【クソ彼氏から離れらんなくて】⑪クソ彼氏の甥っ子を急遽?預かる事になったんだけど…大丈夫なのかな?

あきすと

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イレギュラー

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眠る横顔が、ちょっとずるいくらいに綺麗だと素直に思えた。
指先でなぞる頬から薄く熱が伝わって来る。

ずるくて、無邪気で。
でも意外に一途に抱き締めてくれるこの腕が
愛おしく思えた。

もうすぐ、夜が明ける。
目を覚ませばまた、悪戯な瞳にずっとこの先も
惑わされるのに離れられない。

友達なんかじゃ納まらなくて、
差し出された手を掴んだらもう離せなくなっていた。

溺れたくなくて必死だったのに、
まさか朔に溺れるとはね。

柔らかな光が、部屋にゆっくりと差し込んでくる。
頭の後ろにちょうど、朝陽が照っているのが分かる。

ベッドだって、2人で寝るには決して広くも無い。
朔の部屋は隣にある。
でも、帰らない。俺の側で寝起きする。
愛おしく思わないわけが無い。

生ぬるい朔の手のひらが、俺の腰にまわる。
直に触られる肌同士の感触が心地いい。
自然と上向いている、朔のまつ毛が可愛い。

優しい瞬きが、まだ少し重たげで眠さを感じる。
朝から首筋にキスをして、笑ってみせる。
『珍しい……』

髪に指を絡ませて、朔は目をつむる。
こんな風に自分からたくさん無遠慮に触るのも楽しい。
いつもどっちかと言えば、ほぼ一方的に触れられてきたけど
こうやって意識を持って
朔に触れる事は、久し振りな気がした。

ちゃんと、愛おしい。
こんなクソ彼氏でもそれなりに
傷付く事があって、俺を求めに来てくれるのかと
思うと、胸が少しだけ締め付けられる。

感受性も強いし、周りに対する気づき方も鋭いし
俺なんかよりよっぽど葛藤も多いんだと思う。

俺に察しられる前に、ごまかす。
なじられたりもするけど、俺の胸の中で眠られた日には
何にも言えなくなる。

脆くて、揺らぐ心を持って隠しながら
朔なりの甘え方を見つめている。

「たまにはね、俺も…ちゃんと朔の事、ばっかりだからさ。」
引き寄せられて、ベッドに背を預けながら
有無を言う間もない、呼吸みたいに自然なキスをされる。

唇の感触、質感が好き。
時々、歯向かってもみて。
朔の唇に薄くにじむものを見ると
しまった…。と思うのに、ドキドキして目が離せない。

今日は、優しい心で受け入れて
この後の仕事を思うと、ちょっとしんどいけど。
『仕事前から、サカってんなよ?』

どっちが?
朔の薄笑いは、ちょっと意地悪で眉の上がる感じが
生意気そうでなんだか悔しくなる(誕生日は1か月違いくらいなのに)

「サカってなんかないよ。朔、そういえば週末は?空いてるの」
『…なぁんか、予定あった気がするけど。出かける予定は無かったはず。何だったかなぁ?』

「あ、そうなんだ。珍しいね。まぁ俺もどこかに行くでも無いんだけどさ。」

俺は、朔のおつむのゆるゆる加減を後に
呪いたくなることが起きた。

土曜日の朝、わりと早い時間にチャイムが鳴って。
こんな時間に誰だろうと、慌てて髪を手櫛で整えてから
玄関先に行き、ロックを外した。

「朔のお姉さん!?」
朔のお姉さんとは、時々会うけど
まさか俺の家に来るとは思わなくて驚いた。

朔には、事情を説明してたんだけど…とお姉さんは子供を抱っこしている。
「ちょっと朔呼んできますね。」

ベッドでまだ寝ている朔を叩き起こして
『お姉さん、赤ちゃんと一緒だけど?何か約束してた?』

朔は、頭がボーッとしているのか反応が薄い。

「……そういえば、1日預かるって言ってた気がする。」
朔を後ろから押して、廊下を歩かせて
お姉さんの前に差し出した。

沢山の荷物も同時に預かって、俺は最後にお姉さんから
朔の甥っ子を預かった。
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