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第3章 王都
相談相手
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早くに眠った俺はとっぷりと日が暮れたくらいに目が覚めてしまった。夕飯を食べ逃し落ち込んでいたが、使用人か誰かが軽食を置いていってくれたようだ。
「すっきりしない……。」
重いため息を着く。誰かに相談したいが、相談できる相手がいない。
俺の知り合いって少ないしな……。
そもそもすぐ会える距離にいる知り合いは何の因果か全員自分に好意を抱いている。そんな中他の人から告白されたことを相談するのはどうかと思う。
全く知らない人達と言ってもこの城の使用人などはすぐに噂が広まりそうな気がする。なんせ王子様と騎士団長だ。
あぁぁぁぁ!匿名で悩み聞いて欲しい。自分で考えるには難しすぎる。誰か、秘密が漏れなくて、俺の事好きじゃないやついないかな……。
ふと、思い浮かんだのはガルだ。純白の輝かしい鱗を持ったドラゴン。
命の危険な訳では無いけど、きっとガルなら話を聞いてくれるだろう。呼んだ時に来てくれるって言ってたしね。
そうと決まれば呼ぶ場所を決めなければいけない。
ドラゴンというだけあって部屋に呼べる大きさではない。
雅人はドアと反対側にあるバルコニーへ出た。中庭が見え、空には細い月が浮かんでいる。
「……ガル。」
静かに、はっきりとその名を紡ぐ。
遥か彼方に白い煌めきが見えたと思うとそれは一瞬で目の前に来た。
「呼んだか。マサトよ。」
「本当に来たな。」
「来ると言ったであろう。して、何があったのだ?」
「相談したいことがあるんだ。……いいか?」
「あぁ。我の主人はマサトだ。相談事くらいのるぞ。」
「ありがとう。」
「相談とは?」
「俺さ、告白されたんだ。」
「うむ。」
「俺と一緒にガルと戦おうとしていた奴らがいただろ?そいつらとここの第2王子に告白されたんだ。」
「誰を選ぶか迷っているのか?」
「違う。選ぶとかそういうのじゃなくて……。その中にさ、騎士団長のデイヴィスっていう奴がいるんだ。」
「デイヴィスというのは赤髪のやつか?」
「あぁ。デイヴィスと第2王子のシュバルツが恋人同士って聞いて。」
「む?そやつらはマサトに想いを伝えたのではなかったか?」
「そうだ。だから、なんでだよ。って思って……。なんか分からないけどずっともやもやするんだ。」
「ほう。」
「なんで告白なんかしたんだよ。恋人いるんなら好きとか言うなよ。そのせいで、俺は、俺はッ……」
「どう思ったのだ?」
「俺は……」
「恋人がいると知ってどう思った?ただ単に不誠実な行いに腹が立っただけか?それとも他のなにかを感じたか?」
「俺は、腹が立った訳じゃ、なくて……」
「ふ、答えは出たようだな。」
「でも恋人がいるのに。」
「それは本人たちが言っておったのか?事実を確認してからでも遅くはない。」
「確かに、そうだが……。」
「なに、もし本当にそうならば慰めてやるから我を呼べばいい。」
「ふっ、そうだな。ありがとう、ガル。明日、聞いてみる。」
「応援してるぞ。」
そう言ってガルはまた空の向こうに飛んでいってしまった。
マサトはベッドに戻り明日へと思いを馳せながら眠りについた。
「すっきりしない……。」
重いため息を着く。誰かに相談したいが、相談できる相手がいない。
俺の知り合いって少ないしな……。
そもそもすぐ会える距離にいる知り合いは何の因果か全員自分に好意を抱いている。そんな中他の人から告白されたことを相談するのはどうかと思う。
全く知らない人達と言ってもこの城の使用人などはすぐに噂が広まりそうな気がする。なんせ王子様と騎士団長だ。
あぁぁぁぁ!匿名で悩み聞いて欲しい。自分で考えるには難しすぎる。誰か、秘密が漏れなくて、俺の事好きじゃないやついないかな……。
ふと、思い浮かんだのはガルだ。純白の輝かしい鱗を持ったドラゴン。
命の危険な訳では無いけど、きっとガルなら話を聞いてくれるだろう。呼んだ時に来てくれるって言ってたしね。
そうと決まれば呼ぶ場所を決めなければいけない。
ドラゴンというだけあって部屋に呼べる大きさではない。
雅人はドアと反対側にあるバルコニーへ出た。中庭が見え、空には細い月が浮かんでいる。
「……ガル。」
静かに、はっきりとその名を紡ぐ。
遥か彼方に白い煌めきが見えたと思うとそれは一瞬で目の前に来た。
「呼んだか。マサトよ。」
「本当に来たな。」
「来ると言ったであろう。して、何があったのだ?」
「相談したいことがあるんだ。……いいか?」
「あぁ。我の主人はマサトだ。相談事くらいのるぞ。」
「ありがとう。」
「相談とは?」
「俺さ、告白されたんだ。」
「うむ。」
「俺と一緒にガルと戦おうとしていた奴らがいただろ?そいつらとここの第2王子に告白されたんだ。」
「誰を選ぶか迷っているのか?」
「違う。選ぶとかそういうのじゃなくて……。その中にさ、騎士団長のデイヴィスっていう奴がいるんだ。」
「デイヴィスというのは赤髪のやつか?」
「あぁ。デイヴィスと第2王子のシュバルツが恋人同士って聞いて。」
「む?そやつらはマサトに想いを伝えたのではなかったか?」
「そうだ。だから、なんでだよ。って思って……。なんか分からないけどずっともやもやするんだ。」
「ほう。」
「なんで告白なんかしたんだよ。恋人いるんなら好きとか言うなよ。そのせいで、俺は、俺はッ……」
「どう思ったのだ?」
「俺は……」
「恋人がいると知ってどう思った?ただ単に不誠実な行いに腹が立っただけか?それとも他のなにかを感じたか?」
「俺は、腹が立った訳じゃ、なくて……」
「ふ、答えは出たようだな。」
「でも恋人がいるのに。」
「それは本人たちが言っておったのか?事実を確認してからでも遅くはない。」
「確かに、そうだが……。」
「なに、もし本当にそうならば慰めてやるから我を呼べばいい。」
「ふっ、そうだな。ありがとう、ガル。明日、聞いてみる。」
「応援してるぞ。」
そう言ってガルはまた空の向こうに飛んでいってしまった。
マサトはベッドに戻り明日へと思いを馳せながら眠りについた。
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