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本編
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朝目が覚めると、みんな起きていた。僕が最後みたいだ。昨日遅かったのもあって欠伸が出る。
……唇が腫れぼったい気がする……。
散々カルロスに舐められ、食べられた唇はいつもより少しだけ赤く色づきぷっくりとして、色っぽい。無意識に唇に触れていたら、カルロスと目があった。昨日のことを思い出し、たちまち頬を染める。
「シーア、顔が赤いですが熱でもあるのですか?!」
「何?シーア、体調が悪いのか?!今日は残念だが、やめとくか?」
「大丈夫!体調は悪くないよ!」
慌てて否定するとカルロスがいきなり僕の首元に手を差し込んだ。
「ひぁっ?!」
「うん、首元は熱がないようだし、ただ顔が赤いだけじゃないか?」
そのままするりと項を撫でて手を離した。僕の顔はさらに真っ赤になってしまう。
「なら、いいが……。」
エーヴェンもフォレストも少しムスッとした顔で頷く。
「では朝食にしましょうか。」
「うん!お腹ぺこぺこなんだ!」
みんなで食卓に行くと既に湯気のたったスープやパンが用意されていた。とても美味しそうだ。
朝食を終え準備を整える。僕が今日着ているのはクレセントで買ってもらった洋服だ。やたらフリルが多いのが気になるが良いデザインだと思う。
そういえば、今日は服も買ってもらえるんだよね。
ふふ、楽しみだなぁ。
ワクワクする気持ちを抑え、みんなと外に出る。泊まっていた宿は王都の中心部だったみたいでさほど歩かずに広場に行ける。
この広場には大きな噴水があり、たくさんの屋台が周りを取り囲んでいる。小さな子供から老夫婦まで楽しそうに時間を過ごしている。
「たくさん人がいるんだね……!!」
「あぁ、はぐれないようにな?」
「うん!」
僕は全てが物珍しくてキョロキョロと視線をさまよわせる。多分今の僕の目はキラッキラに輝いているだろう。
「あっ、パパ!あれ食べたい!」
「ん?あれか?じゃあちょっと待ってろ。」
カルロスが買ってくる間、エーヴェンやフォレストと共に噴水の縁に座った。
楽しいな!!……なんだろう、なんかさっきから周りの人がこっちを見てる気が……。
「ねぇ……。エーヴェンお兄ちゃん、なんか僕達見られてない?」
「あぁ、そうだな。でもシーアは気にしなくていいぞ。」
「そう?でも、気になるなぁ。」
ちらちらと感じる視線に落ち着かない。ふと、男性の集団に目が止まった。虎や、豹、チーターなど肉食のかっこいい獣人さんたちだ。
うわぁ。かっこいいなぁ。パパやお兄ちゃんたちの狼もかっこいいけど、ああいう猫科の獣人さんたちもしなやかでかっこいい!
ふと、周りが騒がしくなる。見ると、少し離れたところから鼠の獣人が走って来ているのが見えた。
なにかに追われているようだ。
するとその獣人を追っていた人が叫んだ。
「ひったくりだー!誰か捕まえてくれ!」
え、ひったくり?!
