Desertの憂鬱

あきすと

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璃端の秘密

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玲は、俺からの電話に出て
『別れてやんなーい。』
とだけ、先制された。

困るし、困る…。だって、このままだと璃端が
玲の家に行ってしまうからだ。
俺の指の傷が治りかけた頃、璃端はすっかり
ヤンデレ彼氏みたいになっていた。

「れい…お願い。じゃなきゃ…そっちに璃端が行っちゃうから。」
『そんなん、知らんし。俺はフツーにお前が好きだったらどうすんの?』

おいおい、玲まで暑さのせいで?頭が沸いちゃったのかな。
うん、きっとそうに違いない。

「その冗談面白くないか『お前は、また璃端を好きになったって事?』
そうじゃないよ、元々…嫌いになった訳でも無いし。」
玲の深いため息が聞こえた。

『お前さ、友達なくすぞ?』
「玲は…ぁ、イヤ。何でもない。」
『お前の都合のいい玩具じゃねーんだよ、俺は』
怖い言葉なのに、何でだろう?玲の言葉にはちゃんと
あたたかさが感じられる。

「ごめん…玲…、でも、俺は玲が向き合ってくれたのが
本当に嬉しかったし、まだ…友達でいてくれたらいいなって」
『お前みたいなワガママで、特段取柄もない奴が…何で俺は
見離せないんだろうな。分かったよ。』
やばい、また泣きそうだけど耐える。

玲は、本当に人スキのする好青年ではある(貞操観念逝ってるけど)
「嬉しい、ありがとう…。これからは、その…また友達として
仲良くして欲しいなぁって。」
『仲良く、ね…。俺さ、こんな話電話でしてくるお前が腹立つよ。』
相変わらず、正直な言葉を心で受け止めながら。
玲らしくて、笑ってしまう。

「殴らせてあげたいよ、ホント。」
『お前の璃端にまだ、殺されたくないから。もう、頷くしかないし。
お前も、あんまり璃端を怒らせない様に…大人しくしとけよ。』

そう、本当に玲の言う通りなんだよね。
バイト先の先輩と家のみでさえも、今は控えてる位だし。
「ごめん、本当に。そろそろ璃端が帰って来るから。」
『もう、好きにしてくれ。…体調、気使えよ?要。』
ぁー、もう!玲は気遣いまで細かくて。

ちょっと大切にされてる感と、少しスリリングなトコのバランスが
絶妙である。(だから、セフレに選んだんだけど)

良い男だよね、ほんっと。またね、と電話を切ると
家のインターフォンが鳴った。

慌てて玄関のキーロックを外しに行く。
バッ、と外の風圧がすぐに来て璃端にハグされる。
『こんばんは、要…』
「璃端~♡待ってた…!」
むぎゅ、と抱き着いてやっぱり微かな外の匂いと香水の匂いが
頭をクラクラさせる。

「お帰り…で、良いのかな?
『うーん、まだ一緒には住んでないし。』
「あれ、何か璃端…お酒飲んで来た?」
珍しいな、と思いながらリビングに引っ張っていく。

『…!そうなんですよ、要。さっき酔っぱらった女性が僕にぶつかって来て
お酒を服に引っかけられてしまって。この服、お気に入りなのに。』
あらら、とんだ災難に遭ったわけだ。
「んと、脱いで?」

こういうのは、早ければ早い程綺麗に落ちるし。
『か、要?』
「早く。脱ぐんだよ、その服…璃端。」
璃端は、俺を見下ろして何か言いたげにしてるけど
シャツを脱いで渡してくれた。

『落ちるかな?かなめ…』
「うん、色自体も薄くて良かった。ワインとかだったら際どかったな。」
洗面所に行って、染み抜きをしていると後ろから璃端が
俺を抱き締めて来る。

『要、お願い…何か上に着れるもの貸して欲しいです。』
あ。すっかり忘れてた。
でも、着れそうな服あったかなぁ?
璃端を後ろに引き連れて、リビングに戻る。
部屋の中で着てる羽織を貸した。

