俺の平凡な学生生活は本日終了いたしました。

bull

文字の大きさ
上 下
17 / 18
本編

秘密の告白

しおりを挟む
「どうかしたか?大丈夫か?」

急に立ち止まった俺に、柿本が心配して近寄ってくる。

こっちに来ないでくれぇ……。

「柿本っ!」

柿本を視界に入れた瞬間俺の体は勝手に動いた。


……あれ?今、俺の体ってどうなってんだ?何か人っぽいものを包んでいるような……?

「なっ?!楠野?!」

アレ、オレ、モシカシテ、カキモトニダキツイテル?

いや、これは違うんだ!!柿本!!って声が出なーい!!

「柿本、俺、俺柿本のことっ……。」

ガターンッ!!

動揺した柿本が椅子を倒した。

「うおりゃァァァァ!何勝手なことしてくれとんじゃ、この機械音声がァ!」

今まで自分の意思で動かすことができなかった体がさっきの音がトリガーとなったのか突然動くようになった。

心の中で散々罵倒していた俺はそのまま口からそれが出てくるわけで……。

俺に抱きつかれたかと思えば急に叫ばれてキョトンとしている柿本と、かなりの熱量で叫んだせいで肩でゼイゼイと息をしている俺の間に沈黙が流れ、かなりカオスな状況となっていた。

「……柿本。今日の俺は頭がおかしいんだ。忘れてくれ。じゃあな。」

パシッと音がした。

そろりと下を見ると柿本の手が俺の手首を掴んでいる。

「……説明してもらいたいんだが。」

「…………デスヨネ。」

柿本が俺の手を掴んだまま椅子をガタガタと動かす。

向かい合うようにふたつ並べられた椅子の片方に座り、もう片方に座るように目で促される。

……なんだこの面談みたいな空気は!かなり話しにくいぞ……。

柿本が向かいからじっと俺の目を見つめている。俺は渋々と言ったように最初から事の顛末を話した。

本当の最初からだ。機械音声がいつから聞こえ始めたとか、この時の行動は機械音声によるものだとか。

「じゃあ楠野は……」

「え?」

「楠野は俺のこと好きじゃないのか?そのよく分からねぇ機械音声に操られて今まで俺に話しかけてたのか?」

「え……それは……」

「楠野は少しも俺のこと好きじゃないのか……?」

「違うっ!」

「でも機械音声に言われて俺に話しかけてたんだろ?」

「違う……。好きだよ。好きだけど、駄目なんだ。」

「駄目って?」

「さっきも言ったけど、機械音声が聞こえたら体が操られることがあるんだ。今は対象が柿本だからいいけど、もし対象が変わったら、柿本を傷つけることになるんだ……。」

「……俺は、楠野が好きだ。それにこれから先その機械音声がどうなるか分からないんだろ?」

「でも……」

「俺は、そんな不確かな不安で楠野と一緒にいることが出来ないなんて嫌だ。」

「柿本……」

柿本が俺の腕を引っ張った。そのままスポッと俺は柿本の腕の中に収まる。

「俺と付き合って欲しい、楠野。」

俺は柿本の胸に顔を埋めたままコクリと頷いた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

処理中です...