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第1章 騎士団
魔物
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「……んん……んぅ。」
雅人が目を擦りながら起きる。
……どこだ?ここ。俺は確か焚き火のとこにいたと思うけど。それでうとうとして……ん?ほんとにどこだここ?
そろそろと立って入り口に向かう。
「誰か、いるか……?」
返事は返ってこない。
え?誰もいないの?なら俺外出ちゃうよ?出るからね?
入り口から頭だけ出して外の様子を伺う。雅人がいるテントはどうやら野営地の端にあるようだ。
あっちから人の声が聞こえるしとりあえずあっち行くか!
テントから出て1歩目を踏みだす。
「グルルルルル……。」
………………うん?えっと、後ろから聞こえるのは何かな……?俺の腹の音?わわわ恥ずかしい!
「グルルル……ギャァウ!!!」
絶対違うよね?!えっ?えっ?俺なんかした?転生してすぐまたさよならなの?!あの冷たい神様に会うの?!怖い!はっ!もしかしたらちょっといかつい声を出すわんちゃんとかじゃねえか?!よし、そうだ!そう思おう。ほーらわんちゃんだって………………。
雅人はギ、ギ、ギ、と顔を後ろに向ける。そこに居たのは体長3メートルはあるだろうごわごわとした灰色の毛に覆われた巨体に大きく尖った耳、ぎょろぎょろと見開かれている目、大きく裂けた口から舌がだらんと垂れ下がり、ぽたぽたとよだれを垂らしている。
な、な、な、何だこの犬とワニ混ぜたみたいな気持ち悪いやつ!!!ちょっ助けて!ほんとに!人間ほんとに怖い時って声出なくなるんだな。いやまじで無理。え?逃げれなくね?え?戦うの?
雅人はテントに立てかけられた剣を見つけ刺激しないようにゆっくりと手に取る。そしてその魔物に切っ先を向け構えた。
え?どうしよ。俺剣道の型しかできねえんだが。ちょいちょいちょい魔物さん?目が怖い!ふすふす鼻鳴らさないで!臭いんだよ!あっ待って。ごめん謝るからさ。怒んなって。ちょっうわこっち来たぁぁぁ!
魔物がぐあっと口を開け飛びかかってくる。
「グァァァァァ!!!」
「……。」
はい。もう声出ません。気絶しそう。
ガキィン!
魔物の歯が雅人に当たろうとした時、金属がぶつかる音がした。雅人が自分の剣で歯を受けたのだ。
「おい!大丈夫か!」
「魔物の気配だ!気をつけろ!」
魔物の唸り声と剣の音を聞いてデイヴィス達が来た。
「マサト!」
その声は雅人には聞こえない。ただひたすらの静寂が雅人に訪れる。雅人が剣の向きを変える。その勢いで魔物の歯を横に流し、そのまま地面を蹴りあげ魔物の耳を切りつける。
「グギャァァァァァァァ!」
耳を落とされ怒り狂う魔物の嘶きが辺りを劈く。
後ろに下がった雅人はそのまま距離を縮め魔物の背後にまわり、背中に乗り上げる。そのまま剣の切っ先を魔物の背中に突き立て、一気に刺した。
「グガ、ガ、ガァ…………」
そのまま魔物は地面に倒れた。
集まったデイヴィスやフィルを含む団員たちは呆気に取られ、目の前の光景が理解できていないようだ。
……え?なんか、思ったより魔物弱くね?動きが遅すぎて攻撃はすぐ避けられるし怒った瞬間から隙ありまくりだしな。……あれ?なんでみんなこっち来てるの?見てたんなら助けてくれよ。そもそも何を見て……はっ!俺、勝手に剣使った上に借りた隊服も魔物の血でどろどろじゃねえか!やばい。
「……悪い。借りた隊服を汚してしまった。洗いたいんだが、魔物の血って落ちるか?あと勝手に剣を使わせてもらったんだが誰かのものだったら本当にすまない。」
「………………」
「そ、そんな大切な剣だったか?悪い!俺勝手に使ってしまって!」
「………………」
「デ、デイヴィス?」
「……っ!あぁ、悪い!少しぼうっとしていた。それより大丈夫か?!魔物に襲われたのだろう?!」
「そ、そうだ!マサト!怪我はないか?!」
「あぁ、大丈夫だ。俺は無傷だ。血は被ってしまったが。」
「……なぁ、マサト。君は戦ったことがあるのか?」
「戦ったこと?それは……ない……が……。」
あれ?俺もしかしてやらかした?そうだよな。戦ったことないやつが魔物と戦って勝つはずないもんな。え?俺めっちゃ怪しいヤツじゃね?なんか記憶失くしたフリして居座ろうとしたやつみたいな。え?俺怪しいやつじゃねえぞ?ただでさえデイヴィスには変態だと思われてるのに追い出されるか…?
「……そうか。」
デイヴィスはそれしか言わなかった。
「あのデイヴィス、近くに川は無いか?さっきの湖でもいいんだが血を流すには川の方がいいと思ってな。」
俺を野営地に置くのが嫌ならそのまま川の下流に降りていくからさ。
そういう意味を込めて聞いた。
「あー……俺が案内するよ。」
「フィル、ありがとう。」
フィルに案内されて雅人は川に向かった。
雅人が目を擦りながら起きる。
……どこだ?ここ。俺は確か焚き火のとこにいたと思うけど。それでうとうとして……ん?ほんとにどこだここ?
