獣人の父子家庭に拾われました。

bull

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本編

もう一人来てるそうです。

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昼食に持ってきたサンドウィッチをぺろりと平らげ、片付ける。この後に校内を回りながら紹介してもらったら、明日から食堂で昼食を食べられる。

魔法学校のお昼ご飯はどんなものが出てくるんだろう。楽しみだなぁ。

明日からの昼食を思い浮かべながらランチボックスをしまい席を立つ。

「ねぇティル、僕、ちょっとトイレに行ってくるね。」

「うん、行ってらっしゃい。」

たっぷりニンジンのマリネが詰まったサンドウィッチを口いっぱいにほおばっているティルに声をかけて、今のうちにトイレに行くことにした。

トイレは教室を出て、廊下をまっすぐ行ったところにあったはず。教室に来るときに見えたんだよね。

古い建物にしては綺麗なトイレに驚きながら用を足し、教室へ戻ろうとする。すると、廊下の陰から手が伸びて僕の肩を叩いた。

「わっ!?」

「ごめんごめん、驚かせたかな?」

軽く笑いながら顔を覗き込んできたのは元魔術院の魔術師であり、今は僕らの担任であるモーダルだった。

「モーダルさん!びっくりしました…。」

「ふふふ、ごめんね。学校だし先生をつけてくれると嬉しいかな。久しぶりに会えたからうれしくて声をかけてしまったよ。」

「お久しぶりです!担任の先生として出てきたときにとても驚いちゃいました!」

「そうだろうね。もともと結構前からこの学校の教師にならないか誘いがあったんだけど断っていたんだ。」

「そうなんですね!あれ、じゃあなんで今年から教師になったんですか?」

ずっと断ってきたのにどうして先生になったんだろう?

モーダルは人差し指を口元に添えて、まるで内緒話をするかのように流し目を送ってきた。
「…シーアくんが入学するから一緒にいたかったんだ。」

「えっ?」

「ふふ、冗談だよ。何か新しいことにチャレンジしたくてね。ちょうど誘われていたしずっと断ってきたけどこれを機にやってみようかと思って。」

「そうなんですね!さすがです!」

「そういえばラルフォンも指導員として今年から学校に来てるよ。私みたいに教師としてではないけど、水魔法を教える指導員なんだ。シーアくんも水魔法だし、関わる機会は多いと思うよ。」

「ラルフォンさんもいるんですね!学校は知らない人ばかりだと思っていたから、知っている方がいて心強いです!」

ラルフォンは、魔術院にいったときに水魔法を教えてくれた黒豹の獣人だ。確か8歳だったんだけど4歳ぐらいに間違えられたんだよね…。

昼休みももう少しで終了ということで先に教室に変えることにした。モーダルはまだやらなければいけないことがあるらしい。

教室まで戻ってくると教室内に異様な空気が流れていた。

平民で犬獣人であるニコラスが何人かの生徒に囲まれていたのだ。
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