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第24話 首切り開始
しおりを挟む1月中旬ごろから、自宅待機の人に対して動きが出てきた。
課長たちが自宅待機中の部下に電話をかけて様子を探りはじめていたのだ。
どうやら運良く仕事にありつけそうな数人以外は全員クビにするようだ。
自宅待機といえば、後輩のK君から聞いた笑えない話がある。
K君は冬のボーナス前に自宅待機になったが、自宅待機になれば会社の情報は入ってこなくなる。
ここまで会社が追い込まれているとは思いもしなかったK君は情報収集をする気もなく、同期の連中とも連絡を取らずにいた。
実情が伝わっていないこともあって楽観的に構えていて、会社もなんだかんだ言いながらもそれなりのボーナスを出すだろうと期待していたそうだ。
そして会社からボーナスの明細が郵送されてきて中を見たK君は、小躍りして喜んだ。
「やった、20万円出た!」
さっそく銀行に行ったところ、残高がおかしい。
よくよく明細を見たら、一桁少ない2万円だった…。
会社は発表はしなかったが、今回の自宅待機組のボーナスは一律2万円だった。
もはや寸志でしかないのだが、これが現実だった。
昨年暮れに大量の自宅待機を実施してからも、仕事が終わって次の仕事が見つからない人は次々に自宅待機になっていった。
仕事の切れ目が自宅待機への入り口、そういえば我が戦友のスーさんの仕事ももうじき終わるそうだが、次の派遣先が決まっていないらしい。
頭が切れて仕事ができるスーさんだがちょっと癖があって、集中すると周囲の声が耳に入らなくなる。
それもあって上司との折り合いも今一つよろしくない。
まさかスーさんが自宅待機にはならないとは思うが心配だ。
スーさんも心配だが、自分の未来も見えない。
もし辞めたら頼りになるのは失業手当と退職金、とはいっても俺は勤続10年弱だから退職金も期待できない気がする。
思い切って経理の弘美さんに退職金がどのくらい出るかを聞いてみたところ、、俺の想像よりも多いことが分かった。
多いと言っても年収の4分の1程度、それでも過去にもらっていた冬のボーナスの額よりは多い。
もし会社が潰れたら退職金なんて貰えないだろう、それを考えたら潰れる前に辞めた方が勝ちかもしれない。
そんなことを考えていたら新しい派遣先に移ったばかりのポンちゃんが来た。
なにやら様子が変だ。
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