俺は、嘘つきだから…」
細い体の線、エプロンはしない志摩。
緩めの肩口から、首筋がのぞく。
朝から、惑わせるのが上手い志摩には、伊吹も
いまだに慣れないでいる。
誰に教わったのか、それとも天性のものなのか?
志摩は、ここに居るのに
近いはずなのに、陽炎の様に揺ら揺らとして
不定で、どこか遠い。
背後から抱き締めて、長い髪に指を差し入れて
首筋を露わにさせる。
うなじに、唇を寄せると
一瞬、志摩の体が震えた。
抱き締める腕に、力が入る。
振り向く志摩の目の奥には、冷たさを感じる。
『拗ねてるのか?』
「まさか、…なんでそう思ったの?」
『電話の件だろ?仕事上、仕方ない事もある…。』
「俺がいるのに、俺の前で女の人と話してたこと。」
ここ最近、妙につっかると思えば。
伊吹の所に掛かってきた電話を、志摩は面白くなさそうに
部屋の隅で、膝を抱えながら終話を待っていたのを
思い出した。
クッションをお腹に抱えて、三角座りをしつつ
目線はずっと、伊吹を捕らえたままだったのだ。
特に、謝る事でもないから、と
放置していたのがいけなかったのか?
すっかり、こじらせてしまった。
『やっぱり、あれから…よく絡んでくると思ったら。』
「他の人は、どうでもいいけど…伊吹の事に関しては、ちょっと
どうでも良くないし。」
ん百年前から、実は主従関係が出来上がってしまっていたせいで
今思えば、志摩の独占欲はかなり強いのだった。
本来は幼馴染でもある為、ひっつきべったりのは
致し方ないと、伊吹も感じていた。
『お前は、本当に…いちいち、』
「鬱陶しい?」
殊勝な言葉に、まさか。と伊吹が返すと
『一途だな、そうは、見えないのが不思議だけど。』
「…だって、俺は伊吹しか知らないし。」
いつの間にか出来ていた朝食を盛り付ける志摩。
「この体勢、腰が痛い…ちょっと、退いてくれん?」
やんわりとした口調で、身をよじる。
『今日が休みだったらなぁ…、』
「…フフッ、俺はお休みだけど。」
『うらやましい。』
「家の中でする事、たくさんあるんだけどね。オッサンのパンツ洗うのも
仕事の一つだよね。」
『…イツモ、アリガトウゴザイマス。』
食器を運びながら、伊吹が言うと
志摩が、いいえ~、と軽く返す。
「俺が、伊吹に洗われるよりも、逆の方がいいなってだけの話だから。」
『志摩、』
「ん…?」
『たまには、どこか行きたくならないか?考えといてくれ。その内、休みを取るから』
ぺたん、と今の食卓の前に座って
トーストをはむ、志摩。
「…珍しい。」
『国内なら、何とかなるだろうし』
「綺麗な宿と、お風呂があればどこでも…。」
唇に付いたラズベリージャムを、指先でぬぐい取って
舐める。
『もっともらしいな、じゃあ一緒に決めようか。』
「解った。」
伊吹を見送った後、志摩は伊吹の部屋に入り
クロゼットを開ける。
「…匂いする。」
先程の、抱きしめられた時のものとは
多少違うものの。
昔よりかは、薄らいだ気もしたが
記憶が覚えている。
「アイロン、掛けに来たんだった。」
バーに掛かるワイシャツを、いくつか手に掛けて
居間へと持って行く。
スチームが、白く立ち昇る。
伊吹は、転職をしてからもうずいぶんと経つ。
忍者を止めると言われた時には、
この先どうしていくのだろうかと
志摩も心配したものだった。
山の中で、伊吹の仕掛けていた獲物用の罠に掛かってしまい
ケガをした志摩を救護したあの頃が懐かしい。
志摩の親には、伊吹への想いをどうやら見抜かれていた事。
引き裂かれた関係も、今となれば
懐かしいくらいだった。
何も、残るものがない関係だと言われて
確かにその通りでしかなく
でも、時間が無限にとあるのならば
ずっと自分より大切な存在と、生きていこうと思えるように
なったのは、いつの事だったか。
抱かれる事に、抵抗が無かったと言えばウソになる。
伊吹が、望むのならと
身をゆだねてみて、色々とハッキリした事が多くあった。
