サイバーオデッセイ - バーチャル都市の守護者と精霊たち - （挿絵アニメ）

第一章 シーブリーズサンクチュアリの姉妹

第４話～夢の再生～（挿絵あり）

その夜、フィリアは久しぶりに長い夢を見た。それは自分が今まで見たことのない夢だった。
夢の中で、自分の声がまた耳元から聞こえてくるような気がした。しかし、その声はどこか聞き覚えがありつつも誰の声か思い出せなかった……
フィリアは、夢から覚めた。
しかし、それはいつもの朝とは少し違っていた。
フィリア：あれ……私……泣いてる？ そう、フィリアの目からは涙が流れていたのだ。
フィリアは涙を拭いつつ起き上がり、ハーダの部屋に向かった。
フィリア：おはようございます、ハーダ様。あの……昨夜の夢のことなのですが……。
ハーダは微笑みつつ言った。
ハーダ：どうしましたか？夢の話ですか？何か気になることでもありましたか？ 
フィリアは、夢の内容が気になったことを話だした。
フィリア：はい……とても不思議な夢を見たんです。でも、その夢の内容は思い出せないのですが、ただ一つだけわかるのは、その夢の中で私は泣いていたことなんです。そして私に向かって誰かが何かを言っていたんです……
ハーダは、フィリアの話を興味深そうに聞きながら、
ハーダ：なるほど。では、その夢についてもう少し詳しく教えてもらえますか？ と質問した。
フィリア：はい。夢の中で泣いていたのは私のはずなのに、私の声が耳元から聞こえるような気がしたんです。そしてその声はとても懐かしくて、どこか聞き覚えのある声だったんです。でもそれが誰なのか思い出せなくて……それで目が覚めたら涙が出ていて……
ハーダ：ふむ、それは興味深い話ですね。夢の内容については、セラピー機能を使って詳細を調べてみましょう。
ハーダは、フィリアの話を興味深そうに聞いていた。
そして、セラピー機能を使用して夢の分析を開始したのだった。


セラピー機能を有効化したフィリアは、夢の内容を再生してみた。
それはとても不思議な夢だった。その夢の中でもフィリアは泣いていたのだ。そしてその声はどこか懐かしく感じたものだった。
その声の主はフィリアに向かって何かを言っていたのだが、その内容までは思い出せなかった。
しかし、その夢には続きがあったのだ。
夢の中で泣いていたフィリアは突然意識を失った。そして次に目を覚ました時、フィリアの目の前に広がっていたのは見知らぬ部屋だった。
そこは薄暗く、窓が１つだけある部屋だった。部屋の中にはベッドと机があり、机の上にはノートが置かれていた。
フィリアはそのノートを手に取り中を見たが、何も書かれてはいなかった……。
その時、部屋のドアが開き一人の女性が入って来た。その女性はフィリアを見ると驚いたような表情を浮かべたが、すぐに笑顔になり話しかけてきた。

女性：あら、目が覚めたのね！よかったわ。
フィリアは戸惑いつつも答えた。
フィリア：あの……ここは一体……？
女性：ああ、ここは私の家よ。あなたは森で倒れていたのを私が見つけてここに運んだのよ。
フィリア：そうなんですか……助けていただいてありがとうございます。
女性：いいのよ！それよりお腹すいてない？何か作ろうか？ フィリアは戸惑いながらも答えた。
フィリア：いえ、大丈夫です……あの、私はどうしてここにいるんでしょうか……？ 
女性は少し考え込んだ後、こう答えた。
女性：うーん、わからないわねぇ……でもきっと何か事情があるんじゃないかしら？
フィリア：え、でも……何も思い出せないんです……。
女性は驚いた様子だったが、すぐに笑顔になって言った。
女性：そう……それは困ったわね……。まあゆっくりしていけばいいわ！それから私の名前はトロエンデって言うの。よろしくね！
フィリアは、戸惑いつつも言った。
フィリア：はい……よろしくお願いします……。
女性は優しく微笑み、そして言った。
女性：よろしくね！ところで、あなたの名前を教えてくれる？ フィリアは一瞬戸惑ったが、すぐに答えた。
フィリア：私の名前は……フィリアと言います。
女性は驚いた様子だったが、すぐに笑顔になりこう言った。
女性：そう……素敵な名前ね！これからよろしく！ フィリア！
フィリアは女性の笑顔に、どこか懐かしい感覚を覚えた。そして同時に、記憶の一部を取り戻したかのような気持ちになったが、まだ完全ではないようだった。


ハーダ：さて、セラピー機能を有効化した状態で夢分析をした結果ですが……。どうやらその夢にはさらに続きがあるようですね。
ハーダは興味深そうに言った。
フィリアは驚きながらも答えた。
フィリア：どういうことですか？
ハーダ：実は、先程あなたの記憶を再生した時に、その続きと思われる映像が一瞬ノイズとして見えたのです。それは、あなたが森で倒れていた時の映像でした。
フィリアは戸惑いつつも言った。
フィリア：私が……森で……？
ハーダ：はい。セラピー機能の映像は本人にしか可視化できないのですが、あなたは森の中を彷徨っていたようです。そこで倒れてしまったようですね。そしてその後の記憶はありませんが、おそらく誰かに助けられたのでしょう。
フィリアは驚きつつも質問した。
フィリア：誰にですか？
ハーダは微笑みながら答えた。
ハーダ：それは私にはわかりませんでしたが、おそらく森に住む誰かでしょう。そしてあなたはその人に助けられたのだと思われます。
フィリアは少し安心した様子で言った。
フィリア：そうですか……その人に感謝しないといけませんね……。
ハーダはうなずきながら言った。
ハーダ：はい。それはとても大事なことですよ。さて、夢分析も終わりましたし、ちょうど良い機会ですから、あなたの今後についてお話ししましょうか？
フィリルには、私に神官として大聖堂の手伝いをしてもらっています。あなたはどうしますか？
フィリアはすぐに答えた。
フィリア：私は、ハーダ様の元でセラピーの被験者として、お役に立てるよう努めたいと思います。
ハーダは微笑みつつ言った。
ハーダ：そうですね、それがいい。では早速、セラピーの被験者として神殿に参り、みんなに紹介しましょう。
フィリアは緊張した表情で答えた。
フィリア：はい。よろしくお願いします！