俺の平凡な学生生活は本日終了いたしました。

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本編

嫉妬と告白

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俺の手を掴んだまま、柿本は振り返らずに歩いていく。

「か、柿本~……。一体どこへ……?」

「チッ。」

こちらを一瞥した柿本は小さく舌打ちした。

「ひぇっ。」

やべぇ。なんか怒らせたかな……。ていうか真辺に怒ってたんじゃないの?!俺に怒ってたの?!

俺の手を引っ張っていた柿本は普段は行かない校舎の端っこの空き教室の前で足を止めた。

そしてそのまま中に入っていく。俺が中に入ると、柿本はドアに着いている鍵を閉めた。

なぜ鍵を閉めるんだ……。

「なんで真辺に触られそうになってんだ?」

「へ?!触られそうって……。」

予想外の柿本の質問に目をぱちくりとしてしまう。

すると柿本が先程の真辺と同じようにじりじりと近づいてくる。

「なぁ、真辺に何言われたんだ?」

そう言いながらも俺と柿本の距離は短くなっていく。

「俺を意識して逃げるのは分かるが、なんで真辺のことも意識してるんだよ。お前と抜きあったのは俺だろ。」

「えっと……それは……その……。」

俯き、目を泳がせながらしどろもどろ言葉を紡ぐ。

俺の上履きのちょうど正面に向き合うように柿本の上履きが揃った。

「なぁ、楠野。真辺とも俺としたようなことしたのか?」

「し、してないっ!」

耳元でしゃべんな……!

俺は真っ赤になってしまった耳を手で隠しながら柿本から離れようとする。

その瞬間柿本の腕が俺の腰に周り引き寄せ、ぎゅっと抱きしめられた。

「好きだ。楠野。好きなんだよ。だから真辺じゃなくて俺と付き合ってくれ。」

そう言いながら唇を重ねて、さらに腕の力を強めてくる。

「ぐぇっ。」

「わ、悪ぃ楠野。大丈夫か?」

俺が潰れたカエルのような声を出したおかげで腕は緩めてくれたようだ。

「なぁ、楠野。本当に好きなんだ。抜きあって好きになったわけじゃない。いや、自覚したのはその時だけど、その前から多分好きだった。楠野が俺の絵を褒めてくれたのはすごい嬉しかったし、楠野の腹を見ただけでどきどきしてた。好きだよ。」

「こ……」

「こ?」

「こ、攻略完了じゃねえか!!!!!」

「え?」

俺は勢いのまま驚いて固まっている柿本を突き飛ばし内鍵をがちゃがちゃしながら開けて廊下を駆け抜けた。

なんでだ?!ロッカー事件の時で好感度は80%くらいだった。これって100%じゃなくても告白されたりすんの?もしかして最近機械音声聞かなかったけど知らぬ間に上がってたりする?!

俺は全速力で廊下を走っていたが、あることに気づき立ち止まった。

そして頭を抱えた。

「俺のファーストキス、奪われたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

俺の叫び声はこだましながら廊下に響いていた。
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