37 / 41
第4章:【BATTLE】イツキ vs ナナ
第37話:純粋に楽しむ人
しおりを挟む
「なんですか、それ。」
ナナの台の横に立った江奈は、ナナが取り出したもちぐまぬいぐるみを見て不思議そうな顔をした。
「ほらっ! "森物語"に出てくるもちぐまっ!」
「はい…。それはわかるんですけど、台に置いてやるんですか?」
「うんっ! わたしのオカルト的なっ!? ふつーに効果ないんだけどねっ!」
「ないんですか!笑 というか、それどこに売ってるんですか?」
もちろん、江奈も"森物語"は知ってはいるが、もちぐまのぬいぐるみが売っているところを見たことはなかった。
「ん? ふつーに景品カウンターで出玉と交換できるよっ! えっと、パチンコで1000発分くらいだったかなっ!」
「もちぐま、高いですね!」
なるべく損をしないような打ち方を徹底している江奈は、思わず突っ込み気味な返答をしてしまった。江奈が驚くのも無理はない。1000発であれば、特殊景品に交換する人が圧倒的に多く、大体3000円~4000円程度にはなる。つまり、このもちぐまぬいぐるみはそのくらいの値段感ということだ。
「まぁねっ! いやでもさ、めっちゃ可愛いでしょっ? 見つけた瞬間、秒で可愛すぎて無理!ってなって、即交換したよねっ!!」
「そうなんですか…! じゃあ、今日は効果発揮するといいですね。」
「うんっ!!」
ナナはいつも通り、もちぐまの頭を3回撫でた。
「初めてでしたら、特になにも考えずにとりあえずバンバン回してください。上のハイビスカスランプが光ったら当たりです。32回転以内にまた当たったら"天国モード"に移行した可能性が高いので、たくさん連チャンさせる気でバンバン回してください。」
「あとは、、」江奈は話しながら、第3リールの横にある後ろ姿の水着女子が描かれたランプを指さした。
「ここにナナさんみたいなギャルのランプがあるじゃないですか? この後ろ姿の女子の名前、本当に"ナナ"って言うんですよ。笑 で、これが光ったら、次の1回転でまた当たるので、ぜひ光らせてください。」
「うけるっ! この子も"ナナ"って言うんだっ! ナナが"ナナ"を光らせればいいのねっ! おっけーっ!! なんか、やれる気がするっ!! 江奈ちゃんっ!! 丁寧に説明してくれて、まじでありがとうっ!! めっちゃ、わかりやすくて、やっぱまじ神っ!! てかっ、まだ打ってないのに、もう楽しいんですけどっ!」
まさか江奈がここまで親切な人だと思っていなかったナナは、感動のあまり目をキラキラうるうるさせながら江奈の顔を見た。
ナナというパチンコ・スロットを打たなそうな大学の有名人が、パチンコ屋にいたくらいでは江奈は驚いたりしない。ただ、江奈はナナの表情や言動に驚いていた。
(なんか素直な人だなぁ…。そして、なんて楽しそうなんだろう…。)
初めて会話をして、まだ15分程度なのに、江奈は何度も褒められたり、お礼を言われたりした。そして、パチンコ・スロットをここまで純粋に楽しんでいる人はそういないと感じた。
同時に、江奈の中にイツキが浮かんだ。江奈の中で、イツキはパチンコ・スロットをめちゃめちゃ純粋に楽しんでいる人の代表みたいなものだ。そのため、この時のナナの楽しそうにしている表情や言動が、どこかイツキに重なったのだった。
「では、がんばってください。あとで見にきますから。」
江奈はナナを残し、黒いスカートを揺らしながら自分の台に戻っていった。
こうして、ようやく台の決まった両者の勝負。そろそろ、出玉に動きが起きようとしていた。
ナナの台の横に立った江奈は、ナナが取り出したもちぐまぬいぐるみを見て不思議そうな顔をした。
「ほらっ! "森物語"に出てくるもちぐまっ!」
「はい…。それはわかるんですけど、台に置いてやるんですか?」
「うんっ! わたしのオカルト的なっ!? ふつーに効果ないんだけどねっ!」
「ないんですか!笑 というか、それどこに売ってるんですか?」
もちろん、江奈も"森物語"は知ってはいるが、もちぐまのぬいぐるみが売っているところを見たことはなかった。
「ん? ふつーに景品カウンターで出玉と交換できるよっ! えっと、パチンコで1000発分くらいだったかなっ!」
「もちぐま、高いですね!」
なるべく損をしないような打ち方を徹底している江奈は、思わず突っ込み気味な返答をしてしまった。江奈が驚くのも無理はない。1000発であれば、特殊景品に交換する人が圧倒的に多く、大体3000円~4000円程度にはなる。つまり、このもちぐまぬいぐるみはそのくらいの値段感ということだ。
「まぁねっ! いやでもさ、めっちゃ可愛いでしょっ? 見つけた瞬間、秒で可愛すぎて無理!ってなって、即交換したよねっ!!」
「そうなんですか…! じゃあ、今日は効果発揮するといいですね。」
「うんっ!!」
ナナはいつも通り、もちぐまの頭を3回撫でた。
「初めてでしたら、特になにも考えずにとりあえずバンバン回してください。上のハイビスカスランプが光ったら当たりです。32回転以内にまた当たったら"天国モード"に移行した可能性が高いので、たくさん連チャンさせる気でバンバン回してください。」
「あとは、、」江奈は話しながら、第3リールの横にある後ろ姿の水着女子が描かれたランプを指さした。
「ここにナナさんみたいなギャルのランプがあるじゃないですか? この後ろ姿の女子の名前、本当に"ナナ"って言うんですよ。笑 で、これが光ったら、次の1回転でまた当たるので、ぜひ光らせてください。」
「うけるっ! この子も"ナナ"って言うんだっ! ナナが"ナナ"を光らせればいいのねっ! おっけーっ!! なんか、やれる気がするっ!! 江奈ちゃんっ!! 丁寧に説明してくれて、まじでありがとうっ!! めっちゃ、わかりやすくて、やっぱまじ神っ!! てかっ、まだ打ってないのに、もう楽しいんですけどっ!」
まさか江奈がここまで親切な人だと思っていなかったナナは、感動のあまり目をキラキラうるうるさせながら江奈の顔を見た。
ナナというパチンコ・スロットを打たなそうな大学の有名人が、パチンコ屋にいたくらいでは江奈は驚いたりしない。ただ、江奈はナナの表情や言動に驚いていた。
(なんか素直な人だなぁ…。そして、なんて楽しそうなんだろう…。)
初めて会話をして、まだ15分程度なのに、江奈は何度も褒められたり、お礼を言われたりした。そして、パチンコ・スロットをここまで純粋に楽しんでいる人はそういないと感じた。
同時に、江奈の中にイツキが浮かんだ。江奈の中で、イツキはパチンコ・スロットをめちゃめちゃ純粋に楽しんでいる人の代表みたいなものだ。そのため、この時のナナの楽しそうにしている表情や言動が、どこかイツキに重なったのだった。
「では、がんばってください。あとで見にきますから。」
江奈はナナを残し、黒いスカートを揺らしながら自分の台に戻っていった。
こうして、ようやく台の決まった両者の勝負。そろそろ、出玉に動きが起きようとしていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる