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向かい合えない
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『後は、夜泣きが最後の難関だな。』
朔もお風呂から出て来て、寝支度を済ませて寝室に来てくれた。
念の為、と朔が俺に気を遣って自室で晄稀くんと寝る。って
言い出した。
「でも、荷物だってこっちだし。いいよ、気にしないで?」
『このちっこい怪獣が夜中に暴れ出しても、耐えれるか?』
「全然、大人しいのにねぇ。それに、朔の部屋…最近掃除したのいつ?」
ほとんど、朔の部屋は物置みたいに扱ってる。
家賃こそちゃんと払ってはいるものの、正直もったいないし
ちゃんと最初から2人で暮らせる所に、引っ越せたら。
とは、思うけれど。
なかなか切り出せない。
『年末には、ちゃんと掃除したかな。』
うわぁ~…ありえないでしょ。
「晄稀くんが、アレルギー起こさないか心配だよ。」
『酷…っ、人を汚い扱いすんなし』
「そうじゃなくて…っ、遠慮しないでも俺には良いんだからさ。」
むしろ、朔はどちらかと言えば潔癖の部類に入るだろうに。
小さな布団セットを寝室に運び込んで、パジャマと
おそろいのキャラクターが可愛くてニコニコしてると
晄稀くんが俺に抱き着いて来た。
可愛い…、ほんと天使みたい。
ふやふやな笑顔に、つられてると
『もう寝させる時間だからな、央未もちゃん晄稀と一緒におねんねしましょーね。』
部屋の照度を落として、朔が小さな布団の横で添い寝をしている。
俺は、ベッドの上からその様子を静かにながめている。
いつかは、例えば俺の隣に…朔が居ないとしても。
こんな風に自分の子供を大切に育てる朔が居て欲しい気もする。
久し振りに、切なさを感じる。
しばらくして、晄稀くんが寝付いた後に朔が
静かにベッドに上がって来た。
俺は慌てて、寝てるフリをした。
少しだけ目蓋が熱い。
朔には、バレたくない。
背を向けて眠る俺を、朔はそっと抱き締めてくれる。
手の熱が心地いい。背中を伝わって来る温もりに
心は、簡単に流されそうになる。
いけない、すぐそこには晄稀くんが眠ってるのに。
感情が乱れかけて、さっきからのモヤモヤを朔の
優しさで無かった事にできないかって。
甘えだと思う。
こんな時の朔はきっと何も言わない。
言わない代わりに、ただ側に居てくれる。
感受性の強い朔は、朔なりに俺から何かを感じ取ろうとして
懸命になってくれる。
決してお互いが器用ではないのを、痛いほど分っているから。
俺は、今にも揺れてしまいそうになる肩を
押さえながら、この日は眠りに落ちた。
朔もお風呂から出て来て、寝支度を済ませて寝室に来てくれた。
念の為、と朔が俺に気を遣って自室で晄稀くんと寝る。って
言い出した。
「でも、荷物だってこっちだし。いいよ、気にしないで?」
『このちっこい怪獣が夜中に暴れ出しても、耐えれるか?』
「全然、大人しいのにねぇ。それに、朔の部屋…最近掃除したのいつ?」
ほとんど、朔の部屋は物置みたいに扱ってる。
家賃こそちゃんと払ってはいるものの、正直もったいないし
ちゃんと最初から2人で暮らせる所に、引っ越せたら。
とは、思うけれど。
なかなか切り出せない。
『年末には、ちゃんと掃除したかな。』
うわぁ~…ありえないでしょ。
「晄稀くんが、アレルギー起こさないか心配だよ。」
『酷…っ、人を汚い扱いすんなし』
「そうじゃなくて…っ、遠慮しないでも俺には良いんだからさ。」
むしろ、朔はどちらかと言えば潔癖の部類に入るだろうに。
小さな布団セットを寝室に運び込んで、パジャマと
おそろいのキャラクターが可愛くてニコニコしてると
晄稀くんが俺に抱き着いて来た。
可愛い…、ほんと天使みたい。
ふやふやな笑顔に、つられてると
『もう寝させる時間だからな、央未もちゃん晄稀と一緒におねんねしましょーね。』
部屋の照度を落として、朔が小さな布団の横で添い寝をしている。
俺は、ベッドの上からその様子を静かにながめている。
いつかは、例えば俺の隣に…朔が居ないとしても。
こんな風に自分の子供を大切に育てる朔が居て欲しい気もする。
久し振りに、切なさを感じる。
しばらくして、晄稀くんが寝付いた後に朔が
静かにベッドに上がって来た。
俺は慌てて、寝てるフリをした。
少しだけ目蓋が熱い。
朔には、バレたくない。
背を向けて眠る俺を、朔はそっと抱き締めてくれる。
手の熱が心地いい。背中を伝わって来る温もりに
心は、簡単に流されそうになる。
いけない、すぐそこには晄稀くんが眠ってるのに。
感情が乱れかけて、さっきからのモヤモヤを朔の
優しさで無かった事にできないかって。
甘えだと思う。
こんな時の朔はきっと何も言わない。
言わない代わりに、ただ側に居てくれる。
感受性の強い朔は、朔なりに俺から何かを感じ取ろうとして
懸命になってくれる。
決してお互いが器用ではないのを、痛いほど分っているから。
俺は、今にも揺れてしまいそうになる肩を
押さえながら、この日は眠りに落ちた。
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