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クソ彼氏に、カラダをおもちゃの様に…扱われてたまるか!

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朔は、音楽が好きだったよね。
でも、最近ではすっかり歌わなくなった。
ちょっとまた、朔の歌声を聴きたくなる。
煙草を吸う姿を見ると、何かを口ずさむ
朔は、やっぱりカッコいい。

俺がないものばかりを、集めた凝縮体が
きっと朔だと思う。

休みの日、朝からベランダで朔は
一服つけながら歌ってた。
俺は、邪魔をしない様にその背中を
見つめながら耳を澄ます。
これ以上近付けば、バレちゃう距離感。

「はぁ、…好きだなぁ♡」
普段のおちゃらけたイメージが
簡単にくつがえってしまう。
コーヒーを沸かして、朔がベランダから
戻ると背後から抱き締められた。
流れで、少し苦いキスをされる。

自然と腰が引けるけど、それを許す
朔ではないから
しっかりと抱き抱えられた。

「やだ、バカ…」
『央未のお口、薄あまいの知ってた?』
「…知らないよ。」
『央未が朝から可愛い…』
何もしてなくてもこんな事言ってくるんだから
お互いイカれてる。

お尻に、何だか不穏なものを
押し付けられて苦笑いした。
「しないしない、」
『俺の歌、いつも黙って聞いてるの?』
「はゎ、バレてた?」
まぁ、あんまり隠れてはなかったからさ。

『俺はもう、歌わない事にしたから』
え、えぇー?!
「何でだよ、朔すごくいい声してるのに。歌も上手いし。」
『もう、恋してないからさ…歌わなくても平気。』

きゅぅ、とお腹の前で朔の手が組まれて
俺は逃げられない。
「恋、してないの?…ぁ、でもなんとなくだけど言いたい事は、分かるかも。」
『もう、切なくなる事があんまり無くなったから。』

でも、それって良い事でもある?
「あのさぁ?違ってたらごめんなさい。もしかして、朔は…その、もう恋を卒業して愛に変わったからなんじゃないの?」

朔は、黙って俺の顔を覗き込む。
穏やかな笑顔だけが、返事だった。


『央未、気持ちい?』
「そんなトコで話すなぁ…っ、」
もう、どうしたらこんなにスイッチが
簡単に入るのかって思う。
やだなぁ、まだ日も高いってのに
俺はお昼寝をしてる隙をつかれて
朔に悪戯をされて目を覚ました。

最悪な目覚めじゃない?
下半身に違和感があって、起きたら
朔が俺のをいぢってた。
「もぉ~、お昼寝くらい普通にさせてよ…っん…っ♡」

朔のバカが、ところ構わず盛るから
後の掃除を考えると萎えちゃいそう。
って思ってたけど…無駄に気持ちよく
させてくれるから、嫌いじゃないし
そんな自分がホントに淫乱かと思う。

膝が震える、頭がぼーっとして
考える事も出来ない。
今日はやけにもどかしい感じで、
なかなかイケない。
先走りばかりが伝って、後孔に流れてく。

「やっぱりヤダぁっ…、しないってば」
朔の頭を手のひらで、ぐいぐい押すけど
舌の愛撫に甘く腰が痺れた様で
耐える。快楽に弱くてすぐに欲しがる
自分を見せたくない。
後ろに先走りを塗り込まれたら、
もう覚悟を決めるしかない。

『…へー、じゃあ止め。』
すん、とした朔の表情がよく見えた。
解らせる為に、俺を朔はまっすぐに
見つめた。

「さく…っ、」
『しーなーい』
こんな、中途半端でほったらかしにされて
俺は虚しくて、言葉も発せないけど
目頭が熱くなった。

情け無い、こんな事何度だってされてる。
別に俺をオモチャにしてるとも
思いはしないけど…。
ちょっとだけ哀しいのは、気のせいじゃない。

うぅ、鼻の奥がツンとして痛い。
泣くなんて絶対に嫌なんだから。
朔はソファに戻って、スマホを触ってる。
俺はいたたまれなくて、そのまま
シャワーをしに脱衣所に行った。

泣きながら、シャワーを浴びた。

俺は知ってる。朔は実は家族を持ちたがっている事も、子供が好きな事も。
でも、そんなのは俺と一緒を選んだ
時点で難しいって事も。
俺と結婚したいって、すんなり言えてしまう
朔がすごく好きだ。

浴室から出て、体を拭き着替えて髪を乾かす。
リビングに戻ると、朔が気まずそうに
俺と視線を見つめた。
朔でも、そんな顔するんだぁ~とか
呑気な事を考えてたら
『なんで、責めないんだよ?』
「だって…朔のコト好きだもん…」
『はぁ、…俺もだけどー?』
「お昼寝中は、ダメ。するなら、ちゃんと起きてる時がいい」

朔は、笑ってる。
『さぁっすが…、央未』
「それも冗談だけど、まぁ…起こされたのがちょっとイラッとしただけだよ。」
『分かった、ごめんなぁ…央未。抱っこさせて』
「…うんっ」
やっぱり、朔でないと嫌だ。
俺は朔の元に行って両手を広げる。
『あー、俺の央未がやっぱり可愛い…』
「なぁんか、久しぶりに切なくてキュンキュンしたんだよね、ホントは。」

『キュンキュン…て?なに?尻の事「じゃなくて、胸の奥の話だよ~」へーぇ、どっちにせよ俺は央未が嬉しそうなら、それでいい。』



『すげぇ…、央未のココやっぱりキュンキュンしてる。』
正面には、朔の黒髪がよく見える。
みっちりとした、圧迫感がお腹に感じられる。
「言わないで…っ、恥ずかしいよぉ…」
薄らと汗ばむ胸元、外気にさらされた
胸の突起は起き上がっている。

『俺、が…央未を抱くのは、愛情表現だから』
「…ぇ、うん…改めて言われると、恥ずかしい」
朔の腰の律動が激しくなると、舌を
噛まない様に会話は途絶える。
思いの丈をこの身で、感じられるってのは
単純に感慨深い。

『わり、また着ける余裕無かった。』
俺の体の負担を心配してる朔も
遠慮なく中で出す朔も同じ人物だし
どちらも朝の無い気持ちなんだって
理解してる。

「昔はさぁ、朔結構着けてくれてたけど…最近はそうでもないでしょ?」
ゆっくりと倒れ込む朔を、やんわりと
抱き止めてキスをする。

ついばむ様な軽いキスを終えると
急に現実に引き戻された感じで
体の奥の、違う熱の存在に思わず俺は
自分のお腹を撫でる。

前にもしてた事だ。

出て行く朔が切なくて、引き留める
術もわからないから。
俺は力の抜けた体を横たえながら
太腿を伝う朔の残滓に想いを馳せてから
自分の雄から漏れ出る精を、見送った。

バカみたいに気持ちよくて、頭の中
どうかしそうだって思う。

『…央未の、嬉ションみたい』

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