狐と狸の昔語り。

あきすと

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ツレがアレすぎて性癖が歪む…。

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三千院 楓(見た目アラサー)実年齢4桁

183cm 71kg

ちょっと、人には言えない任に就いている。
髪が長く、漆黒。大概は結わえている。
長生きし過ぎているせいで、現世の事を把握しきれていない
所もあり、浮世離れしている。
杏を拾って育てた過去がある(数百年前の話)
性格は、物静かで穏やかに見えるが
心の底は、暗黒に渦巻いているとかいないとか。



杏(きょう)見た目が幼げに見える(都合上20歳)けど、こちらも実年齢3桁

166cm 57kg

大昔に楓に拾われた半獣、半妖。
髪の色がアンズと似ている事から、杏と楓に名づけられた。
人前では明るく、愛想も良い。
実際、弱みを見せられる相手は楓だけなので
ジャレ噛みしてしまう。
めちゃくちゃ甘やかされて育ったものの
今は自立して、別々に暮らしている。
契りを交わしてしまったせいで、楓から分け与えられた
霊力などを不足させてしまうと、
タヌキの姿になっていく。

恐らくは、父親がタヌキの妖怪で母親は人間だったのではないか。と
見ている。



今日は、珍しく杏からの呼び出しがかかり俺は
滅多に行くことの無い、家に向かう事にした。

とりあえず、愛刀を刀袋に収めて外に出た。
久し振りの外界に、あらゆる雑念が思考に混ざって来て
あまりいい気がしない。
杏は、住所を教えてくれたものの
前に行ったのが数年前、いや…もっとずっと前な気もする。

電車に乗る事も久し振りで、窓の外の眺めを見ていれば
あっと言う間に、降車駅にたどり着く。

人が多い、駅なんかは特に。
杏は、迎えには行けないから迷子にならないようにと
心配?していたが。
さすがに、それだけは杞憂だろう。

俺には、必要の無いであろうスマホを持たされて
地図通りに、杏の家にたどり着く。

呼び鈴を押そうとしたら、勝手にドアが開く。
…これは、霊力の無駄遣いだろうに、と
苦笑いして玄関で靴を脱ぐ。

肩に掛けていた刀袋を手にして、寝室に向かう。
出てこないという事は、それ程にタヌキ化が酷いのだろう。

いや、さすがに本当のタヌキ状態を…まだ抱いた事は
無いとはいえ。心の準備はしておいた方が良いのかもしれない。

寝室のドアを開けると、もぬけの殻で
ここで無いとすれば、居間だろうか?
「杏、…いない。」
まさか、とは思うが手洗いにも行ってみたが(霊力切れで倒れている可能性もある)
やっぱりいない。

「化かされてるのか…?」
居間に戻ると、廊下から足音が聞こえて来た。
ドアが開いて
『ごめん、楓~家の掃除してたら暑くって…シャワー浴びてた。…探した?』
「いや…。それより、」

今回は、消耗が激しくないのか。耳も尻尾も出ていない。
『心配した…俺は、お前には呼ばれないものだと思っていたから。』
「!そんな事ないよ…、でも、俺が都合よく楓の方に行ってた事を思うと、
仕方ないか。」

目のやり場に困る、杏はまだ濡れ髪のままで
服こそ着ているものの、手足がむき出しだ。
『ってか、何で刀なんかまた持って歩いてんだよ~。物騒だし、捕まるから。』
「これは、馬鹿には見えない刀だ。」
『ぁ、もしかして…土地から離れるから?』
「まぁ、念のためだ。」

杏は、俺を椅子に座らせて刀袋を預かると
客間に行くと、言いテーブルの上には淹れた
冷茶が置かれていた。
生活感が程よく、杏の気配が感じられる空間は久し振りで
心地が良い。

『お待たせ~、楓。』
「…今日は、元気そうで安心した。」
『ソレばっかりで、会う訳じゃないでしょ?俺とは、一応』
「ツガイではあるな。」
杏は髪をタオルでまとめ上げている。
『俺の家で、たまにはゆっくりしてみなよ。』

は?何だこの可愛いぽんぽこは。
杏は赤い瞳で俺を見つめて笑顔をこぼす。

杏は俺の隣に座り、視線は変わらず俺に注がれている。
「杏、どうしたんだ?今日はやけに…素直と言うか」
『ぇ?そお?俺いつも素のままだと思ってるんだけど。』

「……ちょっと腹を見せろ、」
どうにも怪しい。
杏の服の裾を捲り上げてみた、
『ゎ…、何なの~!?』
恥ずかしそうに、杏は手で服の裾を下げようとしている。
「お前は、隠すのが下手だからな。体のどこかに、その兆候が
あっても気が付いてない事が多かった。」

