血が満ちる夜には、口づけを。

あきすと

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ドキドキした。銀色の髪がサラサラと
なびいていて、マイクに向かって歌ってる
姿を勘違いしそうになる。

ライトが髪をより一層、非現実感を誘う。

今から十数年前の、桐哉の姿を
久しぶりに動画サイトで見ている。
隣には当たり前みたいに、同居人の
桐哉が俺と肩がくっつく程の距離で
昔の自分を見ている。

「せっまいからさぁ~」
『俺、昔はこんな顔してたんだな。…どう?今の俺とどっち好きそう?』

「はぁ?変わんないっしょ~良くも悪くも。いまだにロン毛のままだし。」
『俺はさ、ほら前世がヴァンパイアって言ってるだろ?静瑠。』

今日はバイトから帰って来たら
この同居人も同じタイミングで
帰宅してたから、慌てて晩ご飯を
作らなくても一緒に手伝ってくれて
結構助かりはしたかな。
「知らんし。」
『冷たいなぁ…、俺がこの時とは違うから?』
「そんなこと言ってないってば。」

俺は中学生の頃から、桐哉に憧れていた。
髪だってまねしたかったんだからな?
当時は無理だったけど。

桐哉には当時、付き合ってるんじゃ無いかって噂になってた人がいた。
俺は子供だからさほど興味は
湧かなかったけど。

今、その相手と一緒にいない事を
考えると…少しだけ桐哉の過去を
知りたくなる。

くっそー、こんなおっさんの過去なんて
聞いてどうするんだっての。
『静瑠の初恋は俺だったりする?』

んな訳、あるかよ。
俺の初恋の話なんて無価値だって思うから
何も言えない。
俺はこの人を無意識に憧れて、
勝手に張り合ってるのかもしれない。
どう考えても、比較の対象には
なれそうにもないってのに。

「だったら、よかったのにさ。」

甘い言葉のメロディ、少しかすれた
ファルセット(高音)が切なくて
単純な俺は心が揺れる。

あぁ、でも分かるよ。
これは恋してる人の表情だから。

昔の桐哉が一体誰に恋をしていたのか
なんて今となってはどうでもいいんだけど
意識してしまう。

横から抱きすくめられて、
小慣れた手つきが相変わらず
いやらしく俺の服の中にもぐり込む。

『こっち見て、静瑠…』
耳にキスをするのだって、くすぐったくって
気持ち良くて堪らない。
「……ンっ……ぁ…」
ふにふにと乳輪を指ではさまれて
突起がじんじんしてくる。

わりとすぐに、桐哉だと判明してからは
俺の方が意識しちゃって。
好きだってのが即バレ。

だって、まさかまさかじゃん?
憧れの対象が、同じ家に暮らすなんて。
かなり舞い上がってた俺は
恥ずかしいくらいに、桐哉への
想いをぶつけていた。

『コリコリして来た。静瑠えっちだね…』
画面の奥には昔の憧れの桐哉。
すぐ隣には、当時とほぼ変わらない
甘くハスキーな声で俺の耳に囁く
桐哉がいる。

腰が砕けそう。
「なッ…にぁ……っ、…」

当時の桐哉と同じ髪色にした俺の髪。
耳たぶを喰まれながら、乳首をキュッと
摘まれて声を上げてしまう。

だめ、だめ、だめ…っ!
こんなの気持ち良すぎて、ヤバい。
また下着が…
と、思っていたらボトムの中にまで
桐哉の手が伸びていて
一気に焦る。

『コッチも、触って欲しそうだったから。』
俺が無意識に桐哉の顔を振り返って見ると
ニコリと笑顔を返された。
「ばかぁ…っ…」

確かに優しいから、あんまりイヤイヤ
できなくなる。
ちゃんと気持ち良くさせてくれて
俺1人上りつめて果てちゃうし。
なんか恥ずかしくて、いたたまれない。

桐哉は、その…俺と繋がりたいとか?
そういうのって思わないのかな?と
時々ふと考えてみるけど。

性の趣向って難しくて、何て聞いたらいいのか分からずに避けて通って来た。

ひんやりと少し冷たい、桐哉の手が
俺のを包み込んで揶揄してる。
気持ちいい、から困る。
心が落ち着かない。

だってこんなのされたら、また
俺は桐哉の事好きになってくだけで…。

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