上 下
1 / 3

①おわったー。

しおりを挟む









「エアコンが、ゆかれた。」
この夏は乗り越えられそうに無い。
会社から帰宅して、晩御飯作ってる
途中から。
なーんか、暑くておかしいな?とは思ってた。
で、とりあえず様子を見に行って
「は?勝手に止まってる。」

嫌な予感はしてた。

『いやー、良かったね。俺の部屋が隣でさぁ。部屋ちょいちょい片付けてた甲斐があったよな。』

そーなんだよ、案外と朔の部屋は
使ってないにも関わらず綺麗で
冷蔵庫にもそれなりの備えがあった。
「助かったよ。でも、使わない部屋なのにどうして?」
出来上がった晩御飯を持ち運べるようにして
お隣の朔の部屋にお邪魔してる。
いや、しばらくお世話になるだろなぁ。
さっき、管理会社を通して連絡したら
今の時期は結構エアコンの修理が混み合って
るみたいで。

まぁ、俺はあまり慌ててもいないし
朔の部屋のこともあるから
日どりは任せておく。
『いくらなんでも、ある程度は保っておかないと。俺も一応は家賃払ってる以上、そこそこにしておきたいんだよ。』 

用意周到と言うよりかは、やっぱりマメな
性格なんだよな。

「ありがとう、ホント…持つべきものは金ある恋人だな♡」
『無駄に家賃払ってるだけになぁ』
「朔~今日一緒に寝てやってもいいよ?」
って、毎日そうしてはいるんだけど。

『…タオルケットあれば良いよな。』
「そだね、持ってる?」
『俺のは、お前の寝室にあるよ。』
「あっ、…そだね。寝室のエアコンは大丈夫だから寝る時は帰ろうかなぁ?」
『外出るのか、俺ならいちいち戻らないけどな。エアコン直るまでコッチにいればいいのに。』

朔はそう言うけど、この部屋には俺が愛用してる物とか持って来てないし。
それに調理器具だって、全部揃っては無いだろうから。
「最低限は持ってこなきゃだな。」
『手伝うよ、あんまり焦るな?央未。』
なんだかんだ、やっぱり朔はいいヤツだから
嬉しい。
「うん、嬉しい。朔って半端ないロクデナシ感あるのに…中身は案外マトモで優しくて参る。」

朔は晩御飯を食べ終えた後だから、
ゆったりとした雰囲気だ。
「そういえば、お風呂も貸して欲しいなぁ」
『お前いちいち断り入れんなよ。俺はしないだろ?そんな事。好きにして?』

「朔…眠たそう。」
『眠たいね、最近暑い外から涼しくなった部屋に帰るとなんか眠くなる。メシ食った後とか寝そうだもん。』

何この可愛い彼氏…、なんか俺の部屋の時と
少しだけ朔の雰囲気が変わった風に思える。
気のせいかな?
「寝ちゃうなよ?朔まだお風呂入ってないし。」
朔の部屋は住んでなかっただけあって、
閑散としてる。
言い訳程度のリビングテーブルに
対になったイスが2脚。

『お前、ホントーに寂しがりやだな。住みもしない部屋まで借りて…俺と暮らすなんて。』
朔が椅子に座ったまま寝てしまった。
疲れてんのかな?少し珍しい。

俺は静かに先に食器をシンクに下げてから
シャワーを浴びに行った。

俺の浴室にあるシャンプーやトリートメント、ボディーソープと同じで
さすがにビビった。

アイツ、ストーカーみたいな事するんだな?
かなり意外だった。
適当に揃えてるかと思ったから。

やっぱり、1人でこの部屋にいる時は
朔でも寂しかったりするのかな?
久しぶりに愛おしい気持ちが込み上げてくる。

困ってない時でも困った時も、俺には
比較的頼りになる朔がいる。

大概えっちな事ばっかりして来て
白い目で見たくなる時もあるけど
俺もなんやかんやで、朔に依存してる。
暮らしてて思うのは、朔ってばあんまり
飲酒はしないんだよな。