つまりは、杏の知らない所で半獣化している可能性が
あるのではないか。
会うのも、久しぶりである以上どうしても疑ってしまう。

『もー、疑り深いなぁ。そんなに言うんだったら…別に、タヌキ化うんぬんを
抜きにして、シたらいいじゃん。』

俺は、飲んでいた冷茶を吹き出しそうになった。
「ぉま…何だ?半獣から淫獣に進化したのか?」
『!?違うし!!』
「あやうく精気を吸い取られるところだ。」
『そんなんじゃないってば~……もー…っ、』
みるみる内に杏の顔が真っ赤に染まり、俺は手を放し
「冗談だ。今ので耳が出たみたいだぞ。」

『ぁ…、隠してたのに~…あ、』
「やっぱりな。」
『だって、いつもいつも…こんなタヌキみたいな姿の、抱くの嫌にならない?』
杏は、両手で出てしまったタヌキ耳を隠しながら
眉根を寄せている。
「まぁ、さすがに全部がタヌキ化してなければ…」
『ホント?』
「っ…ぐ、耳と尻尾までがギリだけど、それより進んでる時もあったよな。」

杏は、黙って頷く。こいつの意地っ張りが起因して
俺の性癖が段々と歪んでいっている事は、間違いない。

『定期的に、楓のを分けて貰わないといけないなんてね。』
「放っておけば、お前はあの時…潰えていただろう。」
俺は、杏の両手を掴んで
「口を開けろ。」
言われるがままに、杏は口を開く。
小さく奥まった空間で、舌が微かに震えた。
『何…?』
「いや、思ったより口が小さくて」
『何突っ込もうとしたんだよ!?』
「んー…手っ取り早いだろうけど。持続性がな。」
『馬鹿、もー、離せこの変態!』

時間の問題だろうな、と感じながら俺は杏を自由にした。
これはこれで、一興だろう。
こらえ性の無い、それでも意地っ張りな杏が
いつまで持ちこたえられるのか。

「変態は、どちらかと言えば杏の方だろ。」
『…でも、自信ないなぁ。これ以上酷くなったら楓にも申し訳ないし』

揺らいでいる杏を見るのがとても楽しい。
我ながら、本当にいい性格をしていると思う。

俺は、杏の背中を撫でながら
「今夜は泊まって行くから…決心がつけば、」
声を掛けるものの。

『うぅ~…またそうやって俺を甘やかして、駄目にする。』
「何で、耐える?隠す?俺にはそこが分からない。」
『負担に思われたく無いんだよ。飽きられたら、きっとすごくショックで
耐えられないし。怖いんだって。』

今この時点で、既に面倒くさいとは口が裂けても言えない。
こんなやりとりを幾度となく交わしてきても
いまだに、杏が可愛いと素直にそう思えるのだから
自分の脳内も、極まったものだと思う。

「顔に模様が出る前に、言えなかったら放置する。」
杏のタヌキ化した耳に、フッと息を吹きかけると
俺を見つめ、体を震わせながら肩にもたれ掛って来た。

やれやれ、毎度の事ながら俺の育て方が良くなかったのか
とにかく、丁寧に杏を育てて来てしまったツケを払い続ける事に
なっていた。
俺は軽々と杏を抱き抱えて、寝室へと連れて行く。
少しだけ、術が効いているせいで今の杏は
上手く身動きが取れなくなっているが、ベッドの上に
横たわらせると、術を解いてやった。

『術使うなんて、卑怯や…』
「悪かったな、でも埒が明かんかったから。」
素の杏は、方言が混じる。
声でさえ、愛おしいと思っているのに
吠えている間は、ついつい意地悪したくなるのは昔からだ。

『顔に、出たら…ダメってのは?』
「本当にタヌキを抱いてるみたいだから、とは言え…俺が一度でもお前を見捨てた事が
あったか?」
まだ、微かに震えながら杏は首を横に振った。
『無い。一度も無いよ。』
「お前は、そうやって逃げながらいつだって俺の想いを測ろうとしてるんだ。」

ベッドの端に腰かけて、横になる杏の頭を撫でる。
『そんな事、無いって言えないのが悔しい。』
「俺は、お前を泣かすのは趣味じゃない。」
『ぅん…。』
タヌキ化が進めば、体の自然治癒力も衰えてしまう。
「タヌキ汁にされる前に、観念しろ。」

最後の勧告のつもりだった。


『お腹…♡ぁちゅ…っ♡』
相当に貪欲な性質を持っていながら、自分では気が付かない
杏をここまで持って来させるのには、手がやける。
今まで、ずっと焦がれながらも離れずに居たのは
意地らしさと、健気さの絶妙な均衡が保たれていたから。
明日には、筋肉痛で騒ぐ事だろうと思いながらも
自分の非道さに、内心呆れている。