七めんどくさい、行為までの事や
最中の事も、事後まで。
想いが無ければ、いや、あったとしても
今でも伊吹は手を抜かない。
この志摩の体は、再生をし続ける事を
もちろん、承知している。
大切にされ過ぎて、もどかしいくらい。
本当に、贅沢な話だと。
『何だ、どうした…?』
帰宅した伊吹は、居間の隅で
うなだれている志摩に気がつくと
慌てて歩み寄った。
いや、志摩が物憂げなのは
いつも通りだとしても
まるで今の状態だと
マタタビに、腰を抜かした
猫の様だと。
志摩の周りには、何故か散乱した
伊吹のワイシャツが
撒かれていた。
訳がわからない、
志摩の肩を軽く揺する。
『何してこうなった?』
「…分かんない。ただ、体が
さっきから熱くて。なんかこう、
くっつきたくなって。身を預けたいって言うの?」
伊吹が、両手で志摩の顔に手を添えて、自分の方を向かせた。
目が薄っすらと赤い。
頬も、ほんのりと上気している
らしく、吐息も同じくらい
熱い。
『熱でも出たのか?』
額に手を当てて、確かに
わずかながら熱さは伝わるものの
あれこれ考えていると
志摩に口づけられた。
既に口内はトロトロになっていて
くちゅ、と水音を立てる
いつもの志摩なら、恥ずかしがる
行為でさえも、今の志摩は
うっとりとした表情で
出来てしまっていた。
ゆっくりと絡ませる舌先、
吐息が抜けて
小さく志摩の声が漏れる。
「…っン…、」
落ち着かない腰を伊吹が
支えながら深く抱き締め合う。
ワイシャツのボタンに志摩は
手を掛けて、伊吹の衣服を
脱がしていく。
かくん、と膝を折って
伊吹がへたり込むと脚の間に
志摩が這って来た。
『志摩、』
「面倒でしょ?このままでも出来るから…ね。」
いつもであれば、用意して
準備してと忙しい。
が、お互いの為だった。
『そういう訳には、いかない。俺は志摩を傷付ける存在にはなりたくない。』
「ばかみたい。どうせ、そんなの次の朝には…なかった事みたいに再生するのにさ。」
『それと、大事にしない事は同じじゃない。』
なだめる様に、志摩の頬を撫でながら伊吹が諭す。
「伊吹が衝動的に、俺を壊しても…平気なんさ。」
『好まない、俺は、志摩が大切だからな。』
「…時々さ、俺でもそんな気持ちになる時があるから、どうしたらいいのか分からなくて…困る。」
じわじわと、志摩の顔から
熱っぽさが消えていくのが分かる。
『志摩、別に恥ずかしい事じゃない。』
「さっき…伊吹のワイシャツにアイロン掛けてたら、ダメだった。心の奥が疼いちゃって。」
あぁ、それでこんな事になったのか。と、伊吹は改めて
志摩の周りの自分のシャツを
見て笑った。
『こんなオッサンのワイシャツに、こんなになる志摩は、可愛いよなぁ。』
きゅっ、と目をつむって
志摩は猫がする様な
体を押し付けてくる真似をしている。
「分かってる、めんどくさい奴だから俺…でも、我慢しなきゃって思うんだけど。」
『ん…?もしかして志摩、』
何か心当たりがあるのか
伊吹は志摩の肩に手を掛けて
ゆっくりと押し倒した。
『神気、落ちてるな?さては』
不死の者が備えている
神気が、著しく低下してしまうと
他者からの譲り受けが可能となる。
「ぇ、分かんない…そうなのかな?そういえば近頃自分でも作り出してなかったから、あんまり無いかも。」
神気を失う前の段階として
他者からの譲り受けがスムーズに
行える様に、と
受け入れの態勢を整えていくらしく
志摩がこんな状態にまで
なるのは、初めてで
伊吹もようやく、気が付いた。
『もっと早く、気づけば良かった。苦しかったろうに…志摩。』
「平気、…でも理由があったなんて。」
床に美しく広がる志摩の長い髪、
少しだけ冷静を取り戻した
瞳はわずかに濡れている。
『本能が、求めるんだな。』
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