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たまには、2人でまったり温泉旅行(中編)
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登場人物補足
大地
2人と同じく、とある地方の
守護職。真面目で働き者。
薬師を志していた。
どうやら、弟がいるらしい。
「どう見ても捕まりそうな図だからな…。旅先で盛るなんて事は、ちょっと俺も青いな。」
胸の上に置かれた
安芸の手が、大きくて
あたたかで。
安心する。
変なの、一緒にいてドキドキも安心もするなんて。
「早く、安芸の事を支えられるようになったらいいのに。」
鼓動を、じっくり掌を通して安芸が感じ取るみたいで。
このまま、心音さえ
重なりあえたらいいのに。
「美祢…お前はいつも真っ直ぐ頑張って俺を支えてくれてるだろ?足りないものは、美祢には思いつかない。」
優しくて、強くて、ニヒルでカッコイイ安芸に相応しくなりたくて。
ずっと、背伸びしてきた。
「…そんなぁ、まだまだ全然だよ。安芸に遠慮されてる今だって。」
抱いて貰う為に来てるんじゃないけど…
湯治に来てるのは、分かってるんだけど。
いつもより、どことなく寛いでるみたいな安芸にも少し羽を伸ばして貰いたい。
「遠慮かぁ…と言うよりかは、変にこの宿の人たちと仲良くなったからか。照れくさい。」
?
え、安芸そんな事まで考えてたんだ。
俺、全然考えて無かった。
むしろ、夫婦に思われてる事に胡座かいてた。
「安芸って、たまーに…ものすごく純情だよね。びっくりした。そっかぁ。じゃあ一緒に其処にあるオセロでもして遊ぼうか?」
ゆっくりと起き上がり、座卓に戻ってオセロを持ってくる。
「懐かしいな、オセロとか久しぶりにする。」
安芸が、白。
俺は黒。
最初は、パチパチと順にマスを埋めて行く。
「あっ…あぁ……」
だんだんと、黒のオセロが白に変えられて行って
情けない声が出る。
この、虚脱感。
「美祢、四隅取らないと勝てないぞ先の手も読まないと直ぐにひっくり返される。」
言われるまでも無く分かるんだけど、直ぐにひっくり返された分を挽回しようとしたら。
ほとんど真っ白な盤面に変えられて負けた。
「勝てないと、つまんない。」
「久しぶりに見た、美祢の負けず嫌い。悔しい?」
当たり前。
「うん。悔しい…。…いや、俺負けてあげたんだよ~?」
って。
「?それは、冗談のつもりか。」
うっ…日頃ウソや冗談言わないから辛い。
「そうだったけど…安芸には負けてもいいかな。」
最初から、敵わないの分かってる。
「丸くなっちゃって…昔はいつ暴走するのかハラハラするような美祢が。今じゃ俺に嫁いでる状態か。感慨深いなぁ。」
「一緒にお風呂も入るよね。」
昔、剣士だった頃に一度安芸とお風呂に入る機会があった時は、なんでだか嫌で嫌で。
身体を見られたくなかった俺は、湯帷子を着て入浴していたのを覚えている。
そんな事は露知らず、安芸は昔からの戦いで傷付いた後がところどころある身体を、気にもせず入浴していた。
「今じゃ、美祢の方が大胆だよな。その身体になってからは。」
「えっ…そんな事は、無いと思うけど…。」
「いや、だって…美祢の胸湯船に浮くし。」
そうだっけ?
てか、見てるんだ。
安芸でも。
「気になる?」
「気にしないようには、してたつもり。」
知らなかった。
無意識の事とは言え、
「気をつけるね?」
「浮くのは、多分直らないと思うけど。」
まだ戸惑いや、未知なる部分が多いらしく
美祢の女性としての身体には、俺も何度か向き合ってきた。
「まぁ、あれだよ…健康でいられれば女性でも男の子でも今は構わないかな。」
県の守護職に就いている者の中には、医術に長けたのが数人いるから。
もし、何かあれば相談に乗ってくれる。
「何かあれば、大地に頼ればいい。あれは、昔からの薬師だからな。」
診療、調合に投薬、
ここまでできる存在は
ありがたく。
普段から人間が行く医療施設には行かない。
悲しいかな、
安心して診てもらえるのは
やっぱり仲間内だけだと。
不死ではあるが、
そりゃあ風邪も引くし
倒れたりもする。
怪我もするし。
内に宿る再生力が、強く
安定しているため
死にはしない。
だが、痛みや苦しみも
人間の頃と変わらずにある。
「そうだね、大地なら安心。」
「さて、そろそろ温泉に入るか。」
温泉は外に出て、少し歩いて五分程の場所に
別に建物がある。
からからと、下駄を鳴らして美祢が更衣室を開ける。
「おい、お前は女だから更衣室は裏側…。」
こればっかりは、無意識なんだろうな。
「あっ、…ごめんごめん。俺は特に平気なんだけどね?そんな訳にも行かないか。じゃ、また後で。」
さほど気にもしていない
美祢が一笑して着替えに行った。
「大丈夫か…?まぁ、ここ混浴だけどな。」
大地
2人と同じく、とある地方の
守護職。真面目で働き者。
薬師を志していた。
どうやら、弟がいるらしい。
「どう見ても捕まりそうな図だからな…。旅先で盛るなんて事は、ちょっと俺も青いな。」
胸の上に置かれた
安芸の手が、大きくて
あたたかで。
安心する。
変なの、一緒にいてドキドキも安心もするなんて。
「早く、安芸の事を支えられるようになったらいいのに。」
鼓動を、じっくり掌を通して安芸が感じ取るみたいで。
このまま、心音さえ
重なりあえたらいいのに。
「美祢…お前はいつも真っ直ぐ頑張って俺を支えてくれてるだろ?足りないものは、美祢には思いつかない。」
優しくて、強くて、ニヒルでカッコイイ安芸に相応しくなりたくて。
ずっと、背伸びしてきた。
「…そんなぁ、まだまだ全然だよ。安芸に遠慮されてる今だって。」
抱いて貰う為に来てるんじゃないけど…
湯治に来てるのは、分かってるんだけど。
いつもより、どことなく寛いでるみたいな安芸にも少し羽を伸ばして貰いたい。
「遠慮かぁ…と言うよりかは、変にこの宿の人たちと仲良くなったからか。照れくさい。」
?
