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いつだって、若波は俺にとって焦がれる対象でしかない。
焦がれて、俺が身を焦がすたびにBittr.になっていく。
このユニットの由来はもしかしたら、そういった意味で名づけられたのじゃ
ないかって思い始めてる。
俺は、世界を、時間を旅できると知ったのはいつの事だっただろう。
能力の目覚めは、若波と出会ってからすぐの分岐を観測した頃か。
寝て、起きたら別の世界線にいた。
まぶたがいつもより重い気がする。
「ここ、寮だよね?あれー、若波は…」
朝の部屋の空気を嗅いで、違和感があった。
若波の香木の匂いが、一切しない。
慌てて、飛び起きて無意識に洗面所で自分の鏡を見た。
良かった、自分は自分でしかなかった。
安堵して、朝食を準備していると風呂場の物音に気が付いた。
あれ?やっぱり若波、居るのかな。
と言うことは、2人分の朝食を準備することにして、と
部屋着のままでキッチンに立っていると
風呂上りの若波が、首を傾げながらリビングに戻ってきた。
「おはぁ…よー…若波?サンですよね?」
あれ?と違和感を覚えながら、目を細めて若波の全身を見てみる。
「なんか、若波…身長おっきくなってない?」
おかしな事を言っている自覚はあった。
でも、なんだろう?本当に何か大きな違和感があるから
考えるけど。
『…はぁ?と言うかお前誰だよ。何勝手に人の家に上がり込んで…男?だよな』
訳わかんないこと言ってる若波に、裸足で詰め寄り
「もぉ、どうしちゃったの?いつもは寝起き良いのに…」
急に背の伸びた若波の頬をつつく。
あれ?やっぱりおかしい。
『俺、お前の事知らないぞ。…物取りでも、無さそうだし』
「ものと…!?失礼な。俺はお前の相方さんで、…その…恋人なんだけど。これ、何かの罰ゲーム?」
若波は、依然として疑いのまなざしを俺に向けてくる。
「ほんとだよ?…俺、嘘だけは絶対につかないし。信じれない?」
若波は、ベッドを見て考え込んでいた。
『このベッドに寝てたのか?』
「そう。あ、でも昨日は何にもなかったよ。」
よく見ると、若波の金髪は肩に着くほど伸びていて顔も、随分と大人のものへと
変わってしまってる。
『未成年か?』
「いや?21歳です。若波は、大人になったね…びっくりしちゃった。本当に、映画に出てきそうな雰囲気。」
体格もがっしりとしていて、体を鍛えてる感じがよく伝わる。
『俺は、37歳だ。待てよ、昔…写真で顔を見た覚えがある。』
「!37歳…、ぇ~、かっこいい!若波ってば、ずーっとかっこいいんだね。」
頭の中が、混乱してるのか若波は着替え終えてから
『駄目だ、朝食の後にしよう。頭が回らん。』
思いのほか、あっさりとした返答をした。
『悪いな、準備までしてもらって…』
「平気だよ。いつも一緒に朝ごはん食べてるし。」
若波の大人の姿に惚れ惚れしながら摂る朝食は、とても充実していた。
身長も180は超えているみたいで、手も前に比べればかなりゴツゴツしてる気がした。
それでも、線はまだ若干の細さを残しているのが妙に悩ましげで。
『お前、もしかしてアイドルグループの面接受けたか?』
「うん、受けた。それで受かって…若波とも活動してたんだよ。」
あー-、と若波は記憶を引っ張り出してきたらしく
『悪いな、俺…その話は辞退したんだ。家の都合でな。』
思い出した様子で、話す。
「…ぁ、と言うことは?」
『俺は、アイドルでも何でもない。ただの一般人。』
「…嘘だぁ、こんなカッコいいのに…そんなの信じられない。」
まさか、若波がアイドルにならなかった世界線に、俺が飛ばされちゃうなんて。
『アイドルの夢は諦めて、今は違う仕事してる…。懐かしいなぁ。もう17年ほど前の話か、』
「…ね、若波?その…結婚とかはしてるの?」
この問いが、ぶっちゃけ俺にとっては重要なものだったりする。
若波は、コーヒーを飲んだ後に緩く首を振った。
『結婚はしてない。もう、こんな歳だからな…あんまり願望が無くなってきてる。』
歳の事を、若波が言うなんて…と思ったけど
この世界の若波は確かに37年間を生きて来ているから、言うのかもしれないと悟った。
「…そういうものなの?」
『まぁー、えっと…』
「いすか、です。」
『あー、そうそう、いすかちゃんには分かりにくいだろうけど。…しっかし本当のアイドルは違うな?』
「そっかな?」
じーっと、若波に顔を覗き込まれて思わず照れてしまう。
『肌が、めちゃくちゃ綺麗だ。目だって、吸い込まれそう…』
大人になった若波も、もしかしたら俺の事って…タイプだったりするのかな?
