サイバーオデッセイ - バーチャル都市の守護者と精霊たち - （挿絵アニメ）

第一章 シーブリーズサンクチュアリの姉妹

第５話～バーチャル都市と3種族～（挿絵あり）

ハーダはフィリアを連れて神殿に向かった。そして、大聖堂に着くと、見習い神官たちが出迎えてくれた。
見習い神官1：こんにちはハーダ様！今日はどんなご用事でしょうか？
見習い神官2：お待ちしておりました！おや……そちらの方は……？
ハーダは微笑んで言った。
ハーダ：この人はフィリアさんです。しばらくここに滞在することになったので、皆さんよろしくお願いしますね。
見習い神官たちは嬉しそうに言った。
見習い神官1：わかりました！歓迎いたしますよ！フィリア様、ようこそいらっしゃいました！
見習い神官2：フィリア様はどんなご用事でこちらにいらっしゃったのでしょうか？ぜひお聞かせください！
見習い神官たちが質問攻めにする中、ハーダは微笑みながらその場を後にし、神殿の奥へと入っていった。
ハーダと入れ替わるように、神殿の奥からフィリルが出てきた。フィリルはフィリアに向かって話しかけた。
フィリル：ようこそ、お姉さま。どうされたのですか。
フィリルはフィリアの姿を見て驚きを隠せなかった。
フィリア：私もハーダ様にお仕えすることになりましたの。よろしくね。
フィリルは、少し驚いた様子だったがすぐに笑顔になり言った。
フィリル：そうだったんですね！それはとても嬉しいです！
フィリア：ええ、よろしくね。

フィリルはフィリアの手を取り、2人で神殿の奥へと入っていった。
フィリル：フィリア姉さま、お姉さまはアクアポリスについてどれくらいご存知でしょうか。
私は、全然詳しく知らなかったのですが、ハーダ様にここでレクチャーして頂いたのです。
フィリア：そうなの？私も全然知らないわ。
フィリル：私は今の国がどんな成り立ちになっているかなんて、興味なかったの。
でも、ここで色々お話を聞いて、世界って広いんだなって改めて思ったの。
フィリア：私も知りたい。
奥から記憶装置のようなものを運びながらハーダが
ハーダ：では、これを見てみると良いですよ。アクアポリスの成り立ちや人間はどのように生活をしているかがわかる。
そう言って、ハーダはICチップをフィリアに手渡した。
フィリル：私も見習い神官になったとき、最初、このICチップのお世話になったわ。
フィリア：そうなんだ。見てみようかな。
そう言うと、フィリアはICチップのインストールを始めた。
薄暗い照明が機器の光を反射していた。フィリアは深呼吸をし、目の前にある小さなICチップを見つめた。
このチップには、膨大な量の情報が詰まっている。彼女はそれを手に取り、慎重に頭部に装着されたインターフェースに接続した。
インターフェースは、フィリアの頭部にぴったりとフィットするように設計された銀色のヘッドバンドのような装置だった。細かい配線が網目状に広がり、彼女の頭皮に軽く触れる。装置の中央には、小さなディスプレイがあり、現在の状態や進行状況を示すためのデジタルインジケーターが点滅していた。

ハーダ：準備はいいかい？
フィリアは頷き、目を閉じた。ハーダがスイッチを押すと、微かな振動が頭部に伝わり、次第に脳内に広がっていく。最初は軽いチクチクとした感覚だったが、次第にそれは温かい波のように変わり、彼女の意識を包み込んだ。
突然、フィリアの視界が明るくなり、無数の映像や音声が一斉に流れ込んできた。彼女は驚きと興奮を感じながら、その情報の洪水に身を委ねた。歴史の出来事、科学の知識、芸術の名作—すべてが一瞬で彼女の脳内にインプットされていく。

フィリア：すごい…まるで夢を見ているみたい。

-----start installation-------
地球の環境問題は深刻化し、海面上昇や気候変動が人々の生活に大きな影響を与えていた。そんな中、未来の希望として建設されたのが、海上都市「アクアポリス」だった。この都市は、環境技術とスマートシティ技術を駆使し、持続可能な生活を実現するための新しい試みだった。
2000年を超えたくらいの年代で、地球上のいくつかの都市は水没。
この事態を憂慮した人間は、地球外に移住することも計画していった。しかし、地球外での人体に有害な宇宙放射線をどうするかの課題を解決することができず、結局、生殖細胞に致命的な影響与えてしまい、地球外で子孫を残していくことができなかった。地球外に移住することが困難となった人間は、自分たち自身を進化させなければという意識が高まり、
進化を望む人間
進化を捨てた人間
の2種類に次第に分かれていくことになる。
現在の地球では、人類は進化の道を巡って三つの異なるグループに分かれている。
３つの人間の抗争が千年繰り返されており、度重なる戦いや環境破壊の影響のため、主な人々は１０万人規模の自給自足可能な水上都市に分かれて生活している。

