俺の平凡な学生生活は本日終了いたしました。

本編

俺の恋人

「楠野、おはよう。」

「あっ！柿本っ！おはよう！」

「ちょっとこっち来れるか？」

「？うん。」

柿本が俺の手を引いていく。柿本は見慣れた空き教室の中に入っていく。

柿本がそのまま俺を抱きしめた。

「楠野……。」

「ちょっ！ここ、学校だから！」

「ははっ、俺たちは学校でイロイロした仲だろ？」

「なっ……もう!!」

真っ赤になった顔を隠すように柿本に抱きつく。

「可愛い……楠野……」

柿本の顔が近づいてくる。俺はゆっくりと目を閉じ、唇に熱が重なるのを待っていた。

2回目のそれはひどく甘く、幸せなものだった。

「げっ！」

「え？」

誰かの声が聞こえドアの方を見るとちょうど真辺がドアを開けたところだった。

この空き教室、絶対誰か来るんだけど……。

「はぁ、2人でイチャイチャしちゃってさ。」

「やっと恋人同士になったんだ。イチャイチャするに決まってるだろ。」

「イチャイチャって……」

いちいちそんな言葉で赤くなる自分が恥ずかしい。

「楠野可愛い。」

「もう！」

「はいはい、ご馳走様。お邪魔虫で傷心中の俺は退散しますよ。」

「えっと、真辺にもいい奴が見つかるよ。」

「楠野に慰められるのが1番辛い！」

そんなことを叫びながらばたばたと駆けていく音が聞こえた。

俺と柿本は顔を見合わせて笑ってしまった。




今でも機械音声が聞こえてこないかどきどきしている。でも、もし聞こえたとしてもなんだか大丈夫な気がするんだ。

それに機械音声には感謝していることもある。だって機械音声が無ければ柿本と仲良くなれていないと思うし。

そう思うと機械音声は恋のキューピットのような役割なのかもしれない。

自動モードはちょっと怖いけどね。


もしかしたら今も誰かの恋のキューピットになっているかもしれない。








『おはようございます。真辺優気の対象は​───────』

「は？なにこれ？」






Fin．