「…なんでも無い服でも璃端が着ると、それなりの服っぽく見えるから凄いよな。」
璃端は、服を着て袖口の匂いを嗅いでいた。
『~…l'arome de boheur』
「…ボヌール?は、分かった」
『なんて、幸せな匂い…好きな人の香りは、どんな香水よりも甘美だ。』

あーぁ、もう…ね?こういう事を平気で言うんだよ?
でも、奥手でひたすら優しくて。
本当に璃端と言う存在は、ほぼフィクションかと思う。
「もーっ、恥ずかしいから。ほんと…、そんなこと言われたら、ドキドキするだろ。
責任とらない癖に。」

『ね、要…あの男の人とサヨナラした?』
来たぞ、怖い怖い。
「あー、友達には戻った、よ。」
『Non…!何で…っ、友達は戻るカモしれないからダメ。』
「戻らないって。俺もうそこまで好かれても無いだろうし。散々ののしられたからさ。」
『やっぱり、要分かってない。僕、言いに行くから。その人の家、教えて?』

「俺が、ちゃんと話したから。大丈夫なんだよ。それに、これは…俺と玲との話だから
璃端には、直接関係ないんだし。」

思いっきり、頬膨らませて璃端が俺をにらんでる。
(某チームに居た時の片鱗を感じるんだけど)
『セフレなんて、僕の要を堕とした相手が許せない。』
「俺も、悪かったし…玲ばっかり悪くも無いんだからさ。」

こうなると、話を聞いちゃくれないから大変だ。
『どうして、僕から離れてく方向ばっかり要は選ぶの?』
俺は、璃端を落ち着かせようと正面から抱き締める。

しっかり、丁寧に抱き締めて。
気恥ずかしいけど、背伸びをして璃端にキスをした。
「…っ…」
すとん、と踵がフロアに着くと
『要は…人をそそのかす、良くない天使なの?』
璃端は、指先で自分の唇に触れている。

「それって、悪魔ってこと?」
『解釈にもよるけど。』
「ちゃんと、俺の言葉ももっと聞いて。」
『聞いてるよ。ね、要…もう一回キスしたい。』

端正な顔で、子供っぽいお願いが可愛くて
また胸が高鳴る。
「なぁ、璃端…」
『ん…なぁに?要』
「俺の、姿カタチと内面と。どっちが好き?」

一瞬、璃端の笑顔が消える。
俺は、何となく気が付いてしまった。
璃端が、俺に手をあまり出さなかった理由に。

でも、本当だったらキツイなぁ。
だって俺には、どうしようもできない事だから。

『何のテスト?そんなの中身に決まってるよ。』
やっぱりな。玲とは、逆を行くんだな。
セフレに選んだ玲は、俺が男である事の当たり前の
認識を越えて来てくれた。

璃端は、言われてみれば共通の趣味とかから親しくなって。
俺の姿カタチは、言わばなんだってよかったとも言える。
でも、いざ恋愛感情を持って一線を越えようとした時に
気付いてしまったんだろうな。

あ、同性でしかないんだと。

この俺の勝手な予測がどうか、外れてます様に。


「やっぱり、璃端は俺とは付き合わない方が良い。」
もう、お互い傷つくだけの関係なら俺は続けるの辛い。

『もしかして、要。僕が、要を誘わない理由を自分にあると思ってる?』
璃端の事は、ものすごく大好きだけど。
俺は、正直に頷いた。
「だって、やっぱり同性だし。…その、同じものがあると思うと
冷めるんじゃないの?」

ぇ?と璃端は目を丸くして笑い出した。
『curieux…』
「もー、日本語で言えよな。」
『ぁ、ゴメン。えっとね…、どうしてそんな事を思ったの?おかしいなぁって。』
「おかしい?」
『そうだよ、だってそんな今更な事を』