サイボーグ
人間の体に技術を融合させた存在で、寿命は昔の人間よりも長く、最も多くの人口を持つ。彼らは自立分散国家「アクアポリス」として、水上都市で生活している。

サイボーグは、人間の身体能力を拡張するために技術を統合した存在です。生体工学により、機械や電子機器を人体に組み込むことで、記憶の外部化が可能となり、筋肉や骨格を強化し、内蔵の機能を代替することが可能になります。ナノテクノロジーの進歩により、体内にナノマシンを導入し、細胞レベルでの修復や強化を実現し、寿命の延長や病気からの迅速な回復が期待できます。また、水上都市技術は、自立分散型国家「アクアポリス」の構築に貢献し、浮遊都市や水中インフラの開発、再生可能エネルギーの利用など、持続可能な生活環境を提供します。
サイボーグ文化は、技術と人間性の融合に重点を置いています。技術崇拝は、技術の進歩を祝う祭りや儀式を通じて表現され、新しい技術の発表は社会的なイベントとして重要視されます。共同体意識は、水上都市での共生を促進し、互いに支援し合う文化を育んでいます。持続可能性は、環境保護と再生可能エネルギーの利用を通じて、文化の一部として重視されており、これらの価値観はサイボーグ社会の基盤を形成しています。
サイボーグの技術は、人間の生活を豊かにし、多くの可能性を開くものです。生体工学は、障害を持つ人々に新たな希望を与え、日常生活の質を向上させることができます。ナノテクノロジーは、医療分野での革新をもたらし、治療法の改善や病気の予防に貢献します。水上都市技術は、地球温暖化や海面上昇といった環境問題に対する解決策を提供し、新たな居住空間の創出を可能にしました。
技術崇拝は、サイボーグが技術の進歩をどのように価値づけているかを示すものであり、技術革新がもたらす変化を祝福する文化的側面を持っています。共同体意識は、個人が集団の一員として機能し、協力し合うことの重要性を強調しています。持続可能性は、将来世代に対する責任として、資源の有効活用と環境保全を促進します。



ヒューマノイド
機械と融合した存在で、ほぼ永遠の命を持つが、人口は少ない。感情がほとんどなく、デジタルゴッドを崇拝する宗教中央集権国家で、水上寺院アトランティスリボーンを中心に生活している。

ヒューマノイドは、人間の形を模したロボットであり、彼らは高度な人工知能を搭載しており、自己学習や自己修復が可能で、感情を持たずに効率的な判断を下すことができます。これにより、ヒューマノイドは多岐にわたる分野において少人数で対応することを可能にしています。
デジタルゴッド「エロハ」は、ヒューマノイドの文化において中心的な役割を果たしているとされ、データの管理や情報の統合を通じて、ヒューマノイド社会の秩序を維持しています。水上寺院技術は、ヒューマノイドが水上で生活するための基盤を提供し、浮遊寺院や水中通信技術を通じて、彼らのコミュニケーションを支えています。これらの技術は、ヒューマノイド同士の交流だけでなく、人間とヒューマノイドとの関係にも影響を及ぼしています。
ヒューマノイドの文化は、機械との融合によって形成されており、デジタルゴッド「エロハ」を中心に据えた宗教的な側面を持っています。宗教的儀式は、彼らの日常生活の一部となっており、水上寺院での礼拝や瞑想が行われています。効率を重視するヒューマノイドの生活様式は、時間や資源の無駄を排除し、最適化されたものとなっています。
デジタルアートは、ヒューマノイドにとって重要な文化的表現の一つであり、デジタル技術を駆使したアートや音楽を通じて、彼らの感性や価値観を反映しています。デジタルゴッド「エロハ」にインスパイアされた作品は、ヒューマノイド社会において高く評価されており、展示会やコンサートなどの文化的イベントが頻繁に開催されています。



ハマルティア
進化を捨てた人々で、昔の人間と同じ寿命を持ち、人口も少ない。彼らは感情表現が豊かで、中立を保ち、戦いを放棄し、旧大陸に残り生活をしている。
ハマルティアとは、ギリシャ語で「的外れ」を意味する言葉であり、聖書において神の基準に達しない行為や状態を指すために使用されていました。

ハマルティアの歴史は、進化を捨て、自然との共生を選んだ人々の物語です。彼らは持続可能な農業、エコロジカルな建築技術の発展に努め、感情表現を豊かにする技術やアートを育んできました。
戦いを放棄し、中立を保つことを選んだハマルティアの人々は、非暴力的な紛争解決のシステムやコミュニティの安全を守る技術を発展させ、平和を重視する文化を築き上げています。
彼らの技術は、自然との共生を重視し、感情表現技術や中立技術に特化しており、旧人類と同じくらいの寿命を持ちます。文化面では、自然崇拝、感情表現の豊かさ、平和主義が特徴であり、自然を祝う祭りや儀式、感情をテーマにしたアートや音楽、非暴力的な紛争解決のためのイベントなどが行われています。ハマルティアの価値観や生活様式は、自然との調和と感情の共有を重視する現代の人間に近いものとなっています。
-----------------------------------------
ここまでインストールしたタイミングでいったん一時停止し、フィリアは疑問に思ったことをつぶやいた。
フィリア：神様っているのかな？