え、安芸そんな事まで考えてたんだ。
俺、全然考えて無かった。
むしろ、夫婦に思われてる事に胡座かいてた。
「安芸って、たまーに…ものすごく純情だよね。びっくりした。そっかぁ。じゃあ一緒に其処にあるオセロでもして遊ぼうか?」
ゆっくりと起き上がり、座卓に戻ってオセロを持ってくる。
「懐かしいな、オセロとか久しぶりにする。」
安芸が、白。
俺は黒。
最初は、パチパチと順にマスを埋めて行く。
「あっ…あぁ……」
だんだんと、黒のオセロが白に変えられて行って
情けない声が出る。
この、虚脱感。
「美祢、四隅取らないと勝てないぞ先の手も読まないと直ぐにひっくり返される。」
言われるまでも無く分かるんだけど、直ぐにひっくり返された分を挽回しようとしたら。
ほとんど真っ白な盤面に変えられて負けた。
「勝てないと、つまんない。」
「久しぶりに見た、美祢の負けず嫌い。悔しい?」
当たり前。
「うん。悔しい…。…いや、俺負けてあげたんだよ~?」
って。
「?それは、冗談のつもりか。」
うっ…日頃ウソや冗談言わないから辛い。
「そうだったけど…安芸には負けてもいいかな。」
最初から、敵わないの分かってる。
「丸くなっちゃって…昔はいつ暴走するのかハラハラするような美祢が。今じゃ俺に嫁いでる状態か。感慨深いなぁ。」
「一緒にお風呂も入るよね。」
昔、剣士だった頃に一度安芸とお風呂に入る機会があった時は、なんでだか嫌で嫌で。
身体を見られたくなかった俺は、湯帷子を着て入浴していたのを覚えている。
そんな事は露知らず、安芸は昔からの戦いで傷付いた後がところどころある身体を、気にもせず入浴していた。
「今じゃ、美祢の方が大胆だよな。その身体になってからは。」
「えっ…そんな事は、無いと思うけど…。」
「いや、だって…美祢の胸湯船に浮くし。」
そうだっけ?
てか、見てるんだ。
安芸でも。
「気になる?」
「気にしないようには、してたつもり。」
知らなかった。
無意識の事とは言え、
「気をつけるね?」
「浮くのは、多分直らないと思うけど。」
まだ戸惑いや、未知なる部分が多いらしく
美祢の女性としての身体には、俺も何度か向き合ってきた。
「まぁ、あれだよ…健康でいられれば女性でも男の子でも今は構わないかな。」
県の守護職に就いている者の中には、医術に長けたのが数人いるから。
もし、何かあれば相談に乗ってくれる。
「何かあれば、大地に頼ればいい。あれは、昔からの薬師だからな。」
診療、調合に投薬、
ここまでできる存在は
ありがたく。
普段から人間が行く医療施設には行かない。
悲しいかな、
安心して診てもらえるのは
やっぱり仲間内だけだと。
不死ではあるが、
そりゃあ風邪も引くし
倒れたりもする。
怪我もするし。
内に宿る再生力が、強く
安定しているため
死にはしない。
だが、痛みや苦しみも
人間の頃と変わらずにある。
「そうだね、大地なら安心。」
「さて、そろそろ温泉に入るか。」
温泉は外に出て、少し歩いて五分程の場所に
別に建物がある。
からからと、下駄を鳴らして美祢が更衣室を開ける。
「おい、お前は女だから更衣室は裏側…。」
こればっかりは、無意識なんだろうな。
「あっ、…ごめんごめん。俺は特に平気なんだけどね?そんな訳にも行かないか。じゃ、また後で。」
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「大丈夫か…?まぁ、ここ混浴だけどな。」
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