璃端の瞳のコバルト色が、キラキラ輝いている。
これは、どんな感情と受け取って良いのか。
「今更だけど。それが、ネックでイヤなのかと俺は、思ってたんだけど。」
『ンー…。僕はまだ言うつもりは、無かったんだけど。要には知っておいて
貰った方が、良いかもしれないね。』

璃端は、俺から離れて
「なに、なに?」
『ベッドルームの方が良いかな。』
何それ!?すんごいドキドキするんだけど。

言われるがままに、寝室に案内したけど。背後からの璃端のダダ洩れの感情に
吞まれそうだった。
言わないでくれる優しさに、少し甘えても良いかな?


「…璃端、その…俺は何したらいいの?」
『とりあえず、ベッドに上がって要』
ひゃぁ~もぉんのすごい緊張する。
プラトニックでずっと、って思ってたから。

「…口でシよっか?」
あんまり、慣れてる感出さない様にしたいのに。
気持ちが急いてるのか、余計な事を言ってしまう。
ほとんど灯りもないけど、ベッドに上がって璃端は少しだけ笑ってる。
「失礼します……」

璃端の長い、持て余してる脚の間に入ってボトムの留め具を外して
ドキドキしながら、ジッパーを下げる。
無意識に固唾を飲んで、一度だけ璃端と目線を合わせた。

触らなくても分かった。
「ごめん、そういう事か。」
『僕、銭湯行くの辞めました。』
「あー、なんか言われた?」
『寄って来るんだもん、人が。全然心が安らがない。』

「うん。多分俺もその場にいたら…見てたと思うよ。」
『コンプレックスじゃないけど、少しだけ気にしてるから。』
ぅわぁ~、愛おしい。それで…今まであんまり来てくれなかったのか。

「ゴメンね、璃端…。俺勘違いしてたよ。」
急に申し訳なくなって、そっと下着の上から璃端のを撫でた。
『…っ、要のエッチ』
「なぁ~ちょっと、チラッとだけ。見ても良い?」
『…ぇ…まぁ、要なら…良いけど。』

璃端の上擦った声が、セクシーで反応が可愛くて。
「やった…」
そーっと下着を下げてみた。
『ちょ、本当に恥ずかしい、要。』
「で…っ…」

璃端に手のひらで口を押さえられてしまった。
『だから、もう…それは聞きたくないの。』
「ん…っ、ぷは…。分かったよ、言わないから…。全部見たい~♡」
『要のせいで、起きてるから…ちょっと、』
璃端は、少し呆れながらちょっと位置をずらしながら
渋々見せてくれた。

「…入るかなぁ?」
『きょ、今日は駄目!!僕、心の準備がまだ…』
「そんなのいらないいらない。ま、いくら俺でも今日は無理。ちょっと
璃端の見て少しだけ怖気づいてるもん。」
『要~、どうしてそんなにエッチなの?ほら、』

手招きされて、璃端にのしかかって抱き合う。
「知んない。ただ、お互いに気持ちよくなりたいってのを隠さないんだと思う。」
璃端は、俺を上にのせて指先で下腹からゆっくりとなぞってく。
『どこまで入るか、考えて言ってる?』

臍の辺りを、璃端の指がくりゅくりゅしてる。
「俺、璃端のならね…平気。耐えれる。」
『嬉しいけど、僕が怖いよ。もうちょっと要を大事にさせて。』

はぁー、好き。ほんと好き。
「好きだなぁ、璃端…」
『僕から離れないで、要。繋ぎ止めたくて必至だよ。情けないけど』
「情けない所なんて、一つもないだろうに。でも、もう…どこにも行かないと思う。」
少しだけ冷たい笑みで、璃端が笑う。

『なんだ、もっと早く要に伝えればよかった。』
何度も、キスをして抱き締めあって、互いの体温の心地よさに負けて
俺も璃端もベッドで寝てしまった。
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