「俺の肌が綺麗なのも、ぜーんぶ…若波が居てくれるからなんだよ。俺が居た世界では、お付き合いしてるんだし。」
『惑わされるの、解るなぁ…。タイプには違いないけど。まぁ、男でなければ、の話だけど。』
成程ね、こっちの若波は案外考えがお堅いのかもしれない。
「見た目だけで、何が分かるっていうの?ふふっ、でもさー…大人の若波はちょっぴり、昔の若波に
リードされちゃってるんだね?」
悪魔のささやきってのかも、コレ。
『競う事でも無いだろうに…』
「でもさ、美味しいフルーツの味を知らずに生きてくなんて、勿体ないなぁって俺は思っちゃうんだよね。」
あー、だめだめ。
俺には、元の世界線の若波が居るってのに。
だってさ、あんまりにも…大人の若波が凝り固まってて。
何て言うのか、意外なんだ。
『大人を揶揄うんじゃない…。悪趣味だぞ。』
そうそう、この感じも。若波は、礼儀とかにもうるさくって。
だからこそ、若波の中の固定概念を中から壊してあげたくなるんだよね。
焦がれて、俺が身を焦がすたびにBittr.になっていく。
このユニットの由来はもしかしたら、そういった意味で名づけられたのじゃ
ないかって思い始めてる。
俺は、世界を、時間を旅できると知ったのはいつの事だっただろう。
能力の目覚めは、若波と出会ってからすぐの分岐を観測した頃か。
寝て、起きたら別の世界線にいた。
まぶたがいつもより重い気がする。
「ここ、寮だよね?あれー、若波は…」
朝の部屋の空気を嗅いで、違和感があった。
若波の香木の匂いが、一切しない。
慌てて、飛び起きて無意識に洗面所で自分の鏡を見た。
良かった、自分は自分でしかなかった。
安堵して、朝食を準備していると風呂場の物音に気が付いた。
あれ?やっぱり若波、居るのかな。
と言うことは、2人分の朝食を準備することにして、と
部屋着のままでキッチンに立っていると
風呂上りの若波が、首を傾げながらリビングに戻ってきた。
「おはぁ…よー…若波?サンですよね?」
あれ?と違和感を覚えながら、目を細めて若波の全身を見てみる。
「なんか、若波…身長おっきくなってない?」
おかしな事を言っている自覚はあった。
でも、なんだろう?本当に何か大きな違和感があるから
考えるけど。
『…はぁ?と言うかお前誰だよ。何勝手に人の家に上がり込んで…男?だよな』
訳わかんないこと言ってる若波に、裸足で詰め寄り
「もぉ、どうしちゃったの?いつもは寝起き良いのに…」
急に背の伸びた若波の頬をつつく。
あれ?やっぱりおかしい。
『俺、お前の事知らないぞ。…物取りでも、無さそうだし』
「ものと…!?失礼な。俺はお前の相方さんで、…その…恋人なんだけど。これ、何かの罰ゲーム?」
若波は、依然として疑いのまなざしを俺に向けてくる。
「ほんとだよ?…俺、嘘だけは絶対につかないし。信じれない?」
若波は、ベッドを見て考え込んでいた。
『このベッドに寝てたのか?』
「そう。あ、でも昨日は何にもなかったよ。」
よく見ると、若波の金髪は肩に着くほど伸びていて顔も、随分と大人のものへと
変わってしまってる。
『未成年か?』
「いや?21歳です。若波は、大人になったね…びっくりしちゃった。本当に、映画に出てきそうな雰囲気。」
体格もがっしりとしていて、体を鍛えてる感じがよく伝わる。
