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夜更け
しおりを挟む頭がクラクラしていた。
晩御飯を食べなかったし、そのまま
お風呂に入ったせいで尚更。
着替えを済ませて、自分の部屋に戻る。
この部屋は少し陽当たりが悪くて
ひんやりとした空気感がある。
兄貴の部屋とは真逆だ。
あの部屋は風がよく通って
カラッと爽やかな空気に、よく
さらされている。
少し期待していたから、傷付いている。
自分でも分かっていた。
この後の時間から、訪れるであろう
甘美な時間を望んでいたから。
裏切られた様な気持ちにならない為に、
今日は早めに眠ろう。
夜は少し冷える。
すっかり二人寝に慣れてしまった
この体には、身体も心も冷やしていく
気さえする。
抱き締められて、眠って来た。
それはもう大切に抱かれて。
求め合うのは必然とさえ思う。
布団の中に入って、携帯のメッセージを
確認するけれど兄貴からのものは
届いてもいなかった。
兄貴の本質を理解できてると
勘違いしていた。
近頃はすっかり、自分に想いを向けられていると油断してたかも。
なんだか切なくて、悔しくて
すぐには眠れそうに無かった。
だからかな、この前
兄貴と通話した時の録音を聞きたくなった。
誰にも聞かせたく無い、ものすごく
優しくて…大好きな兄貴の声。
流れ出す声を聞きながら、俺は目を閉じて
ドキドキしながら聞き入る。
名前を呼ばれるだけで、心臓の鼓動を
自分でも感じる。
枕に頭を預けながら、声まで良い
兄の一言一句に集中していく。
こんな事、後ろめたいのに…
手が自然と胸に降りていく。
ドキドキの原因の近くを、スッと
パジャマの上からなぞる。
「っ…あ…、」
胸の突起を繊維が撫ぜていくのが
予想以上に気持ちいい。
ぷっくりと芯を持ち始めるまで
そう時間はかからなかった。
気持ちよくて、何度もシーツを脚で
はだけさせては遅いくる快楽に
ゆっくりと溺れかけていく。
2人で行為をしなくても、事実こんな風に
1人ででも満足は得られてしまう。
哀しいけど、これが現実。
ヤダなぁ、兄貴に開発されてる
胸…だんだんと感度が良くなって
来ちゃってる。
両手でカシカシと、軽く掠めながら
刺激してあげれば
頼りない声が漏れて来る。
こんな事、したい訳じゃないのに…
駄目、これ以上しちゃったら
本当に欲しくなっちゃうし
何より、出ちゃう。
身体がだんだん、あったまって来てて
もうどうでもよくなって来てる。
突起をくいくい引っ張ってみたり
しながら、頭を仰け反らせる。
「はぁ…っ、…っん…」
脚は自然と震えていた。
まるで、兄貴に抱かれてた時みたいに
余韻にさえも浸りながら
生ぬるっぽい快楽に襲われて
結局は吐精してしまっていた。
俺、兄貴にしてもらわなくても
一人でイッちゃうし。
はぁ、ホント…良くないよこんなの。
兄貴、俺は兄貴が好きなの。
出来れば今夜は一緒が良かった。
それなのに…。
携帯を手にして、兄貴に
ボイスメッセージを送る。
兄貴が生まれた時間を、少し
過ぎたところだった。
俺は、下着を替えて寝てしまった。
スッキリしたおかげで、寝付きは良かった。
朝
ぅわ…っん…、ん…っ?
え、なになに?
身体が浮いてるみたいにフワフワして。
気がついた時に飛び込んで来たのは
蜂蜜色の髪だった。
大好きな兄貴の匂いは、寝起きでも
すぐに鼻腔を刺激する。
何事も無かったフリをして、俺は
交わされるキスに応えていく。
かぱ、と口を開くと
じゅっ、と音がして口内に兄貴の舌が
滑り込む。
滑らかで、にゅるにゅるしてて
やらしいけど…キスで充分
気持ちよくなれる。
鼻から抜ける呼吸と、声にならない声。
しっかりと兄貴を見つめていたい。
『…星明、ごめん…』
分かってた、兄貴だって年相応に
出掛けたり遊んだりもしたいだろうし。
俺は咎められない。
俺に出来る事はやっぱり、相変わらず
この家で兄貴を待つ事だから。
『一人でした…?ごめん、昨日は俺もそのつもりだったのに、』
謝られる度に、みじめに思えて来る。
「俺ね、兄貴が楽しかったなら…それで良かったって思える。だから、謝らないで?…ね、」
兄貴はお風呂上がりらしく、髪はそのままで
朝帰りしたみたい。
ストレスも溜まってただろうし。
責められないよ。
『星明、ありがとう…』
抱き締められると息が詰まりそうになる。
ちゃんと帰って来てくれたなら
もうこれ以上は何にも言わない。
「お誕生日おめでとう、後で一緒にケーキも食べようね。」
悪戯な兄貴の腕は俺を抱き寄せて、何度も顔や体にキスをしていく。
俺を求めてくれる限りは、兄貴の側に
居るから。
はだけたパジャマの前を開かれて
外気にさらされた胸の突起を気にしていた。
触られる前から、想像しちゃって
起きている。
兄貴は目を伏せて、長い髪を耳に
掛けながら少し顔を傾いで
突起を舌先で愛撫する。
ピリピリとした感覚がゆっくりと
襲って来る。
駄目、こんなの気持ち良過ぎて
またイッちゃう。
兄貴の意地悪…っ、何で今ソコ
触る…っん…
「やぁ…っ、出ちゃうぅ…」
朝から、ちょっと大っきい声が
出てしまうわ、コッチの方も出そうに
なっちゃうわで…頭が追いつかない。
気が付いたら、兄貴は俺を布団に押し倒して
挿入しようとしてるトコだった。
一応、解してはあるから大丈夫だけど。
「ん…っ、っぁ……」
来たぁっ、てついつい嬉しくなっちゃう。
ごちゅごちゅしてて、こそがれそうな圧と角度で責められるとひとたまりも無かった。
朝から激しく愛し合って、求め合って
3回くらいイカされて…
俺はかなりクタクタになっていた。
最後ら辺は、自分がまるで兄貴のメス
にでもなった気がして。
揺すられる腰の動きに合わせて
俺の脚もだらしなく揺れていた。
いっぱい出して欲しいとさえ思いながら
俺はくずおれてしまった。
『星明の声、聞いてからたまらなくなって…一応夜中には帰ってたんだけど、朝まで何とか我慢したんだ。』
兄貴は俺の前髪をとかしながら
綺麗な笑顔を浮かべる。
ああ、本当に好き過ぎてどうにか
なっちゃいそう。
俺ね、今はすごく幸せ。
これじゃあ、俺が与えてもらって
ばっかりで兄貴の誕生日なのに。
「兄貴…、誕生日おめでとう。」
身体がしんどくて、伝えたい事は
沢山あるのに。
覚えてたのはここまでで、
次起きた時には兄貴は隣に
寝てて、慌てて飛び起きると
そろそろお昼前と言う時間になっていた。
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