サイバーオデッセイ - バーチャル都市の守護者と精霊たち - （挿絵アニメ）

第二章 サイボーグたちのバーチャル都市

第１１話～古びた教会～

フィリアとフィリルは、教会を訪れた。
古びた教会は静寂に包まれており、人の気配はなかった。
二人は教会の扉を開き、中に入ることにした。
中は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。あちこちに蜘蛛の巣が張られており、床板は腐食が進んでいるようだった。壁一面に貼られた装飾画も、ところどころ剥がれ落ちている。天井からは弱々しいライトがぶら下がっており、時折点滅していた。

フィリア：「ここに何かあるのかしら？」

フィリル：「分からない。とにかく調べてみましょう。」

二人は教会の中を探索することにした。
すると、教会奥の祭壇横に、古びたモニターが設置されていた。
フィリルは、そのモニターのスイッチを入れた。
すると、画面に「教会ガイド」という文字が表示された。

フィリア：「これは何かしら？」

フィリルが画面を見つめていると、突然音声が流れ始めた。
その声は男性のようだった。低く、落ち着いた声色をしている。

男性は続けて言った。
男性の声：「遥か昔、地中海沿岸に広がるローマ帝国という国で、新しい信仰が生まれました。その名は「キリスト教」。この信仰の中心には、ナザレのイエスという人物がいました。
イエスは、愛と許しの教えを説き、多くの人々に希望を与えました。彼の言葉は、貧しい人や病気の人、社会から疎外された人々にとって、まるで光のように輝いていました。しかし、その教えは当時の権力者たちにとって脅威となり、イエスは十字架にかけられて処刑されてしまいます。
しかし、イエスの死後、彼の弟子たちは彼が復活したと信じ、その教えを広めるために世界中へと旅立ちました。彼らの努力により、キリスト教は次第に広がり、やがてローマ帝国全体に浸透していきました。
キリスト教は、神の愛と人々の救いを中心に据えた信仰です。聖書という書物を通じてその教えが伝えられています。聖書には、旧約聖書と新約聖書という二つの部分があり、特に新約聖書にはイエスの生涯や教えが詳しく記されています。
時が経つにつれて、キリスト教は多くの文化や社会に影響を与え、今日では世界中で信仰される宗教となりました。その教えは、愛、許し、希望、そして信仰の力を強調し、多くの人々の心に深く根付いています。」


フィリルとフィリアは、画面を見ながらその話を聞いていた。

フィリア：「すごい！キリスト教のお話ね。」

フィリルは興味深そうに画面を見つめている。

フィリアは続けて質問した。
「でも、この教会に何の関係があるのかしら？」

男性の声：「キリスト教は、愛と許しの教えを説く宗教です。古来より芸術家の創作活動にも大きな影響を与えてきました。この教会も、かつては芸術的な価値を持つ建造物でした。しかし、長い歴史の中で劣化が進み、今では廃墟のような状態です。」

フィリルは画面を見つめながら言った。
フィリル：「でも、この教会には何か特別なものがあるような気がするわ。」

フィリア：「そうね。私もそう思うわ。」
二人はさらに探索を続けることにした。

薄暗い教会の中を歩いていると、古びた教会の中庭には、何かを象徴した彫像が静かに佇んでいた。
彫像は、７つありそれぞれ特徴的な装飾品を持っているようだった。

フィリア：「これは何かしら？」

フィリル：「分からないわ。でも、何か意味があるのかもしれないわね。」

彫像は、静寂の中で訪れる者を待っていたかのようだった。
二人はその彫像の前でしばらく立ち止まっていた。
すると、突然空が明るくなり、教会の庭に光が差し込んだ。

フィリル：「あ！見て！」

フィリア：「え？」

すると、さきほどのモニターの男性の声で、
男性の声：「この彫像は、七つの徳を象徴するものです。それぞれが異なる力を持ち、人々の感情や行動をコントロールすると言われています。」

フィリア：「えっ？教会ガイドが有効になっているのね。」

男性の声：「例えば、知恵の彫像は、開かれた本を手に持ち深い思索にふける姿をしています。その目は遠くを見つめ、真理を探求する意志を示しています。それぞれの彫像の台座の部分に説明がありますので、ぜひご覧ください。」

フィリアは興味津々で彫像を見つめた。

「知恵の彫像って、どういう意味だろう？」

フィリルも興味深そうに眺めている。
フィリル：「知恵の徳を象徴するのかしら？」

そう言いながら、１つ１つの彫像をみていくことにした。
知恵の彫像は、手に本を持ち、それを開くような動作をしていた。

フィリア：「これは、知識や知恵を象徴しているのかもしれないわね」
フィリルは興味深そうに答えた。

男性の声：「この教会では、七つの徳を象徴する彫像が設置されていました。それぞれが精神的なバランスと調和をもたらすと言われています。」

フィリア：「なるほど。」
二人は彫像の前に座り、しばらく考えていた。

すると突然、フィリアは立ち上がり言った。
「わかった！」と叫びながら、彼女は何かをつかんだようだった。

フィリル：「えっ？何が？」
フィリアは自信を持って答えた。

フィリア：「この彫像は、七つの徳の象徴よ。知恵の彫像が示すのは知識や知恵なの。そして七つの彫像は、勇気・愛・節制・信仰・正義・希望のことなのよ！」と彼女は説明した。

フィリルは感心したようにうなずいた。
フィリル「お姉さま、そうね！！」
フィリアは、得意げな表情で言った。
「だって、彫像をよく見たら分かったんですもの。」
二人は他の彫像の探索することに決めた。


薄暗い教会の中を歩いていると、古びた教会の中庭には、何かを象徴した彫像が静かに佇んでいた。
7つの彫像は、それぞれが独自の特徴を持ちながらも、そのバランスは絶妙であるように感じられる。
1つ目の彫像は知恵の彫像である。
知恵の徳を象徴するこの彫像は、手に本を持ち深い思索にふける姿をしている。その目は遠くを見つめ、真理を探求する意志を示している。
2つ目の彫像は勇気の彫像だ。
勇気の彫像は、剣を握りしめ、力強く立っている。その姿は、困難に立ち向かう決意と不屈の精神を象徴しているようだった。
3つ目の彫像は節制の彫像だ。
節制の象徴であるこの彫像は、水とワインを調合するカラフェを持ち、慎重に液体を注ぎ入れている。その動作は、バランスと調和を追求する姿勢を表していた。