びっくりしてエーヴェンとフォレストを見上げたが、どうやら2人も驚いているようだ。
「シーア、ちょっとここで待っていてくれ。すぐに戻ってくるから。」
「絶対にここから動かないでくださいね。」
「う、うん。」
どうやらエーヴェンたちはひったくり犯を捕まえようとしているみたいだ。
……僕がいても邪魔だしね……。
僕は大人しく噴水で待っていることにした。エーヴェンたちはさすが狼で、足が速くもう遠くまで追いかけていた。
「こんにちは。」
「え?」
急に話しかけられてびっくりする。見上げるとそこにはさっきまで眺めていたかっこいい猫科の獣人たちがいた。
「こ、こんにちは?」
「君、可愛いね。俺らとちょっと遊ばない?」
「あ、遊ぶ?」
「うん。美味しいもの食べさせてあげるし、気持ちいいこともしてあげる。あ、そうだ。俺と番にならない?」
「へ、ぇ?番?!」
「遊びのつもりだったんだけど、君近くで見たらほんとに可愛いし、俺のものにしたくなっちゃった。」
「そんなこと、いわれても……。」
「シーア!!!!!」
急に囲まれて困っていた僕にカルロスの声が聞こえた。
……唇が腫れぼったい気がする……。
散々カルロスに舐められ、食べられた唇はいつもより少しだけ赤く色づきぷっくりとして、色っぽい。無意識に唇に触れていたら、カルロスと目があった。昨日のことを思い出し、たちまち頬を染める。
「シーア、顔が赤いですが熱でもあるのですか?!」
「何?シーア、体調が悪いのか?!今日は残念だが、やめとくか?」
「大丈夫!体調は悪くないよ!」
慌てて否定するとカルロスがいきなり僕の首元に手を差し込んだ。
「ひぁっ?!」
「うん、首元は熱がないようだし、ただ顔が赤いだけじゃないか?」
そのままするりと項を撫でて手を離した。僕の顔はさらに真っ赤になってしまう。
「なら、いいが……。」
エーヴェンもフォレストも少しムスッとした顔で頷く。
「では朝食にしましょうか。」
「うん!お腹ぺこぺこなんだ!」
みんなで食卓に行くと既に湯気のたったスープやパンが用意されていた。とても美味しそうだ。
朝食を終え準備を整える。僕が今日着ているのはクレセントで買ってもらった洋服だ。やたらフリルが多いのが気になるが良いデザインだと思う。
そういえば、今日は服も買ってもらえるんだよね。
ふふ、楽しみだなぁ。
ワクワクする気持ちを抑え、みんなと外に出る。泊まっていた宿は王都の中心部だったみたいでさほど歩かずに広場に行ける。
この広場には大きな噴水があり、たくさんの屋台が周りを取り囲んでいる。小さな子供から老夫婦まで楽しそうに時間を過ごしている。
「たくさん人がいるんだね……!!」
「あぁ、はぐれないようにな?」
「うん!」
僕は全てが物珍しくてキョロキョロと視線をさまよわせる。多分今の僕の目はキラッキラに輝いているだろう。
「あっ、パパ!あれ食べたい!」
「ん?あれか?じゃあちょっと待ってろ。」
カルロスが買ってくる間、エーヴェンやフォレストと共に噴水の縁に座った。
楽しいな!!……なんだろう、なんかさっきから周りの人がこっちを見てる気が……。
「ねぇ……。エーヴェンお兄ちゃん、なんか僕達見られてない?」
「あぁ、そうだな。でもシーアは気にしなくていいぞ。」
「そう?でも、気になるなぁ。」
ちらちらと感じる視線に落ち着かない。ふと、男性の集団に目が止まった。虎や、豹、チーターなど肉食のかっこいい獣人さんたちだ。
うわぁ。かっこいいなぁ。パパやお兄ちゃんたちの狼もかっこいいけど、ああいう猫科の獣人さんたちもしなやかでかっこいい!
ふと、周りが騒がしくなる。見ると、少し離れたところから鼠の獣人が走って来ているのが見えた。
なにかに追われているようだ。
するとその獣人を追っていた人が叫んだ。
「ひったくりだー!誰か捕まえてくれ!」
え、ひったくり?!
びっくりしてエーヴェンとフォレストを見上げたが、どうやら2人も驚いているようだ。
「シーア、ちょっとここで待っていてくれ。すぐに戻ってくるから。」
「絶対にここから動かないでくださいね。」
「う、うん。」
どうやらエーヴェンたちはひったくり犯を捕まえようとしているみたいだ。
……僕がいても邪魔だしね……。
僕は大人しく噴水で待っていることにした。エーヴェンたちはさすが狼で、足が速くもう遠くまで追いかけていた。
「こんにちは。」
「え?」
急に話しかけられてびっくりする。見上げるとそこにはさっきまで眺めていたかっこいい猫科の獣人たちがいた。
「こ、こんにちは?」
「君、可愛いね。俺らとちょっと遊ばない?」
「あ、遊ぶ?」
「うん。美味しいもの食べさせてあげるし、気持ちいいこともしてあげる。あ、そうだ。俺と番にならない?」
「へ、ぇ?番?!」
「遊びのつもりだったんだけど、君近くで見たらほんとに可愛いし、俺のものにしたくなっちゃった。」
「そんなこと、いわれても……。」
「シーア!!!!!」
急に囲まれて困っていた僕にカルロスの声が聞こえた。
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