九情雑記

九情承太郎

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竜とそばかすの姫 への感情的な感想

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 美しい雑多な映像の数々が、洪水のように仮想世界で溢れかえっている。
 その世界には、醜い心も含まれている。

 だって世界だもの、

 明るい狂騒が映画館に溢れ、観る者を溺れさせてくれる。
 その中には、根暗い狂想も影のように染み付いて滲み出ている。

 だって世界には、そういうものも含まれているもの。

 主人公の堂々とした正直さに感嘆する一方で、恥知らずで卑怯な似非正義の暴力を嫌悪する。

 だって世界は性善説で回っていないし。

 輝かしく楽しく描かれた電脳世界と、忌まわしさも悪意も描き忘れない電脳世界。

 細田守監督は、今回も世界を真面目に楽しく明るく恐ろしく強烈に、描いた。

 言って欲しい数々の真心の籠もった言葉を聞き、絶対に言われたくない暴力の籠もった無慈悲な言葉を聞いた末に。

 勇気を見た。
 美しく愛おしい、本物の勇気を見た。



 細田守監督の、間違いなく至宝の最高傑作です。
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