そろそろと立って入り口に向かう。
「誰か、いるか……?」
返事は返ってこない。
え?誰もいないの?なら俺外出ちゃうよ?出るからね?
入り口から頭だけ出して外の様子を伺う。雅人がいるテントはどうやら野営地の端にあるようだ。
あっちから人の声が聞こえるしとりあえずあっち行くか!
テントから出て1歩目を踏みだす。
「グルルルルル……。」
………………うん?えっと、後ろから聞こえるのは何かな……?俺の腹の音?わわわ恥ずかしい!
「グルルル……ギャァウ!!!」
絶対違うよね?!えっ?えっ?俺なんかした?転生してすぐまたさよならなの?!あの冷たい神様に会うの?!怖い!はっ!もしかしたらちょっといかつい声を出すわんちゃんとかじゃねえか?!よし、そうだ!そう思おう。ほーらわんちゃんだって………………。
雅人はギ、ギ、ギ、と顔を後ろに向ける。そこに居たのは体長3メートルはあるだろうごわごわとした灰色の毛に覆われた巨体に大きく尖った耳、ぎょろぎょろと見開かれている目、大きく裂けた口から舌がだらんと垂れ下がり、ぽたぽたとよだれを垂らしている。
な、な、な、何だこの犬とワニ混ぜたみたいな気持ち悪いやつ!!!ちょっ助けて!ほんとに!人間ほんとに怖い時って声出なくなるんだな。いやまじで無理。え?逃げれなくね?え?戦うの?
雅人はテントに立てかけられた剣を見つけ刺激しないようにゆっくりと手に取る。そしてその魔物に切っ先を向け構えた。
え?どうしよ。俺剣道の型しかできねえんだが。ちょいちょいちょい魔物さん?目が怖い!ふすふす鼻鳴らさないで!臭いんだよ!あっ待って。ごめん謝るからさ。怒んなって。ちょっうわこっち来たぁぁぁ!
魔物がぐあっと口を開け飛びかかってくる。
「グァァァァァ!!!」
「……。」
はい。もう声出ません。気絶しそう。
ガキィン!
魔物の歯が雅人に当たろうとした時、金属がぶつかる音がした。雅人が自分の剣で歯を受けたのだ。
「おい!大丈夫か!」
「魔物の気配だ!気をつけろ!」
魔物の唸り声と剣の音を聞いてデイヴィス達が来た。
「マサト!」
その声は雅人には聞こえない。ただひたすらの静寂が雅人に訪れる。雅人が剣の向きを変える。その勢いで魔物の歯を横に流し、そのまま地面を蹴りあげ魔物の耳を切りつける。
「グギャァァァァァァァ!」
耳を落とされ怒り狂う魔物の嘶きが辺りを劈く。
後ろに下がった雅人はそのまま距離を縮め魔物の背後にまわり、背中に乗り上げる。そのまま剣の切っ先を魔物の背中に突き立て、一気に刺した。
「グガ、ガ、ガァ…………」
そのまま魔物は地面に倒れた。
集まったデイヴィスやフィルを含む団員たちは呆気に取られ、目の前の光景が理解できていないようだ。
……え?なんか、思ったより魔物弱くね?動きが遅すぎて攻撃はすぐ避けられるし怒った瞬間から隙ありまくりだしな。……あれ?なんでみんなこっち来てるの?見てたんなら助けてくれよ。そもそも何を見て……はっ!俺、勝手に剣使った上に借りた隊服も魔物の血でどろどろじゃねえか!やばい。
「……悪い。借りた隊服を汚してしまった。洗いたいんだが、魔物の血って落ちるか?あと勝手に剣を使わせてもらったんだが誰かのものだったら本当にすまない。」
「………………」
「そ、そんな大切な剣だったか?悪い!俺勝手に使ってしまって!」
「………………」
「デ、デイヴィス?」
「……っ!あぁ、悪い!少しぼうっとしていた。それより大丈夫か?!魔物に襲われたのだろう?!」
「そ、そうだ!マサト!怪我はないか?!」
「あぁ、大丈夫だ。俺は無傷だ。血は被ってしまったが。」
「……なぁ、マサト。君は戦ったことがあるのか?」
「戦ったこと?それは……ない……が……。」
あれ?俺もしかしてやらかした?そうだよな。戦ったことないやつが魔物と戦って勝つはずないもんな。え?俺めっちゃ怪しいヤツじゃね?なんか記憶失くしたフリして居座ろうとしたやつみたいな。え?俺怪しいやつじゃねえぞ?ただでさえデイヴィスには変態だと思われてるのに追い出されるか…?
「……そうか。」
デイヴィスはそれしか言わなかった。
「あのデイヴィス、近くに川は無いか?さっきの湖でもいいんだが血を流すには川の方がいいと思ってな。」
俺を野営地に置くのが嫌ならそのまま川の下流に降りていくからさ。
そういう意味を込めて聞いた。
「あー……俺が案内するよ。」
「フィル、ありがとう。」
フィルに案内されて雅人は川に向かった。
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