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第二章 サイボーグたちのバーチャル都市

第2話~八枢要罪と七元徳~(挿絵動きあり)

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ルミナは、ゆっくりと語り始めた。

ルミナ:「この世界には、八つの大罪と七つの美徳に対応する守護者たちが存在します。
これを八枢要罪と七元徳の守護者といいます。

八枢要罪(やっつのすうようざい)は、古の宗教教義における八つの主要な悪徳のことです。エジプトの修道士の著作に由来し、後に七つの大罪の原型となりました。八枢要罪は以下の通りです。

傲慢(ごうまん)
憂鬱(ゆううつ)
憤怒(ふんぬ)
怠惰(たいだ)
強欲(ごうよく)
暴食(ぼうしょく)
色欲(しきよく)
虚飾(きょしょく)



七元徳(しちげんとく)は、ある宗教の教義における七つの基本的な徳のことです。これらは古代哲学者の著作に見られる四つの枢要徳と、聖書に見られる三つの対神徳を合わせたものです。

・枢要徳(四元徳)
 知恵(ちえ)
 勇気(ゆうき)
 節制(せっせい)
 正義(せいぎ)
・対神徳(三元徳)
 信仰(しんこう)
 希望(きぼう)
 愛(あい)

これらは、そもそも人の心の有り様を現したもので、それ自体に善悪の区別はありません。罪というと悪のイメージがありますが、悪ではありませんし、勧善懲悪にあるような絶対悪などでもありません。
世界は、八枢要罪と七元徳のバランスで成り立っています。
それぞれに守護者が存在し、守護者たちはそれぞれの属性に応じた力を持ち、その力を使って人々を導く者です。
彼らは人々の心の中で繰り広げられる善と悪の戦いを見守り、時には世界に介入することもあります。

もう少し個々について詳しく説明すると、
八枢要罪(八つの大罪):
 傲慢(Pride) : 自己中心的で他人を見下す態度。
 憂鬱(Melancholy): 気分が落ち込んで、元気が出ないこと。
 憤怒(Wrath) : 怒りや復讐心に駆られること。
 怠惰(Sloth) : 努力を怠り、無気力であること。
 強欲(Greed) : 富や権力を過剰に求めること。
 暴食(Gluttony) : 食べ物や飲み物を過剰に摂取すること。
 色欲(Lust) : 性的欲望に溺れること。
 虚飾(Vainglory) : 自己顕示欲が強く、他人に認められたいという欲求。

七元徳(七つの美徳):
枢要徳(四元徳)
 知恵(Wisdom): 知識を活用して物事を判断し、適切に処理する能力。 
 勇気(Courage): 恐怖や不安に立ち向かう強い心。 
 節制(Temperance): 欲望を抑え、適度に行動すること。 
 正義(Justice): 道徳的に正しいことを行うこと。
対神徳
 信仰(Faith): 神仏や宗教を信じ、その教えをよりどころとすること。 
 希望(Hope): 将来に対する期待や望み。 
 愛(Charity): 他者を思いやり、大切にする気持ち。
のような感じになります。」
と説明を続けた。

↑挿絵に動きあり

そして声のトーンを変え、ハーダに似せた声で続けた。ルミナの声は低く、重々しくなり、まるで遠くから響いてくるようだった。

ルミナ:「そして、これらの守護者の1人が、色欲の守護者ルクスリアだ。何度もいうが、彼女自体は悪ではない。人の色欲を投影したペルソナのような存在が具現化したものだ。ルクスリアが、ハーダ、私の事をサピエンテェアと呼んだが、私は、知恵のサピエンティア (Sapientia) で、知恵を投影したペルソナなのだ。」

ルミナの言葉が静かに部屋に響き渡った。彼女の目は遠くを見つめ、まるで過去の記憶を辿っているかのようだった。フィリアとフィリルは息を呑み、ルミナの言葉に耳を傾けた。

そう、言い終わった後、ルミナはいつも通りの口調に戻った。彼女の表情は再び柔らかくなり、微笑みが浮かんだ。

ルミナ:「これがハーダ様からのメッセージですのー」

フィリア:「ありがとう、ルミナ!しっかり覚えておくね!」

フィリアは感謝の気持ちを込めて言った。彼女の目は輝き、ルミナの言葉に感動しているのが伝わってきた。フィリルも同様に感心しながら言葉を続けた。

フィリル:「凄いですね……知恵を司るサピエンティアですか……。ハーダ様はすごいお方なのは分かっておりましたが、まさかそんな。」

ルミナ:「はい!ハーダ様は、すごいお方なのです!」

ルミナは無機質に答えたが、その声には確かな敬意が込められていた。

ルミナ:「あ、もう一言、ハーダ様からの伝言があります。」

フィリアとフィリルは、再び顔を見合わせた。彼女たちの表情には期待と緊張が入り混じっていた。ルミナは微笑みながら答えた。

ルミナ:「はいです!テンペランティアは、節制の守護者テンペランティア (Temperantia)だ。なので、通常はどこかに隠れて、をしており、時折、もてる能力で治療をしているのだ。」

フィリルは、ルミナの言葉に引き込まれ、興味津々に聞いた。

フィリル:「それで、テンペランティア様はどこにいるのですか?私たちも会えるのでしょうか?」

ルミナは少し間をおいて、静かに答えた。

ルミナ:「テンペランティア様は、必要な時にだけ姿を現します。ハーダ様もテンペランティア様がどのような姿をしているのか、性別すら知りえない存在なのです。その存在は、節制の象徴ですので、普段は人々の目に触れないようにしています。でも、あなたたちが本当に必要とする時には、きっと現れてくれるでしょう。」

フィリアとフィリルはその言葉に深く頷いた。
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