『…まだ、足りない…楓の…っ奥に…♡』
涙やら汗、涎で顔もぐしゃぐしゃ。
これでもまだ、可愛いって思えるんだからな。
さっき、杏が髪を上げていたタオルが解けてシーツの上にあるのを
手にして一旦、
「お前、ちょっと顔拭け…後声がデカ過ぎ。」

杏は、繋がったままの状態で俺に顔を拭かれれば
バツの悪そうな表情をした。
『いたい、ヒリヒリする…でもありがと…』
霊力を受け取って、補完されれば杏はいつも疲れて
落ちてしまう。(そればっかりが原因ではなさそうだ)

いくら俺でも、杏に霊力を渡してしまえば多少なりとも
自分の能力値は一時的に下がってしまう。

「今日は、もうこれで終い…。脚が笑ってるだろさっきから。」
もう、入る余地も無さそうなのに何の本能がそうさせるのか
杏はえらく求めて来る。
脚でがっちり胴を挟み込まれて、素面の杏にも見せてやりたくなるような
あられもない姿が、眼下に広がっている。

『ヌいちゃヤ…だ…ぱこぱこしゅるの…っ♡』
スマホで録画しとけば良かった。
いくら自分の家のベットだからって、淫らすぎる。
だからこそ、普段はなかなか言えないんだろうけど。

「ったく、誰だよ…こんな淫獣メスダヌキに仕込んだのは…っ」
最後の最後に、意地悪をして中で出さずに杏の腹に掛けてやった。
杏の腹部は俺のと杏ので、混ざって臍の辺りで液だまりみたいになっていた。
『にゃんで…ぇ…っ、』
「呂律回ってないだろ、もうお終い。」
『ぃやだ…、まだ…出来るもん!』
「あのなー…ここは、外界だからいつもみたいに出来ないんだよ。」

いつもみたいに、ってのは一晩中と受け取ってもらっても良い。
自分の領土内に居れば、それなりに無理は利くが
ここでは、そうもいかない。

『…分かった…じゃ、せめてこのままぎゅーってしてて』
愛情に飢えて飢えて、放っておくと怨念でも生み出すんじゃないかと
思う程に、杏は情が深い。
本人は、無自覚だが俺と他者が親交を深めたりしていると
密かに杏は妬いている事も把握している。

良い距離を保ちながら、離れすぎてしまうとまた
霊力が足りなくなって同じ事を繰り返してしまう。
「お前は、本当に…」
何度も吐精したせいで、脱力してしまう。
このままで杏を抱き締めたまま、俺が落ちてしまいそうだった。

杏が俺の頭を撫でながら
『お疲れ様…、俺…考えておくね。その、口で貰う方の話。』
何を言い出すかと思えば。
俺は、杏の頬を軽くつねってから口づけた。


『楓~…、起きた?』
眠かった。とにかく倒れこんで眠ってしまいたい衝動に駆られていたのを思い出す。
「は…もう、夜か?」
『そう、8時回ったとこ。シャワー浴びてきたら?着替え準備してあるから。』
「その前に、ちょっと刀を持って来てくれ。」
『ぇ、分かった。』
杏は、すっかり元気そうでタヌキの耳は消えていた。

『お待たせ、このままでいい?』
両手で大切そうに刀袋を持って来た杏が、また可愛く見えてしんどい。
「そのままでいい。」
杏から受け取ると、刀に移してある自分の霊力が
返って来て、少し回復できた。

『俺でも解る、消耗してたんだね。楓、ありがとう。』
杏は甚兵衛姿で俺に抱き着いてきた。
「始末までして貰って、悪かったな…お前も疲れてただろうに。」
『今はもう元気だから、お風呂に楓のを運べそうなくらいだよ。』
「やっぱり、俺としては家が一番勝手が良いな。」
杏の方からすれば、多分俺から来て欲しいんだろうけど。

『…そんなに、違うものなの?』
「全然違う。この土地は俺のでは無いからな。」
『ぅーん。』
「帰って来いよ、杏。お前はこの土地を離れても平気なんだろう?」
やっと、いつく事が出来た地ではあるが。
『もーっと、俺の事を求めてくれたら…帰るカモ。』

めんどくさ、と言う言葉を飲み込んで
俺は、恥ずかしそうに俯く杏を凝視した。

「日頃から、俺ばっかり言ってるハズだけど。」
『だってー、もっと聞きたいんやもん。』
「とりあえず、シャワーしてくる。」
『タオル使って、…もー、えっちなカッコでウロつかないで~』
どの口が言ってるんだよ、と思いつつも杏から渡されたタオルを腰に巻き
俺は、浴室へと向かった。
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