煙草はそこそこ吸ってるけど。

さっき、帰宅途中の朔に電話を入れたら
明日の朝の食料の心配までされて、
俺より余程しっかりしてる。

駄目だなぁ、朔の事想うと結局
気持ちが昂ってしまう。
俺も、朔に付き合ってるだけあって
助平なんだろうし。


浴室から出ると、朔が来てた。
「?!ぉわ、…起きたのかよ。まだ、眠そうな顔っ…」
キスされた。綺麗な顔が、丁寧にまぶたを
閉じてる様はすごく絵になる。

コッチは裸なのに…まったく、
このねぼすけは。

流されるフリをして、バスタオルに手を伸ばすと勘付いた朔に取られてしまう。
グイグイ腕で朔の胸辺りを押し返す。

「っは、ぁ…」
少し呼吸が乱れてクラクラする。
『央未?』
抱き寄せられると、安堵感があって
俺は気兼ねなく朔の腕の中に埋もれた。

まずったなぁ、実は準備もしてたせいで
シャワーに時間が掛かってた。
だから、朔も心配して様子を見に来てくれたんだと思う。

バスローブなんて物に身を包んで、
俺は寝室に寝かされていた。
当の朔本人は、浴室に行った。
水を飲むように言われて、去り際
朔の表情は曇っていた。

迷惑掛けちゃった。
多分、準備してたのもバレてるから
それで朔が困った?顔してたのかもしれない。
朔は時々寝起きがメッチャ悪い時がある。
もしかして、面倒くさいって
思われてる?

帰国してから2年経つけど、確かにここ最近はあまり前みたいにはシなくなったとは
思う。

寝室もきれいで、エアコンが丁度いい温度に調整されてる。
居心地は良い。

朔、戻って来たらやっぱり少しは
イチャイチャしたいなぁ。
いまだ恋してるなんて、恥ずかしくて
言えはしないけど。

俺だって、朔を想えば…ね、

追われるのは嫌じゃないけど、俺だって
朔の事ちゃんとしっかり好きだから。

バスローブってあんまり着た事無いけど
なんかそれっぽくって…えっちじゃない?
ホテルに?多分あるんだよね。
え、違う?
両脚をゆっくりと上げてパタパタと
揺らしていると
『何やってんの?お前』
朔が寝室に入って来た。

朔も同じ様にバスローブを着てる。
「ね、これパンツ履かないの?」
『…俺は履いてないけど?央未もだろ。』
そうなんだけどさ、なんかちょっと
心許なくてスカスカした感じ?

「このまま寝るの?パンツ履かずに」
『寝ねーよ、シャワー浴びたら目なんか覚めたわ。』
だよねー。
なんとなく、流れを察して状態を起こしつつ
脇に置かれた水のボトルを手にして
中身を少し飲んだ。

「ぁ…っふ、」
ギシッ、ベッドが鳴る。
朔が俺のそばに来てキスをした。
こぽ、こぽと水が奪われて行く変な感じ。

『分けて、って言うの忘れたな。』
「朔ってさ?何でそんなえっちなの?」
俺の問いに朔が鼻で笑う。
失礼な奴。
『そんなの、お前にだけだから良いだろ?別に。』

うっわ、この彼氏ホントーにさ?
何の狙いもなく言ってるんだよね。
「だからそれが、えっちじゃん。」
分かってないんだろうなぁ、きっと。

ちゃんと歯磨きもしてあって、なんか
爽やかな香味さえする。
『央未、お前のだーいすきな、えっち…しよ?』
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

獣人伯爵の獣姿に愛を囁く冷酷令嬢【完結】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:338

猫の背中にくっつくウサギ

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:45

憧れのあの子

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:2

どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season

BL / 連載中 24h.ポイント:427pt お気に入り:8

さくっと読めるBLシリーズ

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:1

【R18】恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:910pt お気に入り:13

えっちなダンジョンはお断りです!

BL / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:97

【R18】魔法のオ〇ホを手に入れたので友人に使用してもらう話

BL / 連載中 24h.ポイント:979pt お気に入り:258

処理中です...