『俺は、37歳だ。待てよ、昔…写真で顔を見た覚えがある。』
「!37歳…、ぇ~、かっこいい!若波ってば、ずーっとかっこいいんだね。」
頭の中が、混乱してるのか若波は着替え終えてから
『駄目だ、朝食の後にしよう。頭が回らん。』
思いのほか、あっさりとした返答をした。
『悪いな、準備までしてもらって…』
「平気だよ。いつも一緒に朝ごはん食べてるし。」
若波の大人の姿に惚れ惚れしながら摂る朝食は、とても充実していた。
身長も180は超えているみたいで、手も前に比べればかなりゴツゴツしてる気がした。
それでも、線はまだ若干の細さを残しているのが妙に悩ましげで。
『お前、もしかしてアイドルグループの面接受けたか?』
「うん、受けた。それで受かって…若波とも活動してたんだよ。」
あー-、と若波は記憶を引っ張り出してきたらしく
『悪いな、俺…その話は辞退したんだ。家の都合でな。』
思い出した様子で、話す。
「…ぁ、と言うことは?」
『俺は、アイドルでも何でもない。ただの一般人。』
「…嘘だぁ、こんなカッコいいのに…そんなの信じられない。」
まさか、若波がアイドルにならなかった世界線に、俺が飛ばされちゃうなんて。
『アイドルの夢は諦めて、今は違う仕事してる…。懐かしいなぁ。もう17年ほど前の話か、』
「…ね、若波?その…結婚とかはしてるの?」
この問いが、ぶっちゃけ俺にとっては重要なものだったりする。
若波は、コーヒーを飲んだ後に緩く首を振った。
『結婚はしてない。もう、こんな歳だからな…あんまり願望が無くなってきてる。』
歳の事を、若波が言うなんて…と思ったけど
この世界の若波は確かに37年間を生きて来ているから、言うのかもしれないと悟った。
「…そういうものなの?」
『まぁー、えっと…』
「いすか、です。」
『あー、そうそう、いすかちゃんには分かりにくいだろうけど。…しっかし本当のアイドルは違うな?』
「そっかな?」
じーっと、若波に顔を覗き込まれて思わず照れてしまう。
『肌が、めちゃくちゃ綺麗だ。目だって、吸い込まれそう…』
大人になった若波も、もしかしたら俺の事って…タイプだったりするのかな?
「俺の肌が綺麗なのも、ぜーんぶ…若波が居てくれるからなんだよ。俺が居た世界では、お付き合いしてるんだし。」
『惑わされるの、解るなぁ…。タイプには違いないけど。まぁ、男でなければ、の話だけど。』
成程ね、こっちの若波は案外考えがお堅いのかもしれない。
「見た目だけで、何が分かるっていうの?ふふっ、でもさー…大人の若波はちょっぴり、昔の若波に
リードされちゃってるんだね?」
悪魔のささやきってのかも、コレ。
『競う事でも無いだろうに…』
「でもさ、美味しいフルーツの味を知らずに生きてくなんて、勿体ないなぁって俺は思っちゃうんだよね。」
あー、だめだめ。
俺には、元の世界線の若波が居るってのに。
だってさ、あんまりにも…大人の若波が凝り固まってて。
何て言うのか、意外なんだ。
『大人を揶揄うんじゃない…。悪趣味だぞ。』
そうそう、この感じも。若波は、礼儀とかにもうるさくって。
だからこそ、若波の中の固定概念を中から壊してあげたくなるんだよね。
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