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第二章 サイボーグたちのバーチャル都市

第1話~航海~(挿絵動きあり)

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エンデュランス号は、広大な大海原を航行しながら、静かに目的地への旅路を続けていた。波の音が船体に響き、時折、海鳥の鳴き声が遠くから聞こえてくる。空は澄み渡り、太陽が燦々と輝いている。船のデッキには、潮風が心地よく吹き抜け、乗組員たちはそれぞれの役割を果たしながら、穏やかな時間を過ごしていた。

フィリルは、シーハートの後を追いながら船内を探検していた。彼女の目は好奇心に満ち、新たな発見に胸を躍らせていた。船の隅々まで歩き回り、古びた地図や航海日誌、そして奇妙な装置に興味津々だった。シーハートは、フィリルの無邪気な探検心を微笑ましく見守りながら、時折、彼女に説明を加えていた。
シーハート:「その機械は前回の航海で活躍した……」

一方、フィリアは展望デッキで瞑想していた。彼女は静かに座り、目を閉じて深呼吸を繰り返していた。周囲の景色を感じ取りながら、心の中で何かを考えているようだった。彼女の心には、過去の記憶や感情が次々と浮かび上がり、その一つ一つを丁寧に見つめていた。

フィリアには、デジタルノームが見えていたが、他者からは視認することはできなかった。だから、船員たちからはフィリアが一人で瞑想しているように見えている。ルミナ、いや、デジタルノームと呼ばれる精霊の存在は、フィリアの心の中に現れ、彼女と対話を続けていた。

ルミナ:「フィリア、フィリア。」

フィリア:「ルミナ?」

ルミナは微笑みながら答えた。

ルミナ:「はいですー。」

フィリア:「もう!あなたはそんなキャラだったけ??」

ルミナは首を横に振りながら、

ルミナ:「違いますー。でもこれはフィリアの心にある願望が私に設定した人格なのです。」

フィリア:「ふーん……」

ルミナは話を続けた。

ルミナ:「フィリア、私はあなたの心の中で生まれた存在ですの。あなたが名前を付けてくれた、だから、ルミナという人格はあなた自身の願望が投影されたものです。」

フィリア:「そうなのですか?私にはよくわかんらないけど……」

ルミナ:「そうです。でも、今はそれでいいのですの。私の役割はあなたを加護し導くことですから。」

フィリアは戸惑いながらも答えた。

フィリア:「わかったわ。じゃあ、これからよろしくね!」

ルミナは頷いた。

ルミナ:「はい。よろしくお願いします。」

フィリア:「ところで、ルミナはどういう存在なの?ハーダ様から聞いてはいるけど・・・」

ルミナ:「今の私はあなたの心から生まれた存在で、あなたの一部でもありますし、同時に別個の存在でもあるのですの。」

フィリア:「そうなのね。、難しい。分かりやすく言うと、あなたはこれから私の相棒みたいなものなのね!」

ルミナは笑いながら答えた。

ルミナ:「はい!頼りにしてくださいですのー」




フィリアとフィリルは、船の食堂で静かに食事を楽しんでいた。窓の外には、広がる青い海と穏やかな波が見え、船はゆっくりと進んでいた。食堂の中は、他の乗組員たちの笑い声や話し声で賑わっていたが、フィリアとフィリルは二人だけの時間を楽しんでいた。

テーブルの上には、新鮮な魚料理が並んでいた。焼き魚の香ばしい匂いが漂い、煮魚の甘辛いタレが食欲をそそる。刺身の盛り合わせは、色とりどりの魚が美しく並べられ、まるで一級ホテルの食事のようだった。フィリアは、一切れの刺身を口に運び、その新鮮な味わいに目を細めた。

「この刺身、本当に美味しいわね」とフィリアは微笑みながら言った。

フィリルも同意し、「うん、船の上でこんなに美味しい魚が食べられるなんて贅沢だね」と答えた。彼女は焼き魚を一口食べ、その香ばしさに満足そうな表情を浮かべた。

↑挿絵に動きあり

食堂の窓から見える海は、時折光る魚の群れが跳ねるのが見え、まるで彼らの出航を祝福しているかのようだった。

突然、ルミナがフィリアの目の前に現れ、

ルミナ:「ハーダ様からの通信メッセージが来たの~。今読んでもいいですか?」
とルミナは言った。

フィリアは一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻し、穏やかに答えた。
フィリア:「わかったわ。お願いね。ルミナ、フィリルにも聞こえるように、お願い。」

フィリアは、フィリルにハーダからのメッセージが届いている事を伝えると、
フィリアの心には不安と期待が交錯し、フィリルの目には好奇心が輝いていた。

ルミナは、ハーダからのメッセージを読み上げ始めた。
ルミナ:「君たちの航海が安全に行えることを願っているよ。さて、本題に入るが、君たちに八枢要罪と呼ばれる者たちについて調べるよう依頼をしたが、私が知っている情報を伝えようと思う。」

ルミナは続けた。
ルミナ:「ハーダ様は、あなたたちに情報を提供してくださるそうですのー」
とルミナは微笑みながら言った。

フィリルは興味深そうに身を乗り出し、
「一体どんな情報でしょうか?」
と尋ねた。

ルミナは少し微笑みを浮かべながら、メッセージの続きを読み上げる準備をした。
フィリアとフィリルは、船の食堂の喧騒が遠くに感じられ、二人の間には静かな緊張感